日刊タイトル英語

タイトル英語 第873号『そして誰もいなくなった』


カテゴリー: 2016年12月02日
 ■タイトル英語…この後すぐ!■

               ε=ε=ヘ(;゜∇゜)ノ♪


 こんにちは! 久々にタイトル英語イストの福光です♪

 現在、BBC制作ドラマ『そして誰もいなくなった』が、

 NHK BSプレミアムで、毎週日曜21時、全3回で放映中。

  └→ http://www4.nhk.or.jp/soshitedaremo/

 その原作小説のタイトル英語が本日のお題です。

 作品中の謎めいた事件もさることながら、

 タイトルの歴史や文法にも謎があり。

 恐る恐るひも解いていきましょう!



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥*
日刊タイトル英語        2016/12/02(金)第873号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥*
  誰もいないのに複数扱い? 複数の亡霊? コワっ!
………………………………………………………………………


【邦題】そして誰もいなくなった



【英題】And Then There Were None



【発音】
       ▼  ▽    ▼
    あん£ェん£ェrをrナん

    (▼を1番強く、▽を2番目に強く、小文字・平仮名は適当に読む)
    (「£ェ」は、舌が上の歯の裏1mm上空で、「ゼ」と「デ」の間)
    (「r」は舌を巻く)

  ★ 発音+例文を、音声でどうぞ!
     └→ http://title-eigo.com/Mag/Nikkan0873#Hatsuon



【意味】

    [And]  [Then]   [There Were]  [None]
     ↓    ↓     ↓       ↓
     そして  それから  ~は存在した  誰も~ない
      └┬―――┘      └―――┬―――┘
       ↓              ↓
     そして、その後      誰も存在しなかった

  ⇒ そして、その後は、誰もいなかった

  ⇒ そして、誰もいなくなった!



【作品】

    1939年/イギリス/本/小説、
     ミステリー、見立て、殺人、童謡、マザー・グース、孤島
    著者:アガサ・クリスティー(Agatha Christie)
    翻訳者:清水俊二(1955年)/青木久惠(2010年)
    初訳は1939年の雑誌『スタア』連載時で、
     邦題は『死人島』(翻訳者:清水俊二)

  ★ レビュー動画とBBCドラマの予告編動画を見る?
     └→ http://title-eigo.com/Mag/Nikkan0873#WatchIt
        ※レビューは16秒目、予告編は24秒目で英題が発音されます。



【コラム】

  ⇒ “ミステリーの女王”アガサ・クリスティーの代表作。

    舞台や映画、ドラマなどに、よく翻案されていますね。

    孤島に集められた10人が、童謡の歌詞内容にあわせて、

    1人ずつ死んでいき、最終的には誰もいなくなるという

    “クローズド・サークル(closed circle)”ミステリーの傑作。

    全員が死んでしまうのなら、いったい誰が何の目的で?

    という謎に対する答えは、小説を読んでみてのお楽しみ!


    一方、英題と邦題を見くらべると、こんな謎がわいてきます。

    ┌─────────────────────────────┐
    │「There Were None」が「誰もいなくなった」に相当するなら、 │
    │    ^^^^                       │
    │なんで誰もおらへんのに、複数の「Were」を使ってんねん?  │
    │                ^^^^           │
    │複数の亡霊でもおるんかいな? (お~、コワ!)      │
    └─────────────────────────────┘

    この謎を解くカギは、問題の童謡に隠されているようなので、

    恐る恐る見ていきましょう……。(お~、コワ!)



  ⇒ 本作品で、見立て殺人の元となる童謡は、下記のとおり。


    §本書からの原文引用
    ┌──────────────────────────┐
    │                          │
    │Ten little Indian boys went out to dine;      │
    │One choked his little self and then there were nine.│
    │Nine little Indian boys sat up very late;      │
    │One overslept himself and then there were eight.  │
    │                          │
    │10人のかわいい少年たち 食事に出かけたってさ    │
    │1人が窒息 (えーっ?!) そして9人が残った    │
    │9人のかわいい少年たち 夜更かしをしたってさ     │
    │1人が寝坊 (永遠に?!) そして8人が残った    │
    :                          :
    :           (中略)           :
    :                          :
    │Two little Indian boys sitting in the sun;     │
    │One got frizzled up and then there was one.     │
    │One little Indian boy left all alone;        │
    │He went and hanged himself and then there were none.│
    │              ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ │
    │2人のかわいい少年たち 日光浴したってさ       │
    │1人が焼け焦げ (えーっ?!) そして1人が残った  │
    │1人のかわいい少年…… ひとりぼっちで寂しいあまり  │
    │自ら首をくくってしまい そして誰もいなくなった   │
    │            ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^   │
    └──────────────────────────┘
                        (飛訳:福光潤)


    逃げだせない孤島で、この歌が現実となるんだから、やはり怖い。


                そして、


    いきなり「そして(And)」から始まるタイトルって変なの!

    と感じた方も、先行する文章の存在を知れば頷けるでしょう。


                そして、


    題名『そして誰もいなくなった』に得も言われぬ余韻があるのは、

    上記歌詞の最後の部分を抜き出した題名だからなんでしょうね…。



  ⇒ そして、ここから本題のタイトル英語解説。


    「none」は、「no」と「one」が合体して作られた単語なので、
     ^^^^    ^    ^^^
    「誰も~ない」や「何も~ない」といった意味になります。

    「one」を含んでいることから、単数のイメージが基本です。


    たとえば、「彼らは誰ひとりとして私の友達ではない」を、

    「none」を使って英訳するなら、2つの英文が考えられます。

    ┌──────────────────┐
    │                   │
    │None of them is my friend.(正式) │
    │       ^^           │
    │None of them are my friends.(略式)│
    │       ^^^     ^     │
    └──────────────────┘

    正式には「none」が単数扱いであっても、複数人(または複数個)の

    話題であれば、動詞や補語が複数につられてしまうのが略式パターン。


    上記童謡も略式パターンとなり、10人という複数につられてしまって、

    単数のBe動詞「was」ではなく複数のBe動詞「were」になっています。

    ┌────────────────────────┐
    │there were none (of the ten little Indian boys) │
    │   ^^^^                   │
    │(10人のかわいい少年たちのうち)誰もいなくなった│
    └────────────────────────┘


    ということで、


   > なんで誰もおらへんのに、複数の「Were」を使ってんねん?

    の謎は、これで解けました。

    いなくなった10人が余韻として残っているから。


   > 複数の亡霊でもおるんかいな? (お~、コワ!)

    の謎も、これで解けました。

    いなくなった10人が余韻として残っているのだから。


               ・

               ・

               ・

               ・

               ・

            (マジ怖っ!)

               ・

               ・

               ・

               ・

               ・



  ⇒ ちなみに、童謡『十人のインディアン(Ten Little Indians)』は、

    「ひ~とり、ふ~たり、さんにんのインディアン♪」などと歌われ、

    日本でも親しまれてきました。


    しかし、その原曲は、1868年にアメリカで発表された

    『Ten Little Injuns』で、上記引用のように残酷な歌詞でした。

     ※「Injun」は「Indian」の変形で、
      ネイティブアメリカン(Native American)の蔑称。


    翌1869年にイギリスで翻案されたバージョンが、

    『Ten Little Nigger Boys』です。

     ※「Nigger」は「Negro」の変形で、
      アフリカ系アメリカ人(African American)の蔑称。


    このバージョンは、英国古来の伝承童謡を集めた『マザー・グース』に

    収録され、手元の『マザー・グース 4』(1981年、翻訳:谷川俊太郎)

    にも『十にんのこくじんのこども』として和訳されています。


                そして、


    アガサ・クリスティーが英国で本作を発表した1939年当時の原題は

    『Ten Little Niggers』で、英国版童謡『Ten Little Nigger Boys』

    をベースに書かれた内容でした(このときの小説邦題は『死人島』)。


    10人の黒人が次々と消える内容の歌に基づいた殺人を描く小説に、

    差別用語「Nigger」を含むタイトルまで付いていると、さすがに

    アメリカで出版するわけにもいかず、タイトルが差し替わります。

    童謡の出だしフレーズから、末尾のフレーズ、つまり、

    『And Then There Were None』に変更されました。


                そして、


    イギリス本国でもアメリカにならってタイトル変更。

    めでたく『And Then There Were None』に落ち着きました!


                そして、


    作品内の童謡も『Ten Little Indian Boys』が長らく使われていました。


            And then (そして、その後)


    さらに時代は流れて、「Indian(インディアン)」も差別用語となり、

    今は『Ten Little Soldier Boys(十人の兵隊さん)』となっています。


                そして、


    舞台となる孤島の呼び名も、以下のように変遷してきました。


      Nigger Island(ニガー島)

        └→ Indian Island(インディアン島)

             └→ Soldier Island(兵隊島)



  ⇒ 孤島名の変遷とえいば、最初の映画化作品

    『そして誰もいなくなった(And Then There Were None)』

    (1945年、アメリカ)は、原作どおり、孤島を舞台にしていますが、

    その後の映画化では、場所を置き換えています。


    『姿なき殺人者(Ten Little Indians)』

      (1965年、イギリス)

       …冬の山荘


    『そして誰もいなくなった(Ten Little Indians)』

      (1974年、伊・西独・仏・西・英)

       …砂漠


    『10人の小さな黒人(Десять негритят)』

      (1987年、ソ連)

       …岬


    『サファリ殺人事件(Ten Little Indians)』

      (1989年、イギリス)

       …サバンナ!


            And then (そして、その後)


    BBC制作TVドラマ

    『そして誰もいなくなった(And Then There Were None)』

    (2015年、イギリス)では、ふたたび孤島にもどってきました。



  ⇒ いかがでしたか?

    本作のタイトル英語にまつわる英文法や歴史の理解が深まり、

    冒頭で抱いていた怖さが、どこかへ消えちゃいましたね。


    And then there are no mysteries!

    そして謎もなくなった!



【ひとこと】

    そして何も言うことがなくなった(笑)

                               (福光)



    本日のタイトル英語は、専用ページで詳しく復習できます♪

      ⇒  http://title-eigo.com/Mag/Nikkan0873



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