人事のブレーン社会保険労務士レポート

人事のブレーン社会保険労務士レポート第148号 平成28年改正労働基準法 その1


カテゴリー: 2016年01月15日
平成28年1月15日 第148号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
人事のブレーン社会保険労務士レポート
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
企業の実践的な残業対策だけではなく、経営実務の入門書としても好評を頂いている
山本法史の著書「社長!残業手当の悩みこれで解決」絶賛発売中!!
是非ともお読み下さい!!
http://www.amazon.co.jp/%E7%A4%BE%E9%95%B7-%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E6%89%8B%E5%BD%93%E3%81%AE%E6%82%A9%E3%81%BF%E3%81%AF%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%A7%E8%A7%A3%E6%B1%BA-%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%A7%A3%E6%B6%88%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E7%9F%A5%E8%AD%9834-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E6%B3%95%E5%8F%B2/dp/4774513717/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1347275203&sr=8-1

アルバイト情報誌「an」のサイトanreport「プロに聞け」で「適正
な人件費の管理方法」についての取材記事が公開されました。
http://weban.jp/contents/an_report/repo_cont/pro/20120507.html

インターネットTV「覚悟の瞬間」に出演しています
http://www.kakugo.tv/index.php?c=search&m=detail&kid=168

ブログ「人事のブレーン社会保険労務士日記」
http://ameblo.jp/y-norifumi/
アメーバに移りました!!

旧ブログは残っています。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

Twirrer
http://twitter.com/yamamoto_roumu

facebook
http://www.facebook.com/yamamotoroumu


***********************************

平成28年改正労働基準法について その1
年次有給休暇・割増賃金・フレックスタイム制・健康への配慮

***********************************

1.はじめに

改正労働基準法案が現在190回通常国会において執筆日現在(平成28年1
月11日)衆議院厚生労働委員会に付託されており、審議の過程で修正がある
可能性もありますが、法案の内容について今回掘り下げたいと思います。

実務的には「年次有給休暇の時季指定」と「中小企業に猶予されていた月60
時間を超える残業時間に対する割増率の引き上げ」が実務上大きなポイントと
思われます。
また、フレックスタイム制の清算期間の上限を1ヶ月から3ヶ月に引き上げま
した。
この点もフレックスタイム制の導入余地が広がったという点については評価す
るべき点だと思います。ただし、1ヶ月ごとの所定労働時間の上限が有ります
ので本論で掘り下げていきたいと思います。

いわゆる高度プロフェッショナル制度の創設や裁量労働制の改正などは中小企
業にとってあまり影響はありません。

しかし、高度プロフェッショナル制度の創設等により、それ以外の労働時間管
理制度であっても今まで以上に労働者に対する健康管理を企業が求められるこ
とになりました。
この点は中小企業の特例がありませんので、企業の管理体制を強化する必要が
あり、頭の痛い問題です。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の改正については次回お話しするこ
ととし、中小企業にとって重要な「年次有給休暇」「割増賃金」「フレックス
タイム制」「健康への配慮」について本稿で掘り下げてみたいと思います。

2.年次有給休暇の改正について(第39条第7項及び第8項)
(1)制度の趣旨
 年次有給休暇については労働者の申請により企業が付与するものという制度
であります。
労使協定による計画的付与により付与する事もできましたが、あくまで労働者
からの申請を基本としていました。
 今回の改正により「年間付与日数が10日以上の労働者」に対して、「年間
5日について、使用者が時季指定をすることにより与えなければならない」と
されました。
 最低5日は使用者が付与日を指定して付与することが義務づけられたのです。
 我が国の年次有給休暇所得率が他国と比較して低いというデータがあります
が、年間休日数は他の国と比較しても多い方です。
 我が国の休暇政策は、個人が好きな時季に自由に取得するという「年次有給
休暇」制度ではなく、祝祭日にみんな一斉に休むという文化でした。
 私がまとめた年次有給休暇の取得率と年間休日数の国際比較です。
http://www.yamamoto-roumu.co.jp/knowledge/column_vol33.html
本稿はあくまで労働基準法改正の話ですから、この議論は上記をご覧下さい。

(2)我が国の休暇政策から考える対策
 年次有給休暇を年間5日付与するという改正ですが、どの様に実務を考えた
らいいのでしょうか。
本年より8月11日が山の日となり、祝日が1日増えました。
祝祭日は年間16日です。
これに年末年始休暇と下記休暇が加わります。
12月28日が仕事納めと仮定し、三が日だけ休むとすれば5日。
夏期休暇が3日と仮定すれば16日+5日+3日=24日
いわゆる週休に加えて24日も休みがあるのです。
これは年次有給休暇の上限である20日を超える数字であります。
一年365日を一週間の週の日数である7で除すると一年における週の数がで
ます。
これに一週40時間を乗ずると理論上の年間所定労働時間の上限が出てきます。
これが2085時間です。
1日の所定労働時間の上限が8時間だとすると、この2085時間を8で除す
ると理論上の年間所定労働日数の上限が出てきます。
260日。休日数は105日となります。これに年間の祝祭日と年末年始、夏
期休暇の日数を加えると105日+24日=129日になります。
年次有給休暇の取得率を政府が掲げる70%を加えると
20日×70%=14日
129日+14日=143日となります。
政府の掲げる年次有給休暇取得率を達成すると、一年365日のうち、143
日が休日になってしまうのです。
一年の40%が休日です。
年次有給休暇の取得率の議論がいかに無意味かわかる数字です。
年間休日数で考えなければ意味がありません。
ですから、この改正案の対策としては年間の祝祭日日数である16日や年末年
始休暇の5日、夏期休暇日数などで調整するしかありません。
年末年始やお盆など「みんなで一斉に休みましょう!!」という文化を変えて、
個々人の好きな時期に休暇を取って下さい。
この様な政策意図があると仮定して対策を進めなければなりません。
ですから、祝祭日を所定休日とすることを止めるとか、年末年始や夏期休暇の
一斉休業を止めるといった対策をとるしかありません。
くどいようですが、日本人の年間休日数は多いのです。
だから年次有給休暇を取得できないわけです。
年末年始休暇を取得して、直ぐに三連休。
皆さんは休みが足りないとお考えですか?
話はそれましたが、対策としては上記の通りです。

(3)労働者から請求された年次有給休暇との関係
 この5日付与については労働基準法第37条第7項で定められており、第8
項で「前項にかかわらず第5項又は第6項の規定により年次有給休暇を付与し
た場合」には、この5日から控除できるとなっています。
 では第5項とはどの様な条文でしょうか。
「使用者は前各号の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなけれ
ばならない。(以下略」」
これは、労働者が「有給休暇を下さい」と行ってきた場合には時季変更権を行
使する場合を除き、その時季に年次有給休暇を付与しなければならないという
条文です。
 労働者が自ら取得した年次有給休暇をこの5日から控除できるということで
す。
最低でも年間5日の年次有給休暇を付与する事としなさいということが改正案
の主旨なのです。
 因みに第6項は計画的付与です。計画的付与により付与された年次有給休暇
は当然に5日から控除して良いという内容になっています。

3.中小企業に対する月60時間を超える割増賃金率の猶予の撤廃
(1)概要
 3年後の平成31年4月1日(予定)をもって中小企業の猶予措置が撤廃さ
れます。
労働基準法第37条第一項但し書きにて「当該延長して労働させた時間が一箇
月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働について
は、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払
わなければならない」とされています。
 60時間を超えて残業をさせた場合には、1.25の割増率ではなく、1.5
の割増率でその超過労働時間分について賃金計算をしなさいと言う条文です。
 平成22年の改正労働基準法で導入された制度ですが、当分の間中小企業に
は猶予されていました。
 この猶予措置が平成31年4月1日をもって廃止され、原則通り第37条第
1項但し書きが全ての企業に適用されるということになります。

(2)平成22年改正法における中小企業とは
 第138条で中小企業の特例が規定されていましたが今回の改正案で削除さ
れます。
中小企業とは資本金の額又は出資の総額が3億円以下(小売業又はサービス業
を主たる事業とする事業主については5千万円以下、卸売業を主たる事業とす
る事業主については一億円以下)であり、常時使用する労働者数が300人以
下(小売業を主たる事業とする事業主については50人以下、卸売業又はサー
ビス業を主たる事業とする事業主については100人以下)の事業については
猶予されていました。

4.フレックスタイム制の改正
(1)概要
フレックスタイム制とは、わかりやすくいえば一箇月単位の変形労働時間制と
同じ計算方法で、賃金計算期間の所定労働時間の上限を算出し、その範囲内で
労働者に労働日における始業時刻及び終業時刻を労働者に委ねるという制度で
す。
あくまで一賃金計算期間内の調整により、始業時刻と終業時刻を労働者に委ね
ていくという働き方です。
 今回の改正法案では、1ヶ月という期間が3ヶ月まで引き上がられ、最大3
ヶ月の変形労働時間制の中で、始業時刻及び終業時刻を労働者に委ねることが
できるという制度になりました。
 今までは、例えば31日の賃金計算期間であれば、31日に一週間の歴日数
である7日を除し、一週間の法定労働時間である40時間を乗じると177時
間となります。
 この177時間の範囲内で、所定労働日の中で始業終業時刻を自らの裁量で
調整をして働いていました。
 これが最大3ヶ月になるわけですから、3月、4月、5月を例に考えると、
3月は31日、4月は30日、5月は31日の歴日数です。賃金計算期間で考
えますから歴月とイコールではありませんが、分かりやすくするため月末締め
と仮定します。
 上記の計算方法により3月は177時間、4月は171時間、5月は177
時間(分かりやすくするために1時間未満の端数は切り捨てました)ですから
3ヶ月の総労働時間は525時間となります。
 この525時間を3ヶ月の範囲内で、所定労働日において始業終業の時刻を
自らの裁量で調整をして消化するという制度になりました。
 単月ではなく、3ヶ月という期間になりましたので、使い勝手は良くなった
と思います。
 しかし特定の月に勤務が集中してしまい、結果として過労により体調を崩す
という事も想定されます。
 そこで改正法案では一定の制限を設けて防止することとしました。

(2)フレックスタイム制度の新たな規制
清算期間が一箇月を超える設定をしている場合には、賃金計算期間が複数にま
たがっているわけですから、清算期間が一箇月を超えていても毎月賃金の支払
いは必要です。
 その毎月の賃金の支払いについて、割増賃金を計算する場合には、「清算期
間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間
を生じたときは当該期間)ごとに各期間を平均し、一週間あたりの労働時間が
50時間を超えた場合」には1.25の割増率による割増賃金を支払いなさい
とされています。
 清算期間中の賃金計算期間の所定労働時間の上限は規制されていませんが、
清算期間を一箇月ごとに区切った期間(実質的には賃金計算期間と同一の場合
が多い)でその期間に平均して一週50時間を超過する場合には割増賃金を支
払えという構造になっています。

(3)中途入社及び退社との関係
一箇月を超える清算期間を設定した場合、その全ての期間在籍している労働者
については問題ありませんが、中途入社や中途退社、休職や育児休業からの復
帰等、清算期間の全てに勤務していない労働者については現行通り労働させた
期間の労働時間を平均して一週40時間を超過した場合には割増賃金を支払わ
なければならないということになっています。

5.第36条関係
 労働基準法第36条で時間外休日協定を締結し、所轄労働基準監督署長に提
出して受理された場合に限り時間外休日労働をする事ができます。
 「36協定」というものです。
この36協定の限度時間の設定に関して、労働者の「健康」を考慮して厚生労
働大臣が行う事となり、行政官庁による助言及び指導についても「労働者の健
康が確保されるように特に配慮しなければならない」という第5項が追加され
ました。

6.まとめ
 改正による企業実務の影響と対策をお話ししました。
次回はプロフェッショナル制度と裁量労働制を掘り下げたいと思います。

===================================
※ 掲載内容の無断転載は禁止させていただきます。ご一報下さい。
※ 本メルマガの内容につきましては万全を期しておりますが、万一損害が
  発生致しましても責任を負いかねます。
※ メルマガ相互紹介募集中です。

発行者 社会保険労務士法人山本労務
 オフィシャルサイト http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
Facebook http://www.facebook.com/yamamotoroumu

編集責任者 特定社会保険労務士 山本 法史
ご意見ご感想はこちらまで(メルマガ相互紹介、転載等お問い合わせもこちらまで)
norifumi@yamamoto-roumu.co.jp

購読中止・変更 http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
発行システム まぐまぐ http://www.mag2.com/   ID 0000121960
===================================
             ~我々は相談業である~
        ~我々の商品はお客様への安心感の提供である~
             社会保険労務士法人山本労務
東京都八王子市元横山町2丁目5番6号 tel 042-643-5830(代)
  社会保険労務士9名(うち特定社会保険労務士5名)
合計21名のスタッフで皆様をサポート致します!!
           人事のことなら何でもお任せ下さい!

インターネットTV「覚悟の瞬間」に出演しています
http://www.kakugo.tv/index.php?c=search&m=detail&kid=168


===================================

人事のブレーン社会保険労務士レポート

RSSを登録する
発行周期 月刊
最新号 2017/11/15
部数 783部

このメルマガを購読する

ついでに読みたい

人事のブレーン社会保険労務士レポート

RSSを登録する
発行周期 月刊
最新号 2017/11/15
部数 783部

このメルマガを購読する

今週のおすすめ!メルマガ3選

井出ひろゆき 最速不動産オーナーへの道
日本で唯一の不動産満室コンサルタント。 普通の人を不動産オーナーにする スペシャリスト&不動産オーナーに満室コーチング行い、 口コミで無料面談は、常にキャンセル待ち状態。 30代OL、   90日で家賃年収756万円。 40代会社社員 150日で家賃年収1586万8000円。 過去最短でコンサル開始後144日で 20代高利回り2棟家賃年収1456万8千円を記録!!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

首都圏不動産インサイドニュース
不動産業者がゼッタイ言わない最新の業界ウラ事情をリアルタイムで暴露します!!不動産投資で儲けよう!と意気込んでいるあなた。家族を守り夢を叶える手堅い不動産投資ですが数億円の借金を負う100%自己責任の事業。海千山千の業者相手に知識武装は万全ですか?「まかせっぱなし」は命取りです。かく言う私も業者ですが、不動産に携わる者として不幸な投資家さんをゼロにしたい。本気です。業界経験13年のプロとして真実だけをお伝えします。業者と対等な立場で戦ってください。決して損はさせません。村上しゅんすけ
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ダメおやじの全財産をかけた崖っぷちFX通信
【1日に数万人が熟読する人気FXブログのメルマガ版】 相場歴30年以上のダメおやじがFXノウハウを大公開! 毎朝配信!毎日の経済指標情報や攻略法を無料で解説しています。 ●損切りがうまくできない、利食いが浅い ●ポジポジ病(ポジションを不要に持ってしまう) ●コツコツドカーン(小さく勝っても大きく負ける) ●エントリータイミングわからない ●メンタル面が弱い このようなお悩みがあれば購読してみてください。 FX初心者から経験者まで、FXの悩みをこのメルマガで解消します。 期間限定でメルマガ内で数万円相当分のFX情報商材をプレゼント中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

僕は『絶対倒産する』と言われたOWNDAYSの社長になった。
売上20億,負債14億,赤字2億『絶対倒産する』と言われ、メガネ業界内ではただの質の悪い安売りチェーンと馬鹿にされ続けていたOWNDAYS(オンデーズ)を30歳の時に買収し社長に就任。その後、10年間で奇跡のV字回復を遂げて、売上150億,世界10カ国に進出するまで・・、みたいな巷によくある再生物語。半分ノンフィクション。半分はフィクション。いつまで、どこまで書き続けるかはまだ未定です。 https://www.owndays.com Twitter:https://twitter.com/shuji7771 blog:https://ameblo.jp/shuji7777/
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

生きる意味は仏教に学びなさい
あなたは何のために生きていますか?なぜどんなにお金があっても幸せになれないのか。あなたの人生をむなしくする心の闇とは?今この瞬間に幸せを感じ、後悔のない人生にする方法。本当の生きる意味とは何か。仏教史上初のウェブ通信講座を開設して年間受講者数日本一、5万部突破のベストセラー『生きる意味109』の著者・中村僚が、現代の葬式法事の仏教界では失われた、生きている人を心から幸せにする仏教の秘密を分かりやすく公開。発行者サイトでも隠された仏教の教えを知る秘密を無料プレゼント中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

石渡浩の不動産投資を本業に―保証人無しでも融資を受け自己資金にレバレッジをかけて家賃年1億円越えを―
大学院修了時に資本金990万円で作った投資不動産保有会社の石渡住宅サービスを9年後の2016年に上場企業フィンテックグローバル子会社ベターライフサポートホールディングス等に約5億円で売却(株式譲渡)して上場会社連結子会社にして石渡住宅サービス(現商号:ベターライフプロパティ)名誉会長に就任した石渡浩が,自己資金数千万円規模の一般投資家さんを主対象に,銀行融資を活用してアパート経営を成功させ不動産賃貸業を本業にするためのノウハウを伝授します. 主著:『たった4年! 学生大家から純資産6億円を築いた私の投資法- 借りて増やす技術-』ソフトバンククリエイティブ(2012)
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

アーカイブ

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング