JCJふらっしゅ

[JCJふらっしゅ]2006/08/25 1158号


カテゴリー: 2006年08月25日
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2006/08/25 1158号                    (転送紹介歓迎)
[JCJふらっしゅ]


世界の平和にかかわる最新ニュース、マスメディアのニュースの検証など、市民とジ
ャーナリストを真実の情報でつなぐメールマガジンです。メディア関係者、ジャーナ
リスト志望学生必見の情報を満載。
◇バックナンバー◇ http://blog.mag2.com/m/log/0000102032
◇購読申込み◇ http://www.mag2.com/m/0000102032.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌────────────┐
  C・O・N・T・E・N・T・S
└────────────┘
◆◇Z記者の「報道の現場から」
  戦争になれば日本学生ら若者4割は戦う 日中韓の若者意識調査

◎◎「可能性としてのNHK」へ向かって(案) ◎◎
   〜NHK経営者と放送現場への私たちの提案〜
   ・放送を語る会「私たちの提案」作業チーム

□■日程情報□■
(新着=日付の前が「*」、変更等あり=同「※」、既報=同「・」、本日=同「☆」)
・8月26日(土)14:00〜20:30 渋谷勤労福祉会館第一洋室
  第17回 放送を語るつどい「みんなで語ろう”理想のNHK”」
・8月27日(日)午後1時半ー4時半 練馬公民館第1教室 「未来を開く歴史」学習会
  「教科書。日中韓外交問題が問いかけるもの」 講師:阪東宏明大名誉教授
・9月1日(金)午後6時開場、6時30分開会 千代田区立内幸町ホール
 講演と音楽の夕べ/改憲勢力は何を狙っているのか 講師: 佐高 信 歌:新谷のり子
・9月1日(金)開演19:00 文京シビックセンター 小ホール
  広河隆一緊急スライド報告会 「レバノンで何が起こったのか」 
・9月2日(土) 午後2時 〜4時 広島YMCA会館4階会議室
  第30回「9・2 不戦のつどい」(JCJ広島) 講演:水島朝穂
・9月2日(土)18:00〜20:40 ミローホール(大阪市西区南堀江)
  〜平和のNGO(または個人)の交流集会と平和ミュージシャンライブコンサート
・9月3日(日)午後1時30分〜上映 ひと・まち交流館 京都
  上映『ガーダ パレスチナの詩』監督・撮影:古居みずえ
・9月8日(金)午後6:30開会 岩波セミナールーム JCJ出版部会
  格差社会のひずみを考える〜 取材現場からの報告 〜 講演:竹信三恵子

(集会日程、学習会日程、その他イベント等各日程の詳細は記事の下をご覧下さい)
*みなさんの集会・イベント参加レポートをお待ちしています。yuji@jcj.gr.jpまで。

──────────────────────────────────────

  ◆◇◆◇┌─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┐◆◇◆◇
      │Z│記│者│の│「│報│道│の│現│場│か│ら│」│
      └─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┴─┘

▽戦争になれば日本学生ら若者4割は戦う
 日中韓の若者意識調査

 このほど韓国政府傘下の「韓国青少年開発院」が日本と韓国、それに中国の各国若
者約1000人を対象に行った調査で面白い結果が出た。

 16日に発表された意識調査結果では、まず「戦争になれば戦うか」との問いに、
「イエス」と答えたのは日本が41・1%で最も多く、2番目の中国の14・4%と
大きな差があった。

 その反面、日本は「ひとまず逃げる」も38・4もあり、韓国の「状況をみて判断
する」の34・4%や中国の「出来る役割を果たす」の55・7%に比べ、対照的な
回答を示していた。

 また、中国の若者の88・3%、韓国の74・7%が「自国の社会は将来良くなる」
と答えたのに対し、日本は66・5%が「今と同じか悪くなる」と回答していた。そ
の中で、日本の7割、韓国の8割が自分の国の政治家は信頼できないと答えた。

 このほか、「自分の国の長所は何か」の問いに、日本は「礼儀を守ること」、韓国
は「団結心」中国は「勤勉性」が最も多く、その反面、短所は何かとの問いに、日本
が「ぜいたく」を挙げ、韓国は「性急さ」、中国は「利己心」を挙げたという。

 逃げ出すと答えた日本の若者の多かった半面、4割が戦うと答えた。日本は中国や
韓国などのように徴兵制度がない。兵役の実感がわかないということなのだろうが、
それが「戦争」の悲惨さを想像できない、人の命の大切さを実感できない人々を生み
出す傾向に結びつくのだとしたら、見直すべきことは多々ある。それを逆手に取って、
教育基本法改悪を唱える政治家もいる。要注意だ。

──────────────────────────────────────


      ◎◎ 「可能性としてのNHK」へ向かって(案) ◎◎

          〜NHK経営者と放送現場への私たちの提案〜


2006年8月26日
                   放送を語る会「私たちの提案」作業チーム

… … … … … … … … … … … … … … … … … … … 
【目次】
1.はじめに 〜"可能性としてのNHK"とは〜
2.番組・ニュースにおける表現の自由を確保し、テーマにタブーを設けない多様な
 放送を実現すること。
  1)国民の知る権利とテーマの多様性の保障
  2)NHKがいう「編集権」概念は認められない
3.放送における表現の自由と多様性を確保するために、取材・制作者の権利を保障
 する制度を確立すること
  1)「内部的自由」の保障制度をつくるべきである。
  2)「編集協議会」の設置へ向けて
  3)NHK外部のプロダクションと制作者の権利の擁護
  4)BPOに権利救済の窓口を設けることはできないか
4.経営、放送における自主、自立を守り、つらぬくために、具体的な指針を作成し、
 視聴者市民に公開すること
5.受信料を支払っている市民が権利を行使できる具体的な制度を検討し、実現すること
  1)番組審議会の権限と機能を強化すること
  2)NHKへの市民の声を取り上げる番組の新設、レギュラー化
  3)パブリックアクセス放送ワクの確保、市民メディアへの物的・技術的援助
6.経営者も現場制作者ももっと広く市民の中に入り、視聴者市民との対話を強化す
 ること
  1)視聴者運動との対話を
  2)労働組合への期待
7.おわりに 〜残された問題〜

… … … … … … … … … … … … … … … … … … … 

◇◇◇ 1.はじめに 〜"可能性としてのNHK"とは〜

 繰り返し指摘されているように、NHKはいま危機にある、と言われています。
 受信料の使途にかかわる不祥事や、番組への政治介入疑惑によって、視聴者の不信
を招いたこと、受信料の不払いの増大と、政府・財界などによるさまざまな制度改変
のプラン、などが、NHKを揺るがしていることは事実です。これはたしかに「危機
的」な状況です。

 しかし、危機とはいえ、私たちの目の前にあるNHKは、テレビ、ラジオ8波を保
有し、多様な放送を出し続けている巨大な放送事業体です。多数の施設、設備と、高
い能力を持った職員、NHKの仕事を担っている膨大な外部の事業者、制作者の集団
が存在しています。

 この、NHKに集まっている技術力、人的財産、そしてなお視聴者の根強い信頼は、
これまでNHKで働いてきた人びとの永年にわたる努力によって培われてきましたが、
それは同時に、私たちひとりひとりが払ってきた受信料によって形成されたものです。

 いわば国民の共有財産ともいえるこの放送局は、幸いにも、放送制度上、建て前と
しては、政治権力からも企業からも自主、自立が保障されている放送局です。視聴者
市民が受信料を負担して維持している放送局、―― 私たち視聴者市民からすれば、
これは非常に大きな可能性をもつ存在とみえます。

 これまでの実績の上に、真に政治権力から独立し、民主主義の発展に資するような、
多様で豊かな放送を、視聴者市民の参加のもとに実現できるようなNHKであれば、
いまのNHKに失望し批判的な市民も、NHKを支える受信料制度の重要性について
周りに訴え、制度を守る運動に参加する展望が開けるはずです。
 
 私たちはこれまで、現在のNHKについて、不祥事や政治介入疑惑について厳しく
批判し、折にふれて申し入れや署名活動などを展開してきました。しかし、いま必要
なことは、批判だけにとどまらず、NHKを、真に国民のための放送局へ向かう可能
性のある存在、いわば"可能性としてのNHK"として捉え、視聴者市民として発言し、
運動を展開していくことだと考えています。

 NHKを視聴してもしなくても、また罰則規定がないのに、7割もの世帯が年間2
万数千円もの受信料を納めている、という状況は世界に例がなく、限りなく重い意味
を持っています。このような制度を維持するということは、経済的利害、市場原理に
したがったものとは根本的にちがう、何か道義的、理念的な運動という性格を持たざ
るをえません。

 市場原理優先、経済的利害で行動する傾向が強まっている日本の社会で、もし将来
も受信料制度を維持しようとするなら、NHKが主張し運動するだけでは充分ではあ
りません。NHK外の視聴者市民が、分厚い市民運動、国民的合意を得るための大運
動でも展開しなければ維持され得ないほどの困難な課題でしょう。

 こうした受信料制度を維持するためには、「国民のためにNHKが必要だ」という
国民的合意が必須ですが、現在のNHKを前提にした場合、必ずしもその合意は成立
しそうもありません。もしそうであれば、受信料制度に支えられたNHKの崩壊は近
いかもしれない、これがNHKの危機の本当のすがたです。

 このような危機を回避するために、どのようなNHKであれば、視聴者市民がNH
Kを支持し、受信料制度を維持する運動にまで取り組むような新しい状況が開けるの
か、これから述べることは、そのための、いくつかの当面の提案です。
それは次の5点に集約されます。

 1)番組・ニュースにおける表現の自由を確保し、テーマにタブーを設けない多様
 な放送を実現すること
 2)放送における表現の自由と多様性を確保するために、取材・制作者の権利を保
 障する制度を確立すること
 3)経営、放送における自主・自立を守り、つらぬくために、具体的な指針を作成
 し、視聴者市民に公開すること
 4)受信料を支払っている市民が権利を行使できる具体的な制度を検討し、実現す
 ること
 5)経営者も現場制作者ももっと広く市民の中に入り、視聴者市民との対話を強化
 すること

 ◆ 放送を語る会とは

 当会は1989年に発足し、放送労働者・ジャーナリスト、メディア研究者、視聴
者市民が参加し、放送の問題について話し合い、学習している団体です。これまでN
HKの動向に注意を向け、繰り返しフォーラムやシンポジウムなどを開催してきまし
た。

 放送関係者では、NHK、民放ともに出身者が会員となっていますが、とくにNH
Kの退職者が数多く含まれています。NHKの現場を体験した会員は、建て前として
の「NHKの改革」が、現場では言葉でいうほど簡単ではない、ということを充分承
知しています。同時に、NHKが放送における公共性を実現できる可能性がもっとも
大きい放送企業だということも、実際の業務を通じて体感しています。

 以下の文章が、そうした会員の意見を最大限に取り入れた提案であることを最初に
記しておきたいと思います。
 
 「取材・制作者」とは

 以下の「提案」で、「取材・制作者」とは、現場でニュースの取材、ニュースの制
作、番組制作に従事するすべての人びとを指し、記者・デスク、プロデューサー、デ
ィレクター、キャスター、アナウンサー、リポーター、撮影、録音、照明、音響効果
などの技術スタッフ、編集マン、など、放送にかかわる実質的な制作担当者をイメー
ジしています。現場で指揮・管理を行う部課長級の管理職も含みます。


◇◇◇ 2.番組・ニュース制作における表現の自由を確保し、テーマにタブーを設
けない多様な放送を実現すること


 1)国民の知る権利とテーマの多様性の保障

 放送法は、第一条で、放送を法で規律するにあたって三つの原則に従うとしていま
す。その中でとりわけ重要なのは、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障すること
によって、放送による表現の自由を確保すること」「放送に携わる者の職責を明らか
にすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」という
条文です。

 いま、放送事業者はこの法の精神に立ち返ることが強く求められています。放送に
よる表現の自由はほんとうに確保されているのか、あるいは放送が「民主主義の発達
に資するもの」になっているのか、視聴者市民もまた厳しく放送の現状を検証すべき
でしょう。

 国民主権を根幹とする民主主義制度を実質的にするためには、国民は問われている
政治、社会、文化の問題について、自らの判断に必要な多様な情報、事実、意見、見
解などをメディアを通じて広く入手することが欠かせません。国民主権の原理は「知
る権利」の保障を当然前提とするものです。

その際、メディアの中で最も影響力が大きいとされるテレビの中では、政治権力から
も広告主からも独立しているはずのNHKが、最も重要な役割を果たすべきは当然で
す。NHKの放送では、取材、制作上の倫理を踏まえた上で、多様なテーマをタブー
を設けずに取り上げ、国民にとって重要な問題を外さず、常に争点を明らかにする番
組・ニュースを放送することが求められます。とくに、意見が対立する問題について
は、多角的に論点を明らかにする、という放送法の規定を徹底させることが重要です。

 私たちがこのような自明ともいうべき主張を繰り返すのは、NHKの放送になおタ
ブーと偏りがあるのではないかという印象があるからです。

 たとえば、戦争と平和に関する一連の番組は、民放に比べて大いに評価できますが、
アジア太平洋戦争時の日本の加害責任についてはほとんど取り上げられてきませんで
した。戦争における日本人の被害については多くの優れた番組がありますが、アジア
の人びとに与えた被害については充分には伝えない、これはNHKの戦争関連番組の
際立った特徴といえるでしょう。

 また、イラク戦争報道では、米日政府の政策や見解の報道が大きな部分を占めたの
に比して、戦争批判、反戦の運動の紹介はわずかな分量にとどまっていました。これ
が民放のニュース番組にくらべても特徴的だったことは、当放送を語る会の詳細な調
査でも明らかでした。(「テレビはイラク戦争をどう伝えたか」放送を語る会 2003
年)

 アメリカ軍の攻撃によるイラクの市民の被害についても、報道に不満が残りました。
イラクに踏みとどまったフリーのジャーナリストの報告を取り上げようとした「クロ
ーズアップ現代」が、放送直前に理事の指示で放送中止に追い込まれたのはこの間の
象徴的なできごとです。

 このほか、企業内で横行する人権無視、市民運動に対する警察の過剰な取り締まり、
教育現場における君が代・日の丸強制と処分、等々、ジャーナリズムとして伝え、告
発すべきテーマが充分に取り上げられているとはいえません。

 同時に、テーマの多様性だけではなく、テーマの重要性に対応する放送時間量も問
題です。憲法九条や教育基本法に関する議論、また高齢者福祉の政策に関する議論な
どは、日本の政治上の大問題ですが、昨年から現在まで、政党討論を別にすれば、N
HK独自の取材、調査による番組はけっして多いとは言えません。

 国民の重要な政治的判断にかかわる問題については、繰り返し圧倒的な時間量で取
り上げ、視聴者市民の討論の広場としての「公共放送」の役割を果たすべきです。た
しかに、テーマによっては政治家の圧力や、特定の団体の抗議行動などが予想されま
す。しかし、受信料を支払う市民に直接支えられる放送局という気概をもって、扱い
の難しいテーマに果敢に挑戦してほしいと考えます。

 2) NHKがいう「編集権」概念は認められない

 以上のような放送の多様性は、まずNHKで働く人々の思想・表現の多様性に基礎
をおくべきです。ディレクター、プロデューサー、記者だけでなく、キャスター、ア
ナウンサー、リポーター、技術スタッフその他制作にかかわる人びとも、市民として
社会の中で生活し、何が問題か、何を放送で取り上げなければならないかを考える存
在です。

 こうした現場の制作者たちは、国民の知る権利の行使を放送人として委託され、そ
の要請に応える任務を持っています。したがって、現場制作者の表現の自由は最大限
に尊重されなければなりません。この考え方の対極にあるのは、戦後日本のメディア
企業の歴史の中で、労働組合や現場の意見を封殺する武器として使われてきた「編集
権」概念です。

 よく引用されるNHK法規室の解説は、「編集権は会長の業務執行権の中枢」であ
り、「編集・放送のすべての段階において、一般職員の業務は、すべて就業規則によ
る業務遂行上の義務」、であるから、「編集に参画する権利が一般職員に与えられて
いるものではない」としています。

 私たちは法的な根拠もないこのような編集権概念を到底認めることはできません。
編集権を、経営者である会長や放送総局長から番組制作局長に移せばよい、という見
解もありますが、これも危険です。複雑で多岐にわたる現実を取材し、創造的で集団
的な作業と表現が要求される多数の番組について、たった一人のトップが適否を判断
する、という体制は、番組制作・ニュース取材のように、精神的な作業を中心とする
職場ではもともと不自然です。

 放送局の構成員ひとりひとりが、国民の多様な知る権利の付託をうけ、それを実現
する任務を負っている、と考えるならば、企画の採否や、番組内容の適否については、
できるだけ現場の民主的な合議によって決するのが健康な状態です。組織である以上、
セクションのトップが決定するということは避けられませんが、その際も現場に対し
て説明責任が果たされ、判断の理由が局内で公開される必要があります。

 働く立場から言えば、NHKがいうような編集権概念はまったく認められないし、
不要です。戦後のメディアの歴史の中で、編集権は社外からの不当な干渉や圧力に対
抗するもの、とされていました。しかし、NHKにあっては、この概念を使う必要は
なく、放送法第3条「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人
からも干渉され、または規律されることがない」という条文を武器にすれば充分です。


◇◇◇ 3、放送における表現の自由と多様性を確保するために、取材・制作者の権
利を保障する制度を確立すること


 1)「内部的自由」の保障制度をつくるべきである

 2005年1月、4年前に放送した「ETV2001"問われる戦時性暴力"」に政治
家の圧力、介入があったという内部告発があり、その後裁判を通じてさまざまな事実
が明らかになりました。ここでは詳述しませんが、番組制作の最終段階で、政治家の
意向をうけた国会担当役員が、番組担当部の部長とプロデューサーが最終的に作成し
た番組内容に直接介入し、大きく改変した、という事実は疑いようがありません。

 番組内容の改変は放送直前まで続き、部長とプロデューサーが激しく抗議したにも
かかわらず、放送数時間前に、日本軍「慰安婦」だった証言者の重要な証言などの削
除が放送総局長の「業務命令」という形で強行されました。
当時のプロデューサーは、今年3月、この改変事件が争われている東京高裁での証言
で、この削除について、「・・・非常に恥ずかしい、歴史的なつらい体験をおとしめ
るような、そういう振る舞いをしたことの無残さということが。・・・やっぱり間違
っていたんじゃないでしょうか」と、涙を交えた痛切な調子で述べています。
この番組に対する介入は番組制作時だけでは終わりませんでした。

 プロデューサーの証言のあと、国会で自民党議員がこの裁判を取り上げ、NHK会
長に対し、証言したプロデューサーと内部告発をした当時のデスクへの処分を迫りま
した。この経過のあと、6月に行われた管理職の人事異動では、自民議員が言及した
二人の職員に対し、番組制作現場から外し、事務、研究部門へ配転する異動を行いま
した。現場では明らかな報復人事と受け止められています。

「ETV2001」をめぐって起こったことは、「公共放送」を標榜するNHKの自
主自立にたいする重大な疑惑を生み、その根幹を揺るがすものでした。同時に、メデ
ィア内部で働く人びとの権利に関しても深刻な問題を改めて提起しました。自らの思
想、信条に基づいて行おうとした表現行為と、上司の業務命令が重大な対立を生じた
とき、またそのことを外部に向かって公表、証言したことを理由に人事上不利益な扱
いを受けたとき、日本のメディア内部では異議申し立てや救済をはかる手段がないこ
とが、切実な問題として浮き彫りになったと私たちは考えています。

 メディアにおける「内部的自由」の保障の制度については、ドイツの放送機関の例
が70年代から日本でも紹介され、民放、NHKの労働組合もその必要性を主張して
きましたが、30年を経た現在に至っても、日本では実現していません。

 2)「編集協議会」の設置へ向けて

 日放労(NHK労組)は、このような救済機関として、早くから「編集協議会」の
設置を主張しています。私たちも、この提案が実ることを視聴者市民として大いに期
待するものです。その提案の内容は、1991年に、当時の日放労奥田良胤委員長ら
が執筆、発行した「新公共放送論」で次のように紹介されています。

 「『編集協議会』とは、制作・取材に携わる者が自由な雰囲気のなかで自己の良心
のみにしたがって制作活動に専念できるようにすることを目的としたものです。具体
的には、管理者から自己の良心に反する業務を命じられたとき、または、みずから制
作に携わった番組の放送が中止されたり、内容が改変されたときに、事実関係を調査
のうえ『裁定』をおこなう機能と権限をもった、NHKの内部機関とします。経営者
側と制作・取材の現場代表がそれぞれ推薦する同数の委員で構成するようにしたらど
うでしょうか」(134ページ)

 この「編集協議会」の主張は、日放労が刊行した「公共放送ルネッサンス99」(
1999年・235ページ)にも引き継がれています。こうした経営者と現場が作る組織は、
放送制作者の権利を守ることで、視聴者市民の知る権利に応えようとするものです。
また、放送制作者に本来保障されるべき権利については、民放労連(民放各社の労働
組合の連合組織)が提案している「視聴者のための放送をめざす民放労連の提案」(
1991年)の「制作者の権利」の項が参考になります。その内容はつぎの通りです。

「番組づくりに携わる制作者の言論・表現の自由を最大限に保障することによって放
送の多様性を実現すること
1、直接的に言論・表現に携わる放送関係者は、本人の同意なしに異業種への配置転
 換あるいは契約解除を受けない
2、直接的に言論・表現に携わる放送関係者は、自らが関与する番組、または取材担
 務から正当な理由なく排除されない
3、企画・制作過程、放送結果などについて会社側の措置に異論や批判がある場合、
 それについて自分の意見を内外に公表する権利があり、それを理由にいかなる不利
 益待遇も受けない
4、自らが関与する放送番組が議題となる社内の会議に出席し発言する権利があり、
 そのことによっていかなる不利益待遇も受けない
5、憲法上の規定に反する問題、あるいは自らの思想・信条・宗教に反する仕事を強
 要されない権利があり、拒否したことを理由にいかなる不利益待遇も受けない
6、会社は、労働組合が団体交渉の席上で、放送番組について、あるいは記者、制作
 者の権利について議題とした場合、誠意を持って応じなければならない」
 
 以上のような「内部的自由」の保障制度や、制作者の権利の主張は、経営者がまっ
たく応じることがなかったため、永らく"絵に描いた餅"でした。しかし、「ETV2
001事件」のような深刻な事態を経た今、放送メディア内部で、制作者の権利を明
確にするとともに、「内的自由」の保障のシステムをぜひ作るべきです。

 とくにNHKについては、上記のような民主的なシステムがなく、政治家の圧力に
屈して「自主規制」するとか、政権党の要求を入れて報復人事を行う、などの疑惑を
生じるようでは、視聴者としては到底"私たちの放送局"というふうに思えないでしょ
う。もし「公共放送」というなら、内部においても民主的な組織であってほしい、と
いう視聴者市民の声に真摯に応える必要があります。この要求に関しては、私たち視
聴者団体は、メディアの労働組合と連帯して運動する用意があります。

 3)NHK外部のプロダクションと制作者の権利の擁護

 現在、NHKで放送している番組は、すべてNHKの職員が制作しているわけでは
ありません。NHKは関連会社に番組の制作委託を行い、関連会社は実際の制作を外
部プロダクションに委ねています。NHKの外注比率は平成16年度実績で39.9
パーセントに達しました。

 このような状況の中で、NHK――関連会社――制作プロダクションという多重構
造に批判が生まれていました。NHKは今年度の組織改正で編成局に新たにソフト開
発センター設置、外部からの提案募集から内容管理まで、関連団体を通さずに実施で
きる体制を作ったとしています。

 私たちは、この直接委託がどのような状況を生むか注意深くみてゆきたいと思いま
すが、NHKの外部の事業者、制作者が番組制作に多く参加している実態を踏まえ、
NHK本体の制作者と同じように外部プロダクションの制作者の権利保障をはかるこ
とはどうしても必要だと考えます。

 外部プロダクションは、NHKとの契約関係の中で、ともすれば弱い立場に置かれ
る場合があるために、番組内容の判断についても、著作者としての権利の面でも不利
な立場におかれてきた実態がありますし、外部プロダクションの番組制作の現場では、
技術スタッフなど多くの労働者が低賃金、不安定雇用の状態で働いています。

 今後、こうした契約関係での苦情や、フリー契約者・外部プロダクション社員など
の権利保護・労働相談のための苦情処理機構を設けることが検討されるべきです。先
に述べた「編集協議会」も、プロダクション制作者から苦情や、救済の申し立てがで
きるような、開かれた機関である必要があります。

 4)BPOに権利救済の窓口を設けることはできないか 

 しかし、NHK労組が主張するような「編集協議会」など、新たな苦情処理機構を
設置することは、簡単なことではありません。そこで一つの選択肢として、NHKと
民放連(日本民間放送連盟)が設立した第三者機関であるBPO(放送倫理・番組向上機
構)にあるBRC(放送と人権等に関する委員会)に、放送メディア内部の人権侵害、放
送法違反の事案について、訴えを受け付ける窓口を設けることはできないでしょうか。

 いうまでもなく、BRCは、視聴者の立場に立って、放送による人権侵害を救済するこ
とを活動内容としている委員会です。放送メディア内部に起こった人権侵害は救済の
対象ではありません。しかし、BPOは、放送局に対し厳正な判断をすることで、権力の
介入を防ぎ、ひいては報道の自由を守り、より良い番組を作り続けることができる環
境を守っていくことで、放送の自律を確保しようとしている機関です。(BPOホームペ
ージから)

 放送局内部の人権侵害や、表現の自由の侵害は、放送メディアの自律と発展にとっ
て重大な障害になるものです。放送局の自律を図る第三者機関が、こうした問題にも
窓口を広げることは検討されてもよいと考えます。放送局内部の人権侵害や、表現の
自由の侵害について、まったく救済機構がない、というのは、わが国のメディアの後
進的状況です。これを変えるために、第三者機関の役割を拡充することは、選択肢の
一つではないでしょうか。


◇◇◇ 4、経営、放送における自主、自立を守り、つらぬくために、具体的な指針
を作成し、視聴者市民に公開すること


 先述の「新公共放送論」は、1981年のロッキード報道カット事件と、カットに
抵抗した記者たちへの報復人事にふれて次のように書いています。

「政権交代がないという日本の特殊な政治状況のなかで、免許やさまざまな公共的規
制のもとにある放送事業の経営者は、守りの意識が優先するあまり、番組に対する政
府筋からのクレームを避け、その意を迎えるため「自主規制」したり番組を歪めるこ
とがままあると聞きます。・・・」(129ページ)

 この文章は、その10年後、政治介入の疑惑を生んだ「ETV2001事件」につ
いて正確に予測したかのようにみえます。「ETV2001事件」は、番組制作過程
で、「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」に所属する国会議員の圧力があ
り、その意を受けた国会対策のNHK役員が、番組の編集に介入し、現場の意に反し
て異様な改変を行った事件だと私たちは捉えています。

 それにとどまらず、当時、政治的圧力があると感じたと裁判で証言した職員に対し、
政権政党議員の要求に応じるかのように報復的人事が行われました。NHKの経営者
は、現在も政治的圧力があったことを否定し、人事も「適材適所」だと説明していま
す。しかしこれら一連のできごとの真実は将来必ず明らかになるはずです。できれば
早い段階で、見識のある経営者の手で、正確な事実が明らかにされることを強く要請
したいと思います。

 ただ、NHKは、視聴者の批判に応える形で、2006年3月31日発表の「新放
送ガイドライン」の「自主自律の堅持」の項で次のように書きました。

「・・ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。
NHKは放送の自主自律を堅持する。全役職員は、放送の自主自律の堅持が信頼され
る公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。日々の取材活
動や番組制作はもとより、放送とは直接かかわりのないNHKの予算、事業計画の国
会承認を得るなどの業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない。」

 わざわざ「国会承認を得る業務にあたっても」という語句を入れているのは、「E
TV2001事件」での政治家への事前説明が批判されたからだと思われます。全体
としてこの姿勢は当然であり、従来のガイドラインより前進だと評価できます。しか
し、私たちは、この精神を確実に保証するために、さらに具体的な取決めが必要だと
考えます。それは、つぎの二つのルールです。

 (1)個別の番組について、政治家に事前説明は行ってはならない
 (2)国会対策、政治家対策の業務に従事する役職員は、番組制作過程に参加、介
入してはならない

 この二つのルールが、上記ガイドラインのような文書で明文化されれば、NHKの
「自主自律」はもっと分りやすく明確なものになります。「ETV2001事件」を
契機に現在受信料の支払いを停止している視聴者も、支払いを再開する可能性が生ま
れるのではないでしょうか。


◇◇◇ 5、受信料を支払っている市民が権利を行使できる具体的な制度を検討し、
実現すること


 放送法では、受信機を設置した者はNHKと受信料支払いの契約をしなければなら
ない、として視聴者市民側の義務を定めていますが、奇妙なことに、この義務に見合
う受信料支払い者の権利は何も規定していません。実際にも、視聴者がNHKの経営
に参加し、その意思決定に影響を与える制度は何ひとつないのです。今ある視聴者の
権利としては、抽選で当たれば公開番組を参観できるくらいでしょう。

 これは実に奇妙なことです。受信料を支払った市民はNHKの主権者であるのに、
権利はない、という状態です。これは何とか改革しなければなりません。根本的には、
経営者を公選で選ぶとか、視聴者の代表が参加する議決機関を設けるなどの制度が考
えられますが、これには放送法の改正が必要です。

 NHKの役職員は、現行法のもとで受信料支払い者が権利を行使できる具体的な制
度を検討し、発案すべきです。
私たちはとりあえずつぎのような改善案を提案します。

 1)番組審議会の権限と機能を強化すること。

 放送法では、放送事業者の諮問に応じて、番組の適正を図るために必要な事項を審
議し、意見を述べることができる「放送番組審議機関」の設置を定めています。NH
Kの地方と中央におかれている放送番組審議会、国際放送にかかわる国際放送番組審
議会は、この条項によって設置されている常設の審議機関です。

 放送事業者は、番組基準や放送番組の基本計画をこの審議機関に諮問することを義
務づけられており、この審議機関の答申や意見を尊重し、必要な措置を講なければな
らない、とされています。また、審議機関の答申や意見、議事の概要、事業者が講じ
た措置の内容は公表しなければならない、と定めています。(放送法第三条の四)

 このように、NHKの地方と中央におかれている放送番組審議会は、放送法で重要
な地位が与えられています。しかし、実質的には、NHKが選定したメンバーが、個
々の番組に意見や感想を言う「番組モニター会議」にとどまっている、という批判が
以前からありました。

 NHKが中央、各地の番組審議会に諮問し、それに対する答申があり、さらにNH
Kが措置を講じて、その経過が公表される、という例を、私たちはあまり見ていませ
ん。受信料を納めている視聴者の、NHKに対する権利の貴重な行使の場のである番
組審議会を、放送法の規定にしたがって、より強化し、実質的なものにすることは現
実的な課題です。

 審議会の委員は、中央審議会と国際審議会にあっては、経営委員会の同意を得るこ
とが必要ですが、すべて会長が委嘱することになっており、委員の委嘱はNHKの自
主的判断でできるわけです。まず審議会の委員のなかに公募ワクを設け、公募した市
民の中から抽選で委員を選び、必要な手続きを経て委嘱するようにしてはどうでしょ
うか。

 こうすればNHKに対して発言したい視聴者が審議会に参加できる道が開けます。
また、視聴者市民側に委員の推薦を広く要請する、という方策も検討されるべきでしょ
う。要は、NHKに対し積極的に主張、発言したい、という視聴者市民の参加を可能
なかぎり実現すべきだということです。

 審議会には、諮問に対する答申にとどまらず、一定期間の審議の内容を集約し、文
書の形でNHKの放送、経営内容についての意見を作成、公表し、NHKの回答も公
開する、などの活動を望みたいものです。このことで、市民の要請にNHKがどう答
えているかが明らかになり、市民の側からNHKを変えていくひとつの手がかりを提
供できるのではないでしょうか。

 2)NHKへの市民の声を取り上げる番組の新設、レギュラー化

 これはかなり以前から市民から提案されていたものです。NHKから方針を説明す
る番組ではなく、長時間、生のディスカッション番組を定時化し、視聴者市民が批判
も支持もNHK役職員にぶつけます。その結果が日常のNHKの放送に生かされるか
どうかが衆人環視のなかで検証できるようにします。

 3)パブリックアクセス放送のワク確保、市民メディアへの物的・技術的援助

 市民が番組を自主制作し、発信する市民メディアの運動は、市民社会の成熟の表現
であり、少数の送り手と多数の受け手、という固定したメディア関係を市民が主体的
に打破していく運動の意味を持ちます。これはこれまでにない放送の公共性の領域の
拡大であり、「公共放送」NHKは市民メディアへの援助をその任務のひとつとして
考える必要があります。

 市民メディアの担い手からは、市民メディアの作品を放送する時間ワクをNHKの
保有するチャンネルの中に設けることと、市民メディアへの物的・技術的援助を求め
る声が上がっています。これに応ずることは、市民の情報発信を支援することによっ
て、民主主義の発展に資することになり、同時に、受信料の一定額をこうした市民の
運動の支援に当てることで、受信料制度にたいする国民の支持を拡大することにもつ
ながるでしょう。


◇◇◇ 6、経営者も現場制作者ももっと広く市民の中に入り、視聴者市民との対話
を強化すること


 1)視聴者運動との対話を

 この「提案」の"はじめに"で、受信料制度の維持はすぐれて理念的な運動であって、
経済的利害によるのではない負担、という制度は、一種の巨大な市民運動を必要とす
るほどのものである、と指摘しました。もしそうであれば、NHKは「あるべきNH
K」への改革を、もっと視聴者市民とともに進めることが求められますし、そのため
に視聴者市民との対話をいっそう重視してほしいと考えます。

「ふれあいミーティング」と名づけたイベントを各地で数多く開催して、きめ細かく
視聴者の声を聴く活動が展開されていることは評価できますが、残念ながら、NHK
に対して批判的な市民団体、市民運動に対しては対話が閉ざされているという印象が
ぬぐえません。

 NHKが主催するイベントだけではなく、市民が自主的に開催する集会などにも、
経営者、労組は、積極的に出席して、ヒザ突合せて議論する努力をもっとしてほしい
ものです。なぜなら、今NHKに批判的な市民運動の担い手の中にこそ、公共放送に
ついて意識的に考え、それが重要であることを主張する人びとが多いからです。

 また、NHKの現場の制作者は、自ら制作した番組を持って市民の中で上映運動を
するような活動を試みてほしいものです。そこで番組批判や、番組への要請を直接聴
くことはNHKと市民との関係を深め、市民の要求を放送内容に反映することを大き
く助けるでしょう。

 2)労働組合への期待

 これまで述べてきたような改革の提案は、NHK経営者の自覚的判断ではなかなか
実現しないことが予想されます。そこには、メディア労組がはたす役割が大きくある
はずです。とくに取材・制作者の権利保障の機構の創設などは、経営側が自主的に設
置するとは考えにくく、メディア労組、NHKにあっては日放労が、実力を背景に迫
らないと実現は難しい課題でしょう。また、一つの放送局だけでの実現も困難が予想
されます。全国のメディア労組の固い結束と共闘が望まれるところです。

 人事権をもった上司に、職場で異議申し立てをすることは勇気のいることで、現在
の職場の上下関係の中では極めて困難なはずです。こういうときに、職場の上下関係
からは相対的に自由であるはずの労働組合の存在は決定的に重要です。その意味で、
2004年、数々の不祥事が明らかになったときに、日放労が当時の海老沢会長の辞
任を組織として要求したことは、そうした闘いの一例であり、労働組合としての存在
意義を示した勇気ある行動でした。

 真に国民のためのNHKを目指す運動において、労働組合の闘いの意義は大きく、
視聴者市民との連携、メディア労組との共闘、連帯を強めながら、奮闘することを期
待したいものです。かつて日放労は、事あるごとに市民に訴え、外に出て世論活動を
展開してきました。私たち視聴者市民の団体は、労働組合の主張の内容によっては、
支持と支援を惜しまず共闘する用意があることを表明します。


◇◇◇ 7、おわりに 〜残された問題〜


 以上述べたことは、制作者の権利保障を中心とした限定的な提案です。このほか、
NHKのあり方をめぐっては、周知の通り重要な問題が数多く横たわっています。政
財界から声が上がっている保有チャンネル削減、受信料支払い義務化、といった問題、
また地域放送局のあり方、「放送と通信の融合」の時代におけるNHKのあり方、国
会でNHKの予算・決算の審議が行われる際、事前に政権政党の審議を経ている、と
いう国会審議のシステムの問題、等々、検討すべ重要テーマは多く、放送を語る会の
今後の研究課題にしたいと考えます。

 そのうち、保有チャンネルの削減要求については、今年6月に発表された「デジタ
ル時代のNHK懇談会報告」の主張に共感できるものがあります。同報告は、人びと
の意識の多様化に対応して、NHKも公共放送にふさわしい多種、多様な番組構成を
行なうべきとして、チャンネル数の検討は冷静に行なうべきである、と主張しました。

 私たちはこの視点に加え、現在NHKが保有しているチャンネルは、放送の公共性
を実現できる場として、今、まがりなりにも確保されているのだ、という捉え方が必
要だと考えます。「NHKが保有するチャンネル」というより、わが国で視聴率やス
ポンサーの意向を顧慮せず放送できる波を、視聴者市民が可能性として持っているの
だ、と考えてはどうでしょうか。

 もし削減すれば、空いたチャンネルは市場原理、経済原理に委ねられる可能性があ
り、放送における公共性を実現する領域が狭められるおそれがあります。チャンネル
の削減ではなく、NHKが保有するチャンネルをどのように生かし、市民に開放し、
利用できるようにするのかを先に検討すべきです。

 また、受信料支払いを現在の「契約義務」制から「支払い義務」制に変え、支払わ
ない場合には罰則を科すという案も浮上しています。「デジタル懇談会報告」は、こ
の制度が実現すれば、NHKが公権力の強制力によって維持・運営されることになる、
とし、強く反対しました。

 私たちの見解もこれに近いものですが、もし罰則つきの受信料支払い義務制になれ
ば、極端に言えばNHKは視聴者の意見を聞く必要はなくなるわけです。政権政党が
NHKを支持して、その経営方針、予算等を承認してくれれば安泰、ということにな
ります。

 現在の受信料制度では、本提案の5.で指摘したように、受信料支払い者はNHK
に対し事実上無権利状態に置かれています。受信料の支払いを停止、あるいは留保す
ることが、わずかに受信者主権の行使であるという状態です。「支払い義務制」にな
れば、その重要な権利をも行使できなくなります。現在のような視聴者の無権利の状
態をそのままにして、「受信料義務化」は論外というべきでしょう。

 この提案をいったん閉じるにあたって、NHKのあり方に関心を持つ多くの市民に
呼びかけます。ぜひ、団体、個人を問わず、NHKにたいする提言や要求を議論し、
取りまとめ、NHKにぶつける活動を展開して下さい。
いま、政財界と視聴者市民の間で、NHKを獲りあう「綱引き」のような状態が生ま
れているのではないでしょうか。

 NHKを市民の側に取り戻し、ひきつける活動が必要です。その運動に、このささ
やかな提案が一つの刺激となれば幸いです。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

      ◎◎ JCJふらっしゅ06年夏季応援カンパのお願い ◎◎

■「JCJふらっしゅ」は創刊から4年、さらにチャレンジを続けています。
■発行継続とさらなる充実・拡大のために精力的な取り組みをお願いします。
 1口1000円:(個人の場合)1口以上、(団体)3口以上をお寄せください。

▽銀行ご利用の場合▽
 みずほ銀行・九段支店・普通口座1005417
 口座名義 JCJふらっしゅ 代表 小鷲順造

▽郵便局ご利用の場合▽
 郵便振替
 00130−5−612601 口座名 JCJふらっしゅ
*各郵便局に据付の郵便振替用紙をご利用ください。
*用紙の通信欄に応援メッセージを頂ければ幸いです。
*匿名ご希望の際にはその旨ご記入ください。

…  …  …  …  …  …  …  …  …  …  …  …  … 
──────────────────────────────────────

【記事等の転送紹介等についてのお礼とお願い】
*「JCJふらっしゅ」は転送紹介歓迎ですが、記事の著作権は、署名・匿名(イニシ
ャル、ニックネーム等)に関わらず著者及び当編集部、コンテンツ提供者に帰属しま
す。blog等WEB上での紹介に際しては、必ずバックナンバーURLを記載してください。
なお、引用・紹介にあたりバックナンバーURL(及び購読申込み頁URL)を記載して
くださっているサイトの皆様に心よりお礼申し上げます。今後ともどうぞ宜しくお願
い申し上げます。

◇バックナンバー◇ http://blog.mag2.com/m/log/0000102032
◇購読申込み◇ http://www.mag2.com/m/0000102032.html
→左側のボックスにメールアドレスを入れて登録ボタンを押します。購読申込みを確
認するメールがお手元に届きます。記載のURLをクリックして登録完了です。

──────────────────────────────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌────────────────────────────────────┐
│            ◇◆日・程・情・報◇◆             │
└────────────────────────────────────┘
*各集会・講演会等主催者の皆様、いつも情報をお寄せ頂きありがとうございます。

 イベント等情報は、直接当編集部までお寄せください。
 購読者の方は「ふらっしゅ」への返信のかたちでそのまま掲載依頼できます。
  または<受信専用メール>yuji@jcj.gr.jp までお願いします。
 (関係メーリングリスト等での告知の際には「転載歓迎」などの表記を付記してく
ださい。その際にも直接当編集部宛メールして頂ければ幸いです。その他詳細は最下
段をご参照ください)
*主催者の皆様からの当メールニュース編集部への支援カンパと、みなさんの集会・
イベント参加レポートをお待ちしています。yuji@jcj.gr.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■08・26 第17回 放送を語るつどい みんなで語ろう ”理想のNHK” 
       〜こんなNHKなら受信料、倍払ってもいい!?〜 」
──────────────────────────────────────
●主催 放送を語る会

日時2006年8月26日(土) 14:00〜20:30
場所 渋谷勤労福祉会館  第一洋室 (JR渋谷駅より徒歩5分)
     渋谷区神南1―19―8 tel (03)3462−2511
参加費1000円(会員・学生500円)
    (終了後1時間程度の懇親会を予定 会費2000円程)

 第一部 14:00〜14:45 教育現場からの報告
              「日の丸・君が代」強制の実態
 〜自民議員のNHK「クローズアップ現代」への攻撃によせて〜
 新井史子氏(「日の丸・君が代」強制反対・嘱託不採用撤回を求める会)
 自民党の柏村議員は、国会で、日の丸・君が代強制問題を取り上げた「クローズア
ップ現代」を偏向放送と攻撃しました。教育現場はこの「クロ現」への攻撃や、日の
丸・君が代報道をどう見ているのか、裁判で闘争中の立場からの報告です。

 第二部 14:45〜17:30 討論 こんなNHKだったらいいのに
               〜市民が描く“理想のNHK”〜
 <報告1> 出そろったNHK改革案の比較検討
            醍醐 聰氏(NHK受信料支払い停止運動の会共同代表)
 いわゆる「竹中懇」や自民党「通信・放送産業高度化小委員会」また「規制改革・
民間開放推進会議」などが相次いで”NHK改革”案を発表しています。政府、財界
主導の「改革案」の批判的な検討です。
 <報告2> NHK現場への提案
           放送を語る会・「私たちの提案」プロジェクト
 <報告3>「NHK会長を市民が推薦する運動を」(仮)
   (予定)野中章弘氏(放送の公共性の<いま>を考える全国連絡協議会世話人)
 <討 論> 市民が支持し支えたいと思えるようなNHKのイメージを
      出し合い、強権的な、上からの「NHK改革」ではなく、
      市民の考える「NHK改革」を話し合う場です。
    <発言者>新井史子氏、醍醐 聰氏、野中章弘氏、
           大学メディア関係ゼミ学生、NHKOB、
           ほかにも日放労などに交渉中

 第三部 18:00〜20:30 
 基調講演・討論 メディアの“改憲・米軍再編”報道を斬る(仮)
 講師 斎藤貴男氏(ジャーナリスト)
 斎藤貴男氏は新聞記者出身、現代日本の政治・経済・社会にひろがる矛盾を現場取
材し、怒りをもって告発し続けています。6月放送のNHK「日本の、これから」に
出演。近著「ルポ改憲潮流」(岩波新書)

<主催>
 放送を語る会 協賛 メディア総合研究所、JCJ放送部会
 放送を語る会HP  http://www.geocities.jp/hoso_katarukai/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■08・27 「未来を開く歴史」第2クール学習会第1回
       教科書。日中韓外交問題が問いかけるもの」
──────────────────────────────────────
●共催  練馬・文化の会、ねりま日朝女性の会

日時:8月27日(日)午後1時半ー4時半
会場:練馬公民館(西武池袋線南口徒歩8分)第1教室
参加費:資料代500円 (先着60名)

 開催趣旨:昨年11月から今年4月まで行った第1クール「未来を開く歴史」学習
会に続く第2クールの第1回。あとの5回は「分断された朝鮮半島」をテーマに取り
組む。第1回の今回は最近「戦争のうしろ姿ー教科書問題と東アジア諸国民との歴史
対話ー」(彩流社)を著された阪東先生に、タイミングにあわせて「靖国問題」も含
めた歴史認識に焦点をあてて論じていただく。

講師:阪東宏明大名誉教授(「戦争のうしろ姿」著者)

<共催>練馬・文化の会、ねりま日朝女性の会
連絡先:森田(03-3951-4276)、田代(03-3930-2745)

◇練馬で計画しているその他のイベント日程
 9月9日(土)午後6時45分開演(6時半開場) 練馬公民館ホール
 会費500円 「映画 日本国憲法」上映会 ユンカーマン監督講演
 呼びかけ団体:練馬24条の会、練馬母親連絡会

 9月16日(土)午後2時開始(1時半開場) 練馬区勤労福祉会館
 (西武池袋線大泉学園駅南口徒歩3分) 区民集会特別企画
 「自治体から平和をつくる!」ー「国民保護法」は、ほんとうに区民
 を守ろうとしているのか?ー 講師:上原公子氏(国立市市長)
 無料  問合せ先:練馬区職労(03-3993-5405) 

──────────────────────────────────────
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
◇ 日本ジャーナリスト会議(JCJ)のご案内 
   http://www.jcj.gr.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[JCJふらっしゅ]
http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/
 まぐまぐID:0000102032/不定期刊(ほぼ日刊)購読無料/plain_text 
<禁無断複製転載>
 ・発行所/JCJふらっしゅ編集部 http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/
  代表 小鷲順造 http://junzo.seesaa.net/

☆転送紹介歓迎ですが、記事の著作権は、署名・匿名(イニシャル、ニックネーム等)
に関わらず著者及び当編集部、コンテンツ提供者に所属します。記事の転送、紹介、
引用、講演等の際には、本メールマガジン名、発行日、号数、筆者名等、出典を必ず
明示して下さい。その際、バックナンバーURLも記載してください(blog等WEB上での
紹介に際しては必ずお願いします)。

[JCJふらっしゅ]バックナンバーURL http://blog.mag2.com/m/log/0000102032/
なお、各号に直接アクセスするためのURLは、参照頁を右クリックして「プロパティ」
を選択すると表示されるURLをご使用ください。

お問い合わせは、編集部(yuji@jcj.gr.jp)までお願いします。

<投稿・日程情報等メール宛先>
1 yuji@jcj.gr.jp 
2 junzo_eagle@yahoo.co.jp
[購読登録・購読解除] 
  http://www.mag2.com/m/0000102032.htm 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

JCJふらっしゅ

RSSを登録する
発行周期 週2~3回刊
最新号 2017/05/19
部数 923部

このメルマガを購読する

ついでに読みたい

JCJふらっしゅ

RSSを登録する
発行周期 週2~3回刊
最新号 2017/05/19
部数 923部

このメルマガを購読する

今週のおすすめ!メルマガ3選

相馬一進の、1億稼ぐビジネスの本質|マーケティングと心理学
・天職で1億稼いだ相馬一進が、お金、自己啓発、仕事について、 心理学とマーケティングの側面から語る本格派メールマガジン。 ・著者の相馬一進は、ダライ・ラマ14世や、『7つの習慣』の スティーブン・コヴィーや、リチャード・ブランソンなどの、 海外セミナーへの日本人ツアーを企画、集客した実績を持つ。 ・最先端の起業・副業のノウハウや、マーケティングの原理原則、 生活の中からストレスを減らす方法、モチベーションの心理学、 複数の収入源を持つ方法、働く時間を減らす秘密などを配信中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ゼロから始める不動産投資
はじめまして、椙田拓也です。このメルマガでは、ゼロから不動産投資を始めるための具体的な手法を解説しています。 ◎ゼロから始めて4年で14棟102室を購入した方法を大公開! ◎書籍『空室率70%でもキャッシュが回る非常識な不動産投資術』(ごま書房新社)になった方法を大公開! ◎メルマガ読者特典として、椙田が運営する不動産投資会社で無料個別面談を実施中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

幸せを引き寄せるメール
毎朝7時に配信します。ゴールデンセレブヒーリング創始者本藤弘美があなたの人生をより豊かに幸せにするハッピーナビゲーション情報をお届けします。夢を叶えたい人、幸せになりたい人、心身共に健康になりたい人、人間関係を良くしたい人、豊かになりたい人に。読んでいると波動が上がります。GoldenCelebとは黄金の祝福。あなたの成功を祝福します。あなたにすべての安らぎと愛と豊かさと幸せがやってきます。♥
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

ゼロから始める不動産投
はじめまして、椙田拓也です。このメルマガでは、ゼロから不動産投資を始めるための具体的な手法を解説しています。 ◎ゼロから始めて4年で14棟102室を購入した方法を大公開! ◎書籍『空室率70%でもキャッシュが回る非常識な不動産投資術』(ごま書房新社)になった方法を大公開! ◎メルマガ読者特典として、椙田が運営する不動産投資会社で無料個別面談を実施中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

『資金調達など経営者の悩みを真に解決するマガジン』
経営コンサルタントが実践から得た経験や知恵を基に、経営に役立つ「本日の経営者への一言」と、実際にあった話を基に実名を出さずに「実話風読物(カードローン取立との戦い等)」に仕立てた読物との2部構成で綴られたメルマガです。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

首都圏不動産インサイドニュース
不動産業者がゼッタイ言わない最新の業界ウラ事情をリアルタイムで暴露します!!不動産投資で儲けよう!と意気込んでいるあなた。家族を守り夢を叶える手堅い不動産投資ですが数億円の借金を負う100%自己責任の事業。海千山千の業者相手に知識武装は万全ですか?「まかせっぱなし」は命取りです。かく言う私も業者ですが、不動産に携わる者として不幸な投資家さんをゼロにしたい。本気です。業界経験13年のプロとして真実だけをお伝えします。業者と対等な立場で戦ってください。決して損はさせません。村上しゅんすけ
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

アーカイブ

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング