国際労働機関(ILO)駐日事務所 メールマガジン

ILO駐日事務所メールマガジン【No.17】


カテゴリー: 2003年10月08日
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    ILO(国際労働機関)駐日事務所マガジン
     2003年10月8日号 No.17

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:::::::::::<目  次>:::::::::::::::::::::
:《1》数字で見る国際労働基準(2003年10月1日現在)::::::::::::
:《2》ILO駐日代表雑記−協同組合の重要性::::::::::::::::
:《3》ILO駐日事務所お知らせ−連合定期大会へ事務局長メッセージ ほか::
:《4》ILO新聞発表−東チモールのILO加盟 ほか::::::::::::
:《5》新刊紹介−職場における暴力への対応と防止 ほか:::::::::::
:《6》ILO事務局ニュース−職場における暴力・ストレス実施基準会議 ほか:
:《7》トピック解説−ILOの三者構成原則:::::::::::::::::
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□■□■□■ 数字で見る国際労働基準 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□
                           (2003年10月1日現在)
 ◇加盟国数...177*       ◇日本の批准条約数.........46
 ◇条約の数...185(うち撤回5) ◇加盟国の平均批准条約数......40
 ◇勧告の数...194(うち撤回20) ◇OECD諸国の平均批准条約数...71
 *)8月19日付で東チモールが加盟

□■□■□■ 堀内光子ILO駐日代表雑記 □■□■□■□■□■□■□■□■■

          ★ ☆ 協同組合の重要性 ☆ ★

 北イタリアは毎年のように訪れる機会がありましたが、この9月、15年ぶりにロー
マ(イタリア)を訪れました。史跡と共存する街は相変わらず魅力的で、15年前、国
連ウィーン事務局勤務中に、たびたび訪れたときとあまり変化がないように見えまし
た。もっともテルミノ駅は本屋さんなどお店ができたことで変わった実感がありまし
た。
 本来なら着くはずがなかったローマ空港に、フローレンス行きがキャンセルになっ
たため、やむをえず着いたところ、旅行団全員の荷物がローマ空港で迷子になるとい
う珍事があり、大変な難儀の末、未明にフローレンスに着くという出来事もあって、
イタリアは変わらないという感じも強くしましたが、それはともかく、今回の旅行は
研究者と実践者のごく少人数によるイタリア社会的協同組合の勉強でした。協同組合
はアジア勤務時代の初めから、女性たちの経済的(必然的に政治へもいく)エンパワー
メントの有効な手段として注目し、手がけたいと思っていた活動でした(と言うこと
は、あまり手がけられなかったのですが)。これも15年前の国連勤務時代に戻り、当
時のアラブ占領地ヨルダン川西岸のパレスチナ難民キャンプで難民女性たちの協同組
合を視察した際、人々の持つ力を認識したことが大きいと思います。イタリアでは
「社会的協同組合法」が1991年に制定され、障害者、労働市場に再び参加しようとす
る(戻ろうとする)女性、若年者、マイノリティ、麻薬中毒者など社会的排除の対象
となっているような人々のための特別措置があります。通常では望めないようなイタ
リア協同組合専門家で、かつイタリア語が堪能という田中夏子都留文科大学教授のご
指導とご援助のもと、専門家の友人の方々とご一緒で、きわめて有意義なスタディー
ツアーでした。
 1995年に開催された社会開発サミットでのテーマは、貧困削減、生産的雇用及び社
会統合でした。当時、日本人にとってあまりなじみのない社会的排除という問題に、
協同組合が有効な方法というのを確信したのも大きな成果でした。そして、協同組合
という「共助」組織は「公益」目的を十分に推進し得るものであり、今の社会の中で、
コミュニティに根を下ろし、人々の仕事を通じての生き甲斐を実現できる手段である
ことを理解してもらうためのさらなる努力・活動が、日本で必要であることを痛感さ
せられました。
 訪問した社会的協同組合の女性シェフが、おそらくこれほど日本人にとっておいし
いイタリア料理はないと思ったほどの見事なイタリア料理のランチで2日間もてなし
てくれました。彼女のプロフェッショナルとしての誇りと配慮は、「仕事」とそれを
提供する「組織体」のあり方を考えさせてくれましたし、障害者の方々の働く現場や
技術提供支援を見たことによって、我が国のディーセント・ワークを進めるに当たっ
て協同組合の役割に大きな期待をもてると確信しました。「雇用創出」というグロー
バルな課題に応えるためにも、働く人々の権利と社会的安全保障の確保のためにも、
社会対話のためにも、協同組合は有意義な組織であることが理解される必要があると
思います。ひるがえって、ILOは創設以来の中心的な業務の一つとして協同組合に
取り組んでおり、アルベール・トーマ初代ILO事務局長は国際協同組合連盟(IC
A)の執行役員でした。ILOの協同組合部は1920年に創設され、第2次世界大戦前
に各国に協同組合活動支援の技術協力を行っていました。皆様のご参考までです。

□■□■□■ ILO駐日事務所お知らせ □■□■□■□■□■□■□■□■□■
◆◇第16回国際労働問題シンポジウム(東京・10月9日)◇◆
 法政大学大原社会問題研究所、ILO駐日事務所共催、日本ILO協会後援で、第
16回国際労働問題シンポジウムとして、「雇用関係の範囲(労働者性)−働く人の保
護はどこまで及ぶか?−」と題し、今年のILO総会で一般討議が行われたこのテー
マに関し、10月9日(木)に、法政大学市ヶ谷キャンパスにて、総会出席者の方々の
報告を中心に、総会討議について理解を深める機会を設けます。入場無料。

上記イベントの詳細----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm#ohara

◆◇人身売買フォーラム(東京・9月23日)◇◆
 東京・渋谷区の国連大学本部ビルで開催された「人身売買をなくすために〜ヨーロッ
パの経験から学ぶ〜」と題する公開フォーラムでは、基調講演で、欧州安全保障・協
力機構(OSCE)南東欧安定協定・人身売買タスクフォースのヘルガ・コンラッド議
長(前オーストリア・ジェンダー担当大臣)が、欧州における人身売買問題の現状、
タスクフォースの活動を紹介しました。ILOからは、強制労働廃止のためのILO
特別行動計画のロジャー・プラント統括責任者が、人身売買を強制労働の観点から説
き、ILOを始めとした世界各地の対策活動を概説しました。講演を受けて、林陽子
弁護士と中部大学国際関係学部の武者小路公秀教授がコメントを行うと共に、日本の
実情と取り組みを紹介しました。約80名の熱心な聴衆からは、フォーラム参加者同士
のネットワーク化を通じ、問題に対する世間の認識を高め、活動を強化していく必要
性など活発な意見が出されました。フォーラムの模様は準備ができ次第、ILO駐日
事務所のウェブサイトに掲載します。

◆◇勤労青少年シンボルマーク◇◆
 去る9月25日(木)、勤労青少年シンボルマーク後援会の青井恒助代表より、勤労
青少年シンボルマークの旗を寄贈いただきました。これは1972年に日本政府が一般公
募を行って制定したマークであり、応募点数6,517点の中から選ばれた豊川市の八木幸
男さんの作品です。work(働く)、word(話す)、world(世界)の頭文字であるWの
文字をレタリングした形のブルーのマークは、丸くなった上端部分で人の頭を表すこ
とによって連帯を示し、逆三角形の空間部分をしずくのようにデザインすることによっ
て働く汗を表しているそうです。後援会は「誰にでも理解しやすいマークを通じて、
国際交流、国際親善を広げることが世界平和につながる」として、このシンボルマー
クの普及を目指して設立されたものです。今回ILOには、国連を主軸とした対話の
環境作りの一助にという趣旨で寄贈されました。シンボルマークの図案は、準備がで
き次第、ILO駐日事務所のウェブサイトに掲載します。

◆◇連合第8回定期大会(東京・10月2〜3日)へILO事務局長メッセージ◇◆
 ソマビアILO事務局長は、日本労働組合総連合会(連合)の第8回定期大会に際
し、ILOの児童労働活動への連合の支援に対する感謝などを内容とするメッセージ
を送りました。また、6月のILO総会で、笹森連合会長が、民主的な手段と三者に
よる社会対話を通じ、違いを乗り越え、解決策を見いだすことの重要性について演説
されたことを挙げ、連合と日本がこのプロセスのモデルとなることに期待を表明しま
した。メッセージの原文は、準備ができ次第、ILO駐日事務所のウェブサイトに掲
載します。

★ILO駐日事務所からのお知らせは、What's Newページをご覧下さい----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#information
★ILO会議・行事予定----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/index.htm

□■□■□■ I L O 新 聞 発 表 □■□■□■□■□■□■□■□■□
                     (2003年9月8日〜10月6日発表分)
◆◇2003年9月29日(月)発表ILO/03/41◇◆
★ILO第177番目の加盟国:東チモール

 ILOは8月19日に、東チモール民主共和国のマリ・ビン・アムデ・アルカティリ
首相より、ILO憲章上の義務を受諾するとの書簡を受領しました。これにより、東
チモール民主共和国は、同日付でILOの177番目の加盟国となりました。
 東チモール民主共和国は、2002年9月27日に国連に加盟していますが、国連加盟国
は、ILO憲章の義務の正式な受諾をILO事務局長に通知することによってILO
の加盟国になることができます。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/41.htm
ILO加盟国一覧----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/about/ilo.htm#members

◆◇2003年10月3日(金)発表ILO/03/42◇◆
★女性船員に関するILO新刊(本号「新刊紹介」欄参照)

 「Women seafarers - Global employment policies and practices(女性船員に関
する世界の雇用政策と慣行)」と題するこの貴重な出版物は、海事産業で働く女性の
数は、近年増加傾向を示しているものの(例えば、世界海事大学で学ぶ女子学生の数
は、1995年に全学生の8%であったものが、2001年には21%に増加)、女性船員は差
別やセクシュアル・ハラスメントを含む非常に厳しい労働条件に直面しているとしま
す。船員人口は世界全体で125万人に達しますが、女性はこのうち1〜2%に過ぎず、
その大半が客船乗務員です。北欧では船員労働力の1割以上を女性が占める国もあり
ますが、最大の船員供給国であるフィリピンでは、登録船員23万人中女性は225人に過
ぎないなど、女性船員の割合は国によってかなりのばらつきがあります。男性船員の
大半は極東の出身ですが(全体の29.1%)、巡航船で働く女性船員のかなりの割合が
OECD諸国の出身です(全体の51.2%)。
 男性船員の42%が職員(船長・航海士などの高級船員)、58%が部員(一般乗組員)
であるのに対し、女性の場合は圧倒的多数(93%)が部員です。この数字は、女性の
能力と特性に対する凝り固まった偏見の存在を反映するもので、実際に女性を雇用し
た経験のある船主や管理職は女性の勤務成績に非常にポジティブであるものの、女性
は非常にしばしば性差別、不寛容、いじめやセクハラを経験しています。

新聞発表本文(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/2003/42.htm

★ILO新聞発表の日本語概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm
★ILO新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/bureau/inf/pr/index.htm

□■□■□■ 新 刊 紹 介 □■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
◆◇「職場における暴力への対応と防止
   Preventing and responding to violence at work」◇◆ 
   英語 2003年刊 139pp. 2,500円

 働く人々は、職場で暴力の被害を受けるなどと、まさか思わないでしょう。ところ
が、職場での暴力は、現在もっとも深刻な労働災害のひとつに数えられます。司法や
医療関係など、暴力がある程度予測される職場環境のみならず、広範な産業や企業で
暴力が発生するリスクが高まっているからです。暴力は、先進国、開発途上国を問わ
ず世界中の企業でコストのかかる問題になっているため、企業がこの問題に向きあう
べきときに差しかかっているといえるでしょう。本書は、職場での暴力発生防止策や
方針を立案し、実施するうえでの具体的な情報を提供する実用ガイドです。
 職場への暴力に、本書は二つの面からアプローチしています。第1に、暴力は組織
や団体が、この問題への対処法を吟味することで防ぐことが可能なことを示していま
す。世界各国の政府や労働組合、研究グループ、研究者、使用者団体や産業で、今ま
でに作られた一連の指針や政策を見渡し、どのような取り組みがベスト・プラクティ
スなのかを考察しています。
 第2に、本書は効果的な職場での暴力防止プログラムの立案方法について、具体的
なステップを示しています。それには、以下のような手続きが含まれます。◇リスク
を査定、記述する、◇防止・対応策を立案し、実施する、◇防止・対応策の有効性を
モニターする、◇リスク管理プロセスを見直す。
 どんな仕事であっても、暴力は許されるべきではありません。あらゆる人々は、暴
力のない安全で安心できる環境で働き、また尊重しあい、対等で、生産的な労働者の
関係が奨励される職場で働く権利があります。これは達成可能な目標です。本書はそ
の達成のために、職場での暴力へ対処するための具体的な指針を与え、関係する要因
や条件への広い理解を助けます。

◆◇「女性船員に関する世界の雇用政策と慣行
   Women seafarers: Global employment policies and practices」◇◆
   英語 2003年刊 128p. 2,500円

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発行周期 月1回程度
最新号 2016/02/04
部数 2,083部

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