狸のしっぽ

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カテゴリー: 2016年02月06日
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  ★狸のしっぽ★ (シーズン4)  NO.10 2016.2.6

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   「奇跡の脳」

新しい年を迎えて、色々な変化が起きている。
常に、一番いいことが一番いいタイミングで起きてくるのだということを、頭では理解していても、突然起こってくることに戸惑うのは、しかたがない。
でもそこから、自分の内側に問いかけてゆくことで起こったことに感謝できるようになる。

お正月に山形に帰省した時に、母と連れあいと一緒に、入院している父のお見舞いに行った。そしてその時突然、医師から「胃ろう」にするか否かということを聞かれた。
92歳の父は認知症で老人ホームに入所しているのだけれど、風邪をひいて入院している間に誤嚥の問題が起きて、鼻から管で栄養を入れることになった。そしてそれでは本人も苦しそうなので、胃ろうにすることを提案されたのだ。

それまでの私は、管や胃ろうで栄養を入れてまで生きるよりは、自然死のほうがいいという考えであった。
でも、「それなら、貴女が管をぬきますか?」と問われる状況では、家族の選択は「胃ろうにするのがいいのでは」ということになる。

そして私は、自然死であれ、延命治療によって長く生きることになるにせよ、その人の寿命は、そうなることも含めて決まっているのだ。と思った。
父が何を思っているのかはわからないけれど、魂の深いところでは、自分の姿を通して、老いることや死と向き合うことについて、私達に教えてくれているのだ。とも思った。

88歳になる山形の母は、周りの人達に助けてもらいながら、なんとか一人で生活している。
東京に住む長男と豊田にすむ次男(私の連れあい)が、時々、交代で様子を見にいったりはしているけれど、自立している強い人だと思う。
今回も、いつものお正月と同じで、お墓参りや、親戚に会いに行ったりするのにお付き合いして、赤湯温泉に一泊し、私達は4日に帰ってきた。

そして、次の日、母が脳内出血で倒れたという知らせが入った。
その日は、東京の義兄が、父の胃ろうの手続きのために山形に行くことになっていたのも偶然ではないように思えた。
そして、母が手術をして一般病棟に移されたところで、連れあいがお見舞いに行った時は、意識がはっきりしなくて、鼻から管で栄養を入れる状態になっていた。

私は、「山形の両親が心穏やかに、天命をまっとうできますように」「そのために私ができる最善のことをなさしめたまえ」と祈った。
そして、母と父の御見舞に行った。
母は、ずっと寝ているようで、意識がはっきりしない。左手は動くけれど、右手は動かない。
父は、先日よりは穏やかな感じがした。じっと私の目を見ているけれど何を思っているのかはわからない。

私は「心の目で観、心の耳で聞くことができる私になさしめたまえ」と宣言をしていた。
でも、頭で考えるのと実際の場面でどうふるまえるのかには、ずれがある。

母の姿を見て最初に思ったことは、自分はこんな風にはなりたくない。ということだった。
母のことを気の毒なかわいそうな人と見る私、上から目線で同情している私が居た。
もし自分が逆の立場だったら、そんな風に思われたくないはずだ。敬意を持って接して欲しいと思うはずなのに。

頭の中では立派な解説がなされている。「人間は本来、光であり、神性(仏性)を持っている存在なのだ。すべてはお互いの学びのために起こっているのだ。ありがとうございます。」と思っても、心が暖かくはならない。感謝も喜びも湧いてはこない。
なぜなのか?

それは私の中に恐れがあるからだ。
もし自分がこんな風になったら、人からどう思われるだろうか。みじめな感じがしていやだなぁ。人に見られたくないなぁ。と、恐れる心があるからだ。
そんなことはとるにたらない小さな事なのだけど。肉体が人間だという考えかたに長い事縛られてきた癖がなかなかぬけないのだ。
確かに、この肉体だけが自分だと思うと、その肉体が老いることも、死ぬことも、自分の外観を他者がどう見るのかということも、すべて恐ろしいことになってしまう。

人間が長い歴史のなかでつくりだしてきた「恐れ」は、幻想にすぎないと理解しているのに、「恐れ」はなくならないのだなぁ。と思った。
そして当然のことながら、「恐れ」がある時は、心を閉ざしてしまうので、心の中にある暖かさや愛が出てこなくなるのだ。

それでも私は、野口整体の「愉気」を知っているので、父や母の身体に触れながら、ただ寄り添うという事もできた。
「愉気」をする時は、何も考えずに「ぽかーん」として、体のぬくもりを心地よく感じているだけでいい。
そして、お互いのエネルギーが交流し、一体感に包まれるのを感じれるようになると、幸せな気持ちになる。


ということで、色々なことを思ったり感じたりして山形から帰ってきて、父や母が本当は何を思い、何を感じているのか知りたいと思った。
そして、友達がフェイスブックで紹介してくれていた「奇跡の脳」ジル・ボルト・テイラー著(新潮文庫)という本に出会ったのだ。

この本は、脳卒中になった脳科学者が、自分の体験を書いた本である。
左脳が壊れたことで起こること。そして左脳の機能をリハビリによって取り戻していく時のこと。右脳だけになった時に体験する世界について。
それはまさに、今、母に起こっていることなのだと思って夢中で読み進めていくうちに、希望がわいてきた。

脳に障害を負った人がどんな風に接してもらいたいと思っているのか。その時その人はどういう状態なのかがわかったことが嬉しかった。
そして、もし母が右脳の世界を体験しているとしたら、それはどんなにか素晴らしいことだろうかと思った。
(この本は、家族が脳に障害を負った人や、そういう人達のリハビリにたずさわる人達に、是非読んでいただきたい本である。と同時に、人間とはどのような存在なのかと、探求する人にも、おすすめしたい本である。)

この本は、私にとって今まで学んだり体験してきたことをさらに深く理解するのにとても参考になった。
そして、母の身に起こったことも含め、まさに、必要なことが、一番いいタイミングで起こってくるということを、実感した。

今から二週間程で、母は病院を替わるので、その時に会いに行く予定だ。
言葉でのコミュニケーションはできなくても、この本に書かれている「最も必要だった40のこと」を参考にして、両親と明るく楽しく関わってゆこうと思う。

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自分の力ではどうすることもできない時は、祈るしかないと思う。
私はずっとそうしてきた。そして、それが一番よかったと確信している。
それは、祈ることで、その時の私に一番必要な出会いへと導かれるという体験を何度もしてきたからだ。

さらに今回は、祈りの仲間に頼んで、両親のために祈ってもらった。
自分一人で祈るよりも、たくさんの光が両親に届くようで心強かった。

いま世界には、そんな祈りの光を必要としている人達がたくさんいると思う。
だから私は、毎日祈り続けている。

「世界人類が平和でありますように。私達の天命がまっとうされますように。」



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