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【戦う組織の意思決定入門(5)】 作戦リーチ内に敵を捉える:作戦限界点の見極めと縦深性の確保


カテゴリー: 2017年11月20日
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「日の丸父さん」

http://okigunnji.com/url/208/

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ライターの平藤清刀です。陸自を満期除隊
した即応予備自衛官でもあります。
お仕事の依頼など、問い合わせは以下より
お気軽にどうぞ
 
E-mail hirafuji@mbr.nifty.com
WEB http://wos.cool.coocan.jp
───────────────────
 
こんにちは、エンリケです。

今回の記事も読みごたえ抜群です。

このレベルの知識を持っていれば、
報道に騙されることはなくなり、
報道にできない国際状況先読みが、
自分でできることでしょう。

これまでとは全く違う世界が見える
自分になったことに気付く瞬間の
快楽を味わってほしいものです。


今号のもくじ

□はじめに
▼前回のふりかえり
▼部隊の機動力、継戦能力を把握する
▼作戦リーチ
▼基地機能の展開
▼フォークランド紛争での作戦リーチの問題
▼作戦限界点
▼作戦区域の設定
▼縦深性の確保
▼時間軸で検討する
▼同時性
▼タイミングとテンポ
▼抑止段階における考慮



さっそくどうぞ↓


エンリケ


感想や疑問・質問やご意見などなど、
お便りはいつでも受け付けています。(堂下)
 ⇒ http://okigunnji.com/url/169/


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【戦う組織の意思決定入門(5)】

「作戦リーチ内に敵を捉える:作戦限界点の
見極めと縦深性の確保」

     堂下哲郎(元海将)
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□はじめに

 トランプ大統領のアジア歴訪が終わりまし
た。期待されていた「インド太平洋戦略」が
明確に語られなかったのを残念に思われた方
も多かったと思いますが、トランプ大統領
は、8日の韓国国会での演説で「我々を侮
ってはいけない。我々を試してはいけない。
私は『力による平和』を求める」と述べ、
核、ミサイル開発を放棄するよう強く警告
しました。こちらは予定どおりでした。

 これに対して北朝鮮外務省報道官は、
「トランプの妄言はわれわれを立ち止まらせ
はできず、核戦力完成へとより速く疾走させ
る」と強調、核開発加速の意志を強調しまし
たが、北朝鮮の「挑発」は2か月以上行なわ
れていないことになります。

 今回の歴訪で、米国は各国との間で北朝鮮
に対する制裁の厳格な実施と、さらなる圧力
を加える方向で一致したと言えると思います。
このなかでもとくに重要なのが日米韓3カ国
の軍事面の連携だと思いますが、米国が日韓
に日本海で空母3隻との共同訓練を提案し、
日本は同意をしましたが、韓国は同意せず、
日米と米韓で別々の枠組みの訓練となった
ようです。これは大変残念なことでした。

 さらに驚いたのは、カン外相が国会で表明
した「三不(No)政策」です。これは、
(1)THAADの追加配備を検討しない、(2)米国
のミサイル防衛網に参加しない、(3)日米韓
の軍事同盟化を行なわないというもので、
(3)は当面考えられませんから措くとしても、
(1)と(2)は、まさに北朝鮮の脅威に対処する
上で不可欠な措置だと考えられます。

 中国からのTHAAD配備に関する報復による
経済的な損失はGDPの0.5%にも相当するもの
で、16カ月ぶりの「トンネルからの脱出」と
報じられていますが、それが苦肉の策だった
としても異例の「政策」です。

 前回、作戦を計画するうえでの「制約」に
ついて述べましたが、この「三不政策」など
は、直接的に作戦レベルの措置を具体的に縛
るもので、これから北朝鮮との本格的な対峙
に臨むという段階で果たして適切な決定だっ
たのでしょうか。

 第2回で、「政治外交と密接な関係のある
戦略レベルから作戦レベルへ示された指針だ
けでは計画を立てられないことが多い。政治
的なレトリックや曖昧な文言を分析して作戦
のための使命(目的と任務)を導き出す」と
いう話をしました。逆に言えば、作戦を柔軟
に立案するためには、曖昧な部分を残した方
針の方がよいとも言えます。

 外交には、作戦への影響を理解した上での
戦略的な曖昧さが望まれるということではな
いでしょうか。


▼前回のふりかえり

 さて、第4回は、以下のような内容でした。
1)重心との戦い方に、直接アプローチと間
接アプローチがあること
2)戦略、作戦、戦術各レベルでの間接アプ
ローチの例
3)重心を掴ませなかった「刺すべき心臓の
ない国=中国」の話
4)作戦計画を作成する際の仮定と制約
5)イラク戦争での仮定、フォークランド紛
争での制約の例
6)行動の自由とは何か


▼部隊の機動力、継戦能力を把握する

 前回までで、使命、目標(系列)、重心と
いった作戦計画を作るうえで核心となる要素
について述べました。実際に計画を作る場合
には、手順に沿って作戦環境を分析、把握
し、生起し得る事態を予測していますから、
作戦の様相が徐々にイメージできてくるはず
です。今回は、そのような作戦環境や大まか
な作戦の様相がイメージでき始めているとの
前提で、引き続き作戦計画上の重要な要素に
ついて述べてゆきます。

▼作戦リーチ

 作戦は「時間」と「空間」を活用する
「術」ともいわれますが、作戦を構想するに
あたっては、まず空間の検討から入り、次い
で時間軸に落とし込むのが普通だと思います。

 予定される作戦区域の中で、自己の部隊が
その空間や時間をどのくらい活用できるのか
(=相手を振り回せるのか)、その能力を把
握する必要がありますが、このために統合部
隊が軍事力を正常に運用できる距離と期間の
限界を「作戦リーチ(Operational reach)」
という概念で表します。

 作戦リーチは、まず部隊が燃料の再補給な
しで、作戦区域となる場所まで進出して現場
で何日間くらい活動できるか、そして携行す
るミサイル、弾薬などが予想される敵の攻撃
にどのくらいまで対処できるかを見積もりま
す。もしこれで想定される事態をカバーでき
るのであれば問題ありませんが、不足する場
合には何らかの措置を講じることになります。

 そこで考えられる措置として、兵力の前方
展開、事前集積、兵器の威力や射程の増大、
同盟国や有志連合からの支援や契約に基づく
業者の役務調達などがあり、航空輸送、
宇宙・サイバー空間のアセットを最大限に活
用することにより作戦リーチをグローバルに
拡大できる可能性があります。

▼基地機能の展開

 また、作戦区域の近傍に前進基地を確保す
ることを「基地機能の展開」などといいます
が、これにより、基地と作戦目標間を往復す
る距離が小さくなるので航空機などの出撃頻
度や再補給頻度を大幅に向上させられること
から統合部隊の戦闘力を効率的に発揮できる
ことになります。

 米国の基地機能の展開手段としては、外国
における恒久的な基地の確保から危機発生時
の一時的な空母機動部隊の派遣まであり得ま
すが、政治的、外交的配慮がその決定に影響
を及ぼすことが多いので、作戦計画上の仮定
事項となる場合があり、不確定要素が大きい
場合には当初計画からは除外しておくのが妥
当です。

 これらの基地機能の展開は、基本的に敵を
作戦リーチ内に捉えるように選ばれることに
なりますが、敵の威力圏に近づくことになり
ますから、十分なインフラと外交的支援が存
在するか、展開部隊への作戦上の支援が得ら
れるか、敵の攻撃に対する一定の安全が確保
できるか、などを見極める必要があります。

▼フォークランド紛争での作戦リーチの問題

 フォークランド紛争を例にとると、当時、
英国本土から7,000マイル(13,000km)かな
たのフォークランド諸島の奪回作戦は後方支
援の面から困難と思われましたが、作戦資材
については、NATOの有事計画を準用して英国
内の30日分の戦時備蓄を流用することで確保
し、多数の商船を徴用することで輸送するこ
とができました。ただし、積込、輸送の迅速
性を優先したあまり戦術搭載(上陸時の卸下
の逆順で搭載する実戦に備えた方式、これに
対し通常の搭載方式を管理搭載という)がな
されなかったため、その後の補給や上陸作戦
に混乱を生じました。

 最大の問題は前進基地の確保であり、英国
は前進基地を取得すべく外交努力を尽くしま
したが、実現しませんでした。チリは、アル
ゼンチンとの敵対的な関係から対英支援を承
諾しましたが、太平洋側の諸港は作戦に適合
するものではなく、その他の諸国は、人道的
見地から死傷者に対しては港を開く用意を表
明したものの、実質的な援助や支援は拒否し
ました。長期の商業契約に基づいてフリータ
ウン(シェラレオネ)で燃料を搭載できまし
たが、それ以南のアフリカ諸国はイギリスを
支持せず、サイモンズタウン(南アフリカ)
にあるイギリス海軍が建設した軍港さえも使
用できませんでした。

 結局使用できたのは、イギリス本土とフォ
ークランドのほぼ中間にある自国領のアセン
ション島だけであり、人員、物資の中継基地
として大きな役割を果たしました。この飛行
場と艦艇係留施設を備えた島を活用できたこ
とは極めて幸運であり、これなしでは後方支
援は成り立たなかったと言えます。英軍はこ
の前進基地と空母部隊の組合せでアルゼンチ
ン軍を作戦リーチ内に捉えることができたと
言えます。

▼作戦限界点

 作戦リーチが明らかになったら、作戦の展
開予測に沿って統合部隊の継戦能力がどの程
度維持できるかを見積もります。この指標が
「作戦限界点(Culmination)」であり、作
戦を継続した結果、もはや作戦の勢いを維持
できなくなった時期や空間を指します。

 攻撃側としては、効果的な攻撃を継続でき
なくなり、防御態勢に戻るか、作戦の休止
(後述)を考慮する点となります。この場
合、攻撃部隊は、反撃される大きなリスクを
負うか、危険を覚悟で攻撃を続行することに
なります。したがって、この作戦限界点に達
する前に目標を達成できるよう作戦計画を作
成しなければならないことになります。

 防御側としては、攻撃に対する反撃を続行
できなくなるか、効果的な防御ができなった
時に作戦限界点に達したことになります。防
御側は、敵の攻撃部隊を作戦限界点に到達さ
せたうえで迅速に攻勢に移行し、敵が防御の
作戦限界点に達するよう行動することで勝利
を得ることができる理屈です。

 このような作戦限界点の考え方に基づき、
統合部隊は作戦の持続に必要な作戦資材とと
もに、適切なタイミングで作戦区域に展開し
なければなりません。指揮官は、作戦行動と
同期した後方支援を得つつ、適宜、作戦の速
度を調整して作戦限界点に陥らないように指
揮することになります。当たり前のことです
が、後方支援と作戦は表裏一体といわれる所
以です。

▼作戦区域の設定

 部隊の作戦リーチなどが把握されたところ
で、想定される作戦区域までの距離とその広
さとの関係から、作戦区域に到着した時点で
の継戦能力や、無補給でどのくらい作戦でき
るか、補給が可能ならばその間隔と量などが
分かり、作戦空間をどのように活用できるか
という大まかなイメージを描くことができる
と思います。

 ところで作戦区域とは、作戦、展開基地、
上空通過、継戦能力の確保のために、法的、
政治的に決定される地理的な区域ですが、部
隊の指揮官に対して作戦上の制限を課すだけ
でなく、むしろ柔軟性やより幅広いオプショ
ンを提供するように決定されるべきものです。

 作戦区域には、公知される本来的な作戦の
ための空間のほかに、公知されない訓練区域、
移動経路、安全確保、敵味方識別のための区
域など、必要に応じて設定される各種の作戦
上、戦術上の区域が含まれます。統合部隊指
揮官は、その陸、海、空域の境界線を参考に
しながら、部隊間の調整、統合、相互干渉の
防止を行なうことになります。

 フォークランド紛争時の公知された作戦区
域としては、イギリスがフォークランド諸島
周辺200マイル(370km)を「完全排除水域
(TEZ:Total Exclusion Zone))として海上
封鎖を行ない、他国の艦船、航空機に対する
無警告攻撃を宣言し、入域を禁じた例があり
ます。これは、軍事作戦にともなう民間、第
三国の船舶、航空機などに対する誤攻撃や副
次的被害を防ぐという重要な目的もあったも
のと考えられます。

 また、現在の北朝鮮をめぐる状況を反映し
て、韓国紙などは有事の作戦区域とおぼしき
エリアをKTO(Korean Theater of Operations)
と呼んでいるようです。今回の米空母打撃群
との訓練でも海上自衛隊の艦艇はKTO内への
入域は認めていないようですが、おそらく公
海部分を含んでいると考えられるKTOですが、
有事においてどのように運用するのか、邦人
輸送なども取りざたされるなか、関心が持た
れます。

▼縦深性の確保

 作戦空間の活用のため、作戦区域の設定の
ほかに考慮しなければならないものに敵の戦
い方を念頭に置いた縦深性の確保があります。
これはさまざまに説明され得ますが、ここで
は統合ドクトリンにおける考え方を示します。

 戦術レベルで「縦深(じゅうしん)」とい
う言葉は、「縦深防御(さまざまな射程の防
御兵器を組み合わせて複数の防御ラインを構
成する)」とか「縦深攻撃(さまざまな射程
の攻撃兵器をもって敵の最前線と同時にその
後方も攻撃する)」などと使われます。これ
は縦深という言葉が空間の奥行という意味で
使われていると言えます。

 一方、作戦レベルで「縦深性(Depth)」
というと、遠距離を迅速に機動し正確な攻撃
を行なえる統合部隊を用いて、作戦空間全般
において極力広範囲を高速で行動し、敵に対
しても同様の広がりとスピードでの作戦を強
いるように戦うということになります。この
縦深性は、空間の奥行、幅、高さ(高度)の
3次元をフルに活用する考え方ともいえ、戦
い方の進化と技術の発展により拡大してきま
した。このような戦い方をすることにより、
作戦地域全体において敵を圧倒し、敵指揮官
が対応しきれないような同時発生的な攻撃を
行ない、早期に敵に作戦限界点を迎えさせる
ことがポイントとなります。

 なお、縦深性は地理的だけでなく時間的に
も適用され得る概念です。時間的な縦深性を
もたせた作戦は、将来の作戦の展開を見越し
た有利な状況を先行的に形成しますから、
その先行的な意図を読み切れない敵の意志決
定サイクルを混乱させることができます。

▼時間軸で検討する

 作戦計画の時間軸の検討にあたっては、
作戦準備のための所要期間、作戦開始(可
能)時期、作戦所要期間、終結時期から考
えるのが普通ですが、そこには、国内的、
国際的な政治、外交上の要求や圧力が働く
ことが多いといえます。とくに作戦開始の
ための動員開始は、国内外に与える影響が
極めて大きいのは当然であり、気象などの
季節的要因、文化宗教的な配慮なども重要
な要素になります。

 フォークランド紛争では、英国はアルゼン
チン軍に占領されたフォークランド諸島を
「速やかに」奪回する方針で作戦に着手しま
した。これは当時、国内政治的な要求に加え
て、国際的にも平和的な調停を求める動きが
あったため、速やかな作戦着手に加えて、短
期間のうちに一定の戦果や既成事実を挙げな
いと、調停へ向けた流れになりかねず、その
場合には奪回作戦を開始できないおそれがあ
ったからでした。そして、当然のことながら、
南大西洋の気象、海象は大きな考慮事項であ
り、本格的な冬の到来までに作戦を終結させ
ることが必須とされました。

 一方、イラクの自由作戦では、作戦準備そ
のものもさることながら、開戦のための正統
性を確保し、有志連合の支援を取りつけるの
に多くの時間を要したといえます。作戦準備
も、大規模な作戦であるため30万人に動員命
令を出す必要がありましたが、イラク国内の
兵器査察や外交交渉に対する影響が大きいた
め、ラムズフェルド国防長官の指示で動員計
画などの全体を一挙に下令するのでなく「外
交に圧力をかけつつ、その信用をなくさない
よう」徐々に発動することとされました。

 この指示に基づき、開戦が4カ月前に迫る
なか、2週間近くかけてTPFDD(ティプフィ
ッド:Time-phased force and deployment 
data 部隊展開の細部計画)の内容が精査さ
れ、展開計画を単純な「オン・オフスイッ
チ」から、徐々に明るさを変える「ディマー
スイッチ」に転換させ、じわじわと展開する
方式に改められました。この結果、毎週2通
ほどの展開命令を長期間にわたり、そのつど
発令することとなり、一部の部隊にはショー
トノーティスの展開命令が届き、当惑させる
ことにもなりましたが、外交を支援するため
の軍の動員計画として実施され、最終的には
所要の作戦準備が完成しました。

 作戦そのものは、全体を極力短期間とする
こととされましたが、この場合も、開戦時期
などについては、砂漠の気候、イラク軍の即
応態勢が低くなるタイミングなどを慎重に考
慮して決定されました。

▼同時性

 作戦空間の検討が進んだら、作戦について
の時間軸の検討を本格化させますが、まず追
求しなければならないのは、作戦全体の
「同時性(Simultaneity)」です。

 同時性とは、戦術、作戦、戦略各レベルに
おいて敵の重心に対して同時に作戦を実施す
ることであり、敵の戦闘力を飽和、圧倒し、
一体性を失わせ崩壊させようとするものです。
この同時性を追求するためには、注意深く計
画された各レベルの軍事行動をお互いがモニ
ターできる態勢をとり、戦略および作戦レベ
ルにおける軍事目標達成状況の把握、戦術レ
ベルの指揮官による作戦、戦略全体との関連
を理解したうえでの戦闘行動といった緊密な
連携が不可欠となります。先進的な指揮統制
システムが威力を発揮する分野でもあります。

▼タイミングとテンポ

 同時性に加えて時間軸の検討で重要な要素
は、「タイミング(Timing)」と「テンポ
(Tempo)」です。タイミングの追求にあた
っては、友軍の能力を最大限に発揮させ、敵
の能力の発揮を妨げるように作戦を実施する
ことになります。このため、作戦状況全般を
把握し、行動の自由を確保し、好機に乗じる
ことのできる余力と即応態勢を保たなければ
なりません。

 作戦行動のテンポとは、作戦速度そのもの
に加えて意思決定サイクルの周期を意味し、
軍事上の要求に対応して、技術の発達や革新
的なドクトリンが採用されたことにより向上
してきました。

 統合部隊指揮官は、友軍の戦闘力を長く持
続させるためにテンポが上がり過ぎないよう
抑えたり、戦役の中のあるフェーズにおいて
は、テンポを低下させ決戦用の兵力を集結さ
せるための時間を稼いだり、戦闘行動以外の
行動を優先したりして、敵指揮官の裏をかく
ことができます。また、他のフェーズにおい
ては、逆に一気にテンポを上げて敵の防御能
力を圧倒、飽和させるのは戦い方の基本と言
えます。

▼抑止段階における考慮

 戦闘段階に至る前の抑止段階における考慮
としては、軍事行動のテンポを意図的に低下
させて、被抑止側(敵)に状況把握、意思決
定、コミュニケーションのための十分な時間
を与えることも配慮しなければなりません。

 たとえば、危機に際して、潜在的な敵国に
圧力をかけるため空母機動部隊の展開をアナ
ウンスしつつ、政治外交レベルでメッセージ
を送ったあと、一気に空母を進出させるので
はなく、周辺国との共同訓練や、寄港地にお
いて戦力を誇示しながらタイミングを見計ら
って進出させることはよく行なわれることで
あり、現在の北朝鮮危機にその好例を見るこ
とができます。

 最後に、このような統合部隊指揮官の作戦
テンポを管制する能力を持たせるためには、
友軍部隊に対して周辺国の協力のもと領域通
過や港湾、空港の使用支援を得て、戦域への
アクセスの自由と行動の自由を確保させるこ
とが必須の条件と言えます。

 これも北朝鮮危機への対応のため日本など
周辺国が協力してゆくべき分野であり、情勢
の展開に合わせて民間港湾、空港、航空路な
どに関して調整が要請されることになると思
います。


(11月15日記、次回に続く)



(どうしたてつろう)


 
【著者紹介】
堂下哲郎(どうした てつろう)
1982年防衛大学校卒業。米ジョージタウン大
学公共政策論修士、防衛研究所一般課程修了。
護衛艦はるゆき艦長、第8護衛隊司令、護衛
艦隊司令部幕僚長、第3護衛隊群司令等とし
て海上勤務。陸上勤務として内閣官房内閣危
機管理室(初代自衛官)出向、米中央軍司令
部先任連絡官(初代)、統幕防衛課長(初
代)、幹部候補生学校長、防衛監察本部監察
官、自衛艦隊司令部幕僚長、舞鶴地方総監、
横須賀地方総監等を経て2016年退官(海将)。

 
 
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