歌助だより(中日のご祝儀)

--歌助だより(中日のご祝儀)第66号2002/7/15--


カテゴリー: 2002年07月16日
============================================================
歌助だより(中日のご祝儀)[エッセー集] 第66号 2002年7月15日
            www02.so-net.ne.jp/~utasuke/news/
============================================================
昨年一年間、近代セールス社刊行の「ファイナンシャルアドバイザー」と
言う、金融機関にお勤めになってる方向けの月刊誌に毎月寄稿しました。
そのテーマは「おあしの噺」。お金にまつわる落語を紹介してきました。
その元原稿です。
------------
「江戸っ子の生まれぞこない金を貯め」(三方一両損)
落語では江戸っ子は宵越しの銭を持たないとされています。つまり今日
稼いだ金は明日の朝まで持っていてはいけないという事です。不測の事態を
心配し、お金を貯めるのを美徳としている現代人とはまるっきり正反対。
まあ、腕が良くって銭なんぞいくらでも稼げると言う気質と、江戸は火事が
多く、すぐに燃えてなくなるかもしれない財産と命。明日何が起こるか分か
らない不安定な生活。そこでそんな威勢のいい気質になったのでしょう。
貯蓄でもしようと思いたったら「あいつは江戸っ子の名折れだ」って言われ
仲間外れにされちまうのです。江戸弁を勉強する地方出の噺家も江戸っ子口調と
共に性格まで落語に出てくる登場人物になりきり、刹那型の生き方をする人も
おります。それはそれで当世風ではありませんが魅力的です。
江戸っ子の中でも一番威勢がいいのが大工でして、それを扱った噺に「三方
一両損」があります。
神田竪大工町、大工吉五郎が三両ものお金が入っていました財布を落とした。
それを白壁町の左官の金太郎が拾って、吉五郎に届けにきたから大騒ぎ。
「銭が三両、書き付けに印形。持ってきたんだ。受けとれ。」
「書き付けと印形はそらま、大事なもんだ、貰っとくよ。銭は俺のもんじゃ
ねえから持って帰れ。」
「何だい俺のもんじゃねえから持ってけってな。おめえのもんじゃねえかよ。」
「そいつだって俺の懐が居心地が悪いからってんで表へ飛びだしちまったんだ。
今は俺のもんじゃねえ、持ってけえれ。」
「この野郎、てめえのもんだって分かってて持ってく奴がどこにいるんだい。」
「おら江戸っ子。てめえの懐から転がりだした物を元に納められるか。持って
帰らねえと為にならねえぞ。」
「おもしれえな、銭届けて殴られたなんて、そんな話し聞いたことねえんだ
おら。殴れるものなら殴ってみろ。」
「おあつらえだ。こん畜生。」
と喧嘩が始まった。お金を相手にあげようってので喧嘩になるのが面白い。
これが両方の大家さんまで巻き込んでどっちが筋が通っているか、御奉行様に
決めてもらうと言う事になった。南町奉行大岡越前守様、妙な訴えに腕を組んで
考えました。
ご存知、テレビでおなじみのお白州の場面。
「神田竪大工町、大工吉五郎、同じく白壁町、左官金太郎、付添人一同揃い
居るか。吉五郎、その方、財布を取り落とし、これなる金太郎が届けつかわ
したるにもかかわらず、打擲したと言う願書の趣であるがそれに相違ないか。」
「ええ、間違いありません。そらあっしだってせえふを落せば分かりますよ。
家にけえって、久しぶりにせえふをおっことしていい心持ちだなと思って、
こらめでてえってんで、お祝いに尾頭付きでいっぺえやってるてえと、あの
野郎がおせっかいな野郎でね。あっしにわざわざ持ってきやがった。くれて
やるから持ってけってそう言ったら、俺のもんじゃねえから持ってかねえ
いいやがる。持ってがねえと為にならねえぞと言ったら、殴れるもんなら
殴ってみろといいますから、言われて殴らねえのも物に角が立つといけねえと
思いましたんで、ぽかりってんで。」
「面白いことを申すな。金太郎、その方はまた何故その折にその金子はもらい
おかん。」
「冗談言っちゃいけませんよ。そう言う事があったら、自身番に届けろと
教えるのがお上ってもんじゃねえんですか。あっしはね、自慢じゃねえけど、
三両や五両の銭を猫ばばを決め込むような、そんなしみったれな了見だったら、
今ごろ立派な親方になってます。なんとか生きてるうちに、出世だけはしたく
ねえ。そんな不幸な目には会いたくねえと思って毎朝神棚にお灯明を上げて
手え合わせてます。」
「こらこらこら、泣いてはいかん。では両名共に金子は要らんと申すか。
この金子この越前が預かり置く。それでよいか。」
「そうしてくんねえ、そのお金があると喧嘩がたえねえ。」
「面白い事を言う。では、あずかった上でじゃ、両名の正直をめで二両金ずつ、
褒美を与えようと存ずるがその義はどうじゃ。双方受け取りくれるか。」
「両名、ありがたく頂戴をいたします。」
両方に二両づつ渡した。その上で、
「この調べは三方一両損と申す。吉五郎、その方その金子を受けとりおかば
三両あった。金太郎もその金子を貰いおかば三両あった。越前も預かりおかば
三両ある。しかるに、それに一両金加えて、双方に二両金ずつの褒美をつかわす。
それすなわち、三方一両損と申す。あい分かったか。」
三方が黙ってお金を受け取れば三両儲かるが一両づつ損をしたと言う名奉行の
名裁き。御奉行様も一両自腹を切った訳で、現実はこんなさっぱりした人間
ばかりではございません。落語は本当にスカッとさわやかにさせてくれます。
------------
この続きは、8月15日号に載せる予定です。
============================================================
落語芸術協会の最新情報をお届けする「芸協Eメールマガジン」も
一緒にご購読下さい。 http://www.rakugo-geikyo.or.jp/news/

歌助:utasuke@da2.so-net.ne.jp
============================================================

このメルマガは現在休刊中です

歌助だより(中日のご祝儀)

RSSを登録する
発行周期 月刊(5日か15日か25日)
最新号 2012/04/29
部数 0部

このメルマガは
現在休刊中です

ついでに読みたい

歌助だより(中日のご祝儀)

RSSを登録する
発行周期 月刊(5日か15日か25日)
最新号 2012/04/29
部数 0部

このメルマガは
現在休刊中です

今週のおすすめ!メルマガ3選

サラリーマンで年収1000万円を目指せ。
高卒、派遣社員という負け組から、外資系IT企業の部長になった男の、成功法則を全て公開します。誰にでも、どんな状況、状態からでも自分の力で人生を変えるための情報と知性を発信しています。人生を意のままにするには、脳みそとこころの両方が進化しなければなりません。そんな進化とは何か?をお届けする四コママンガ付きメルマガです。2014年から4年連続でまぐまぐ大賞部門賞を受賞しました 学歴やバックグラウンドに拘わらず、人生を思いのままに生きるために必要な考え方が書かれた、「良書リスト」も希望者に差し上げています。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

親鸞に学ぶ幸福論
【あなたを幸せにさせない理由はただ一つの心にあった。その心がなくなった瞬間に人生は一変する】と親鸞は解き明かします。 「本当の幸福とは何か」はっきり示す親鸞の教えを、初めての方にもわかるよう、身近な切り口から仏教講師が語ります。登録者にもれなく『あなたを幸せにさせない5つの間違った常識』小冊子プレゼント中。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

日本株投資家「坂本彰」公式メールマガジン
サラリーマン時代に始めた株式投資から株で勝つための独自ルールを作り上げる。2017年、億り人に。 平成24年より投資助言・代理業を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供しているかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。 2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数3万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。 主な著書に『10万円から始める高配当株投資術』(あさ出版)『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

右肩下がりの時代だからこそ、人の裏行く考えを【平成進化論】
【読者数12万人超・日刊配信5,000日継続の超・定番&まぐまぐ殿堂入りメルマガ】 ベストセラー「仕事は、かけ算。」をはじめとするビジネス書の著者であり、複数の高収益企業を経営、ベンチャー企業23社への投資家としての顔も持つ鮒谷周史の、気楽に読めて、すぐに役立つビジネスエッセイ。 創刊以来14年間、一日も欠かさず日刊配信。大勢の読者さんから支持されてきた定番メルマガ。 経験に裏打ちされた、ビジネスで即、結果を出すためのコミュニケーション、営業、マーケティング、投資、起業、経営、キャリア論など、盛り沢山のコンテンツ。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

●人生を変える方法【人生をよりよくしたい人必見!誰にでもできる方法を組み合わせました。】
■「人生(自分)の何かを変えたい!」と思ってる方、まずは最初の1分から始めましょう!今日は残っている人生の一番初めの日です。今、「人生を変える方法」を知ることで、一番長くこの方法を使っていくことができます。コーチングで15年間実践を続けてきている方法なので、自信をもってお勧めできます。「人生を良くしたい!」と思うのは人として当然のこと。でも、忙しい生活の中で人生(自分)を変えることって諦めてしまいがちですよね。誰かに変える方法を教えて欲しいけど、その方法を知っている人は少ない。だからこそ・・・。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

サラリーマンで年収1000万円を目指せ。
高卒、派遣社員という負け組から、外資系IT企業の部長になった男の、成功法則を全て公開します。誰にでも、どんな状況、状態からでも自分の力で人生を変えるための情報と知性を発信しています。人生を意のままにするには、脳みそとこころの両方が進化しなければなりません。そんな進化とは何か?をお届けする四コママンガ付きメルマガです。2014年から4年連続でまぐまぐ大賞部門賞を受賞しました 学歴やバックグラウンドに拘わらず、人生を思いのままに生きるために必要な考え方が書かれた、「良書リスト」も希望者に差し上げています。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング