ほぼ日刊日々是映画

[ほぼ日刊日々是映画] vol.2957 ★ チョコレートドーナツ


カテゴリー: 2015年05月08日
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                         -vol.2957-
  ほぼ日刊 日々是映画         発行:cinema-today
                http://www.cinema-today.net/
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2957号です。

ゴールデンウイークもすっかり終わり、平常が戻ってきた感じですが、
5月ってこんな暑かったっけ?

まあ、でも屋外でお酒を飲んだりするにはいい季節で、街では
ビールやらハイボールやらを屋外で飲むイベントが目白押し。
もう飲まざるを得ませんなこれは。

ビールやハイボールもいいですが、ちょっと変わったものもね、
ということで、最近買ったのがこちら。
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沖縄に行った時にはまった柚子シークヮーサー、しかも一升瓶。
ロックでもソーダ割りでもことのほか美味しく、初夏にぴったり。

炭酸はペリエをケース買いですね。
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よいよい、と。


映画は『チョコレートドーナツ』です。
去年かな、それなりに話題になりました。骨太な作品。


■ 今日の映画 - チョコレートドーナツ


<1行コメント>
差別する心を私は抱えていないだろうか?


--cinema2767------------

 チョコレートドーナツ

 Any Day Now
 2012年,アメリカ,97分

-----------------------

<キャスト&クルー>

監督 トラヴィス・ファイン
脚本 トラヴィス・ファイン
   ジョージ・アーサー・ブルーム
撮影 レイチェル・モリソン
音楽 ジョーイ・ニューマン

キャスト アラン・カミング
     ギャレット・ディラハント
     アイザック・レイヴァ
     フランシス・フィッシャー
     グレッグ・ヘンリー
     ドン・フランクリン
     
<評価>

☆☆☆☆(満点=5)


<レビュー>

舞台は1979年のアメリカ、自分がゲイであることを押し殺して
来たと思われるポールが、ゲイバーでダンサーとして踊るルディに
出会い、惹かれてしまう。ポールはゲイの世界に飛び込む
ことを躊躇し、ルディに対して煮え切らない態度を取る。

一方、ルディの方は、アパートの隣の部屋でドラック漬けの
母親と暮らすダウン症の少年マルコに出会う。母親が逮捕され、
マルコは施設に送られるが、施設を逃げ出してきたマルコを
ルディは自分の家に連れ帰り、検事局に勤めるポールに相談する。

そんな経緯からカップルとなったポールとルディはマルコと
幸せに暮らすが、マルコを取り上げられることとなり、2人は
弁護してくれる黒人弁護士のロニー・ワトソンと出会う。

70年代末のアメリカで、同性愛者、障害者、黒人という
「被差別者」が出会うという物語。今も決して差別がなくなった
とは言わないが、今と比べても激しい差別が存在した時代の
彼らの必死の戦いを描く。

しかしどうだろう。この映画を見ると、社会の息苦しさという
のは、今もそんなに変わっていないように思えてしまう。
確かにLGBTという言葉が広まり、その権利を尊重しようという
動きが出ているし、障害者にしても支援は手厚くなっている。

障害者といえば、ちょっと脇道にそれるが、「障がい者」という
表記をよく見る。これは「害」という字のイメージが悪いから
らしいが、なんでそんなことをするのか。「障害者」というのは、
いくら書き方を変えたからって「障害」自体がそもそもマイナスの
イメージの言葉だからそれで何かが変わるとも思えない。
それに、漢字と平仮名がまじると読みにくい。

この問題も、実は差別問題と絡み合っていて、とかく日本人
というのは「配慮」をしすぎる傾向にあるような気がする。
「『害』という字が入っていると障がい者の方が気を悪く
するんじゃないか…」と余計な気を回してそれを使わないように
する。でも、重要なのはどんな書き方をするかじゃなくて、
相手のことを本当はどう思っているかでしょ?

障害者と書こうが、障がい者と書こうが、はたまた障碍者と
書こうが、その人が相手を差別する意識を持たず、自分と
同じ人間だと思っていれば、それでいいんじゃないかと。
画一的に「こうやったほうがいい」と決めたところで、それで
何が変わるわけじゃない。一対一でも多対多でも実際に向き
合った時に、ちゃんとした態度をとれること、それが本当に
差別をなくすということであって、制度というのはそれを
サポートするものにすぎない。そのことを差し置いて、
とりあえず、表面的な部分で差別的な表現や、相手を差別する
ことにつながる(かもしれない)モノを排除すればそれで
差別がないことにしている考え方こそ改めなきゃいけないの
ではないだろうか。

どんな言葉でも、それは受け手の受け取り方の問題で、
障がい者でも、オカマでも、ハゲでも、ちびでも、なんでも。

『ハーフ』というドキュメンタリー映画があって、それは
いわゆる「ハーフ」の人たちが出演しているのだけれど、
「ハーフ」ではなく「ダブル」と呼ぼうという、まあたまに
聞く議論がここでも出ては来る。でも、その議論は「ハーフ」の
中でも必ずしも肯定的にばかり捉えられる話ではなく、
むしろ「ハーフ」という言葉に自分のアイデンティティを
感じている人もいるわけだ。

映画のタイトルのアルファベット表記も「Half」ではなく
「Hafu」となっていて、そういう日本語として多くの人に
捉えられているならそれでいいのではないかという気がする。
大事なのは、「ハーフ」という言葉で嫌な思いをする人も
いるかもしれないことを知っていることで、それを知った上で
相手とどうコミュニケーションとるかなのだ。

で、LGBTというのもそうで、今盛んにテレビの情報番組なんかで
使わるようになっているけれど、いちいち毎回、用語の説明が
つく。それは過渡期だからという捉え方もできるけれど、その
解説の仕方が、とりあえずLGBTと言っときゃ政治的に正しい
という言い訳を提供しているにすぎないような気もしてしまう
のだ。

この映画が描いている時代は、ゲイやレズビアンの存在自体が
脅かされるような時代で、それを考えると今はだいぶましに
なったとも言えるけれど、LGBTと言っときゃいいと思ってしまう
人の意識というのは、この40年近く前の「一般人」たちの
意識とそう変わっていないようにも思える。

差別というのは、相手を理解できない「異物」と考えること
から生じる。レッテルを貼るというのは、そのような考え方の
現れの一つではないだろうか。

しかし、この映画を見て、自分は本当にそういう差別意識を
持っていないだろうかと問いかけてみると、それは必ずしも
ゼロではないという結論に達する人が多いのではないか。
差別はいけないことだけれど、何故か心から完全に追い払う
ことは非常に難しい。

それはしかたのないことだ。人は、自分に理解し難いものに
対して嫌悪感を覚えたり拒絶したりするものだ。それは見た目や
セクシャリティだけではなく、思想でも、年齢でも、いろいろな
物に当てはまる。

その距離を理性と想像力で埋めて、相手を尊重して生きていく
しか私にできることはない。そのためには、障害者やLGBTという
レッテルを貼ることで、自分たちとは「違う」という線引を行う
ことはなるべくやめて、相手と自分との「つながり」の方に
目を向けたい。

この映画が描いているのは、そういうものから目を背けた結果
なのだ。





□ DVD今日の買い!


<今日のお勧め>

 『チョコレートドーナツ』
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