山本紫苑です。大好きな人、育てましょ。

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カテゴリー: 2006年08月26日
□■□■DAISUKI no.91□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■

山本紫苑です。大好きな人、育てましょ。

      第91回配送:
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       ☆   「子どもの家を訪ねる」の巻   ☆
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 昨夏、大学3年生になった長男・しゅうは、高校生のときに続いて、ハンガ
リーへ留学することになりました。今回の留学は「なりました」というよりも
「しました」と言ったほうが正しいかも知れません。

 実は大学の国際交流センター(だったと思う)が催す、交換留学プログラム
にも応募したのですが、出発が3年生、帰国が4年生という不利な状態もあり
(だと思う)、その枠に入ることができませんでした。
 ただ、皆さんもご存知の通り、そこで諦める我が子達ではないので、しゅう
はハンガリーの国費留学生の試験を受けました。この制度は、本来大学院生に
向けたものらしく、決して有利な状態ではなかったと思うのですが、なんとか
その制度に各方面の推薦を得て入り込むことができました。

 そして、大学の単位交換の申請や奨学金の申請も通り、無事に昨年の8月末
に出発する運びとなったのでした。
 しかし、高校生のときに過保護なまでに手配され尽くした留学とは違い、住
むところから日常生活まで自分で対応しなくてはなりません。ただし今回は、
ハンガリー政府の留学生でしたから、所属する国立大学の寮の準備や生活費の
補助なども含まれていたので、少しは安心ではないかと思っていました。

 さて、ハンガリーについたしゅうは、まずは高校生のときにお世話になった
ホストファミリーに里帰り。女の子が3人いるその家庭では、ホストお父さん
がとても可愛がって(いわゆる「息子のように」)くれていたので、大学が始
まるまで、しばし楽しくそこの家庭で過ごしたのでした。
 懐かしいその家庭があるのは、ハンガリー第2の都市デブレツェン。今回の
留学先の首都ブダペシュトとは、特急電車でも数時間かかるところです。ホス
トファミリーもしゅうもしばし懐かしい時間を過ごしたあと、いよいよブダペ
シュトに移動し、大学へ手続きに行ったそうです。

 授業内容や履修届などの書類を受け取り、職員の人に案内されて1年間を過
ごす寮へと向かったそうです。そこで、しゅうが見たのは一体どんな景色だっ
たのでしょう。そして、職員の人にどんな言葉を伝えたのでしょう。数分後、
東京の自宅の電話が鳴りました。しゅうからです。

「あの……手続きが済んだんですけど、寮が住めないんですよ」

 私には「寮が住めない」という意味がわかりませんでした。なんでも……今
にもコワイものが出そうな、病院の廃屋のような、コンクリート打ち放しの
……細かいことや情緒的なことには流されないしゅうにしては、珍しく怯えた
ような、困り果てたような声で話していました。意外と呑気な私は、

「じゃあ、アパートでも探さなきゃね」

と言ったのですが、なにしろ寮なら無料だったはずでしたし、改めて探すとな
ると時間もかかるし、ハンガリーとは言え都会のブダペシュトで住むとなると
家賃もけっこう高いのだそうです。しゅうの憂鬱が伝わって、もしかしたら
帰って来ると言い出すのではないかと思いました。まあ、それならそれでいい
か、と思いながら、それでも電話で話していてもどうにもならないので電話を
切りました。
 数時間後、再びしゅうから電話がありました。デブレツェンのお父さんが、
甥のアパートを手配してくれたというのです。その大家さんは、妻と子どもの
3人暮らし、20代後半の男性らしいのですが、ちょうど約1年間ドイツに仕
事で行っているというのです。
 お父さんは、ドイツの甥に電話をし、交渉をしてくれたのでした。本当に涙
が出るほど有り難いことでした。約1週間後にドイツから引き渡しに来てくれ
ることが決まり、これまた有り難いことに、以前東京に留学していた女の子の
家族がそれまで居候をさせてくれることに決まり、結局、快適な留学生活が始
まったのでした。

 ドイツ勤務の家族の部屋は、アパートの3階。本当は、寝室の他に広い部屋
があり、その他にキッチンとトイレ、バスルームという間取りでしたが、家族
のものを寝室にまとめて、広いリビングに中古のダブルベッドを用意してく
れ、さらにネットやメールが使いやすいようにとADSLを開通させてくれた上
で、貸してくれました。家賃も、東京だったら築40年以上の3畳一間、風呂
無し、トイレ共同ぐらいしか借りられないような金額でした。

 しゅうのブダペシュト大学生活が始まりました。家事、とくに料理が苦手な
しゅうは、いったいどうやって過ごすのだろう……買ってきたものばかり食べ
るのかな? まあ、1年間ならそれでも体を壊すこともないのかな。などと
色々と考えました。

 しゅうがブダペシュトで暮らし始めて1ヶ月半。心配で居ても立ってもいら
れなくなった私の母(=しゅうの祖母)は、単身ブダペシュトに色々な食材を
持って向かいました。しゅうにしてみれば、78歳の祖母が一人で飛行機を乗
り継いで、お米やお醤油、おでん種などをギュウギュウに詰め込んだ荷物を
持ってやってくるほうがよっぽど心配だったことでしょう。

 祖母の旅は、しゅうを心配して始まったのですが、結果的にしゅうに中欧の
電車の旅をさせてもらう旅に変身し、チェコ、スロヴァキアなど滅多に行かれ
ないような美しいところを案内してもらって無事に帰ってきました。もちろ
ん、お鍋一杯のおでんは作って置いてきたのですが……。

 そして、数ヶ月が過ぎました。大学の授業もそれなりの充実し、内閣府の事
業に協力したり、国際ロータリーに関わる行事に参加したり、裏千家(茶道)
のハンガリー支部の立ち上げを手伝ったり、茶道や日本語を知人に教えたり
と、日本にいるのと同じように忙しい日々を過ごし、さらにその合間に日本か
らの留学生OB仲間の訪問を受け、観光案内をし、共に欧州内旅行をし……長
期休暇には、大西洋を渡ってアメリカ東海岸やカナダにまで足を伸ばしていま
した。

 そんななにしに行ったのかわからないほど充実しすぎている生活の中、仕事
がギュウギュウに詰まった私と、進路が決まって暇になっていた次男・せい
ちゃん(当時高3)は約2週間の予定でハンガリーに乗り込みました。
 その旅程の内容は、私とせいちゃんは別々に行きましたし、その間3人でイ
タリアにも行きましたし、私が帰国したときには、せいちゃんはスイスの友だ
ちを訪ねていましたし……仲がいいのかバラバラなのかわからないような家族
でした。

 と、旅の話も面白いかと思うのですが、今回の主旨がずれてしまったので、
慌てて戻します。そうなのです! 「子どもの家を訪ねる」という今までにな
い経験をしたのです。子どもの部屋というのは、家の中にあるのですが、それ
以外の居場所、それも生活しているところを訪ねるというのは、格別な体験で
した。
 しかも、前述の通り家事が苦手なしゅうのことです。一体どうなっているの
か……初めてしゅうの部屋に入ったとき、洋服がひとつの椅子を占領して積み
重なり、デスクのまわりには本や資料が山と積まれ、思った以上に激しい状態
だと感じました。

 いきなり「お母さん気分」になった私は、せっせと洋服を片付けたのです
が、キッチン(兼ダイニング)に行った途端、任せておかない自分を、ただの
過干渉お母さんだと反省しました。
 キッチンには、日本の友人が送ってくれた食材や、現地で買った色々な(簡
単に作れるような)食品が並び、どう見てもそこで作り、食しているしゅうの
生活が見えたのです。

 そう思って室内を見て歩くと、トイレにもバスルームにもしゅうが生きるた
めに考えた工夫や、買い揃えた家庭用品が並び、「ああ、これがこの子なん
だ」としみじみと思ったのでした。
 そして思ったことは、頼まれない限り口は出すまいということでした。しゅ
うはしゅうなりに自分が暮らしやすいように、あるいは自分で考えられる限り
の知恵を絞って生活をしているのです。ときには困ったこともあったでしょ
う。どうにもならなくて放り出したこともあったでしょう。なんとか頑張って
成し遂げたこともあったでしょう。

 今回の留学は、外国の大学で学ぶことのあらゆる価値に加えて、しゅうは生
きる=生活することを実感したでしょうし、親も親で成人したとは言え子ど
も、でも成人した子どもなんだという認識を強め、反省をする部分も発見しま
した。よかった、よかった。本当にいい経験になったことでしょう。

 間もなく、しゅうは大学4年生の後期授業に入ります。卒業の単位は足りそ
うなものの教職(教育実習)をとるために、来年度に向けての可能性とそれに
則した準備をしているようです。……とは言え、あちこちに毎日飛び回ってい
るのを見ると、本当にどこまで深刻なのやらとも思えるのですけれど。



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                    彡彡ミ
     山本紫苑           .. b
   VEV02403@nifty.com    ...φヽ人 ー"人
--------------------------------------------2006/08/26

」」」」」」」」」」」」」」

それにしても、またまた大変なご無沙汰をいたしました。申し訳ありませんで
した。

ライフワークとして始めたこのメルマガも、2000年4月2日の第1回から、年
月だけは、6年半も経っておりました。当初の勢いは、気持ち的には変化して
いないのですが、おかげさまで書籍制作や自著の上梓など、仕事が忙しくなっ
たことで、滞りがちになっております。

本当のところを申せば、もう廃刊にしたほうが御購読申し込みをしていただい
ている方にご迷惑ではないかとも考えましたが、書籍には反映できないこと、
したくないことなども色々たまって来るというのも事実です。

なので、この1〜2年のような大変ゆっくりしすぎたペースになるかも知れま
せんが、やはり続行させていただくことにしました。

ご迷惑でなければ、どうぞ引き続き届きましたときに読んでやってください。
今までありがとうございました。そして今後ともよろしくお願い申し上げま
す。

」」」」」」」」」」」」」」

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