安心!?食べ物情報

安心!?食べ物情報 Food Review 911


カテゴリー: 2017年05月07日
安心!?食べ物情報911号
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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------911号--2017.05.07------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「和牛の話」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 まず、大口の回収について

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ボルヴィック、370万本を自主回収 仏工場で部品混入

 キリンビバレッジは2日、輸入販売しているペットボトル入りミ
ネラルウォーター「ボルヴィック 500ミリリットル」約370
万本を自主回収すると発表した。フランスの工場で製造機械が壊れ、
プラスチック製部品の一部が商品に混入したため。現時点で健康被
害は報告されていない。

 回収するのは、賞味期限が「2019年10月」と記された商品。
出荷地域は九州・沖縄を除く全国だが、九州・沖縄でも販売されて
いる可能性がある。3~4月に購入者から問い合わせが2件あり発
覚した。

http://www.asahi.com/articles/ASK524TN6K52ULFA011.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 370万本とはすごい量ですね。以下はメーカーのサイトから。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■商品の自主回収に関するお詫びとお知らせ

 キリンビバレッジ株式会社が輸入ならびに販売している「ボルヴ
ィック 500mlペットボトル」の一部商品におきまして、プラスチッ
ク片が混入している可能性が判明し、下記の商品を自主回収させて
いただきますのでお知らせいたします。

 原因はフランスの製造工場の充填機におきまして、プラスチック
製の部品(1個)が破損し、その一部が容器内に落下したことによ
るものです。当該プラスチック片の材質はポリエチレンであり、充
填工程においても常に内容液(ナチュラルミネラルウオーター)と
接している部品です。食品に使用する安全性基準を満たし、内容液
の成分などには影響を与えないことを確認しております。

 一方で、プラスチック片は黒色で液表面に浮くものの、気づかず
に口に入れた場合に、口腔内等を傷つける可能性があります。

 なお、これまでに健康被害の報告はありません。

http://www.kirin.co.jp/company/news/2017/0502_01.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これが370万本の回収に値するものなのか、ちょっと疑問に思
います。

 無視してクレームになってから対処するのと、回収してしまうの
との中間の措置(注意喚起など)があってもよいように思うのです
が。

 さて、前回の記事の続きで、規制値を超過した後の事後処理の話
です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■水産庁、クロマグロ漁獲枠を追加配分 枠超過後も公認 

 水産庁は1日、4月27日時点で日本に割り当てられた漁獲上限
(枠)を突破した太平洋クロマグロ小型魚(30キログラム未満)に
ついて、長崎県など枠を消化した一部の県に漁獲枠を追加配分して
いたことを明らかにした。日本海北部など既存の枠を未消化の地域
でも当初配分した枠の上限まで漁獲を認めるという。

 追加配分したのは6月までの今期分。追加配分は7月から始まる
来期分から差し引くことが条件になる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB01H73_R00C17A5000000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 追加しないと漁に出られない、というわけですが、このままでは
いよいよ手詰まりになってしまいそうです。

 その他、漁業関連はいつも「不漁」のニュースでいっぱいです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■初ガツオ、もはや高級魚?…漁獲減で3~4割高

 旬を迎えた初ガツオの卸売価格が、例年より3~4割高くなって
いる。

 近年の不漁で漁獲量が減っており、価格の高止まりが続きそうだ。

 鮮やかな赤身が売りの初ガツオは、3月から水揚げが始まり、5
月に最盛期を迎える。漁業情報サービスセンター(東京)によると、
今年3月1日~4月25日の全国の漁獲量は4493トン(冷凍を
除く)と、前年同期に比べて約2割少なかった。全国有数の水揚げ
量を誇る千葉県の勝浦港でも、3月の漁獲量が1093トン(冷凍
を含む)と前年同月比で3割近く減ったという。

 東京都中央卸売市場によると、4月のカツオの卸売価格は1キロ
・グラムあたり900円台と、例年より3割以上も高かった。5年
ぶりの高値水準で、市場関係者からは「手軽に買える魚のはずが、
この値段では高級魚」との声が上がる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170501-00050069-yom-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 不漁といえば、ずっと続いている諫早の裁判で、国は「開門しな
い方針」を明らかにしています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■諫干訴訟、国は控訴せず 農相「開門しない方針明確に」

 山本有二農相は25日の閣議後記者会見で、国営諫早湾干拓事業
(長崎県諫早市)の潮受け堤防排水門の開門差し止めを命じた17
日の長崎地裁判決を巡り「国として開門しない方針を明確にし、基
金による和解を目指すことが問題解決の最良の方策だ」と述べ、控
訴しないと表明した。

 開門の是非を巡っては、別の訴訟で福岡高裁が2010年に開門
を命じた判決が確定する一方で、13年には長崎地裁が開門差し止
めを認める仮処分を決定。国はこれまで、最高裁の統一的判断を求
めるとしていたが、方針を大きく転換した。

 今回の訴訟に「独立当事者」としての参加を求めた開門派の申し
立てが認められなければ、開門差し止めの判決が確定する。

 国は25日、控訴権の放棄と、開門派が国の「補助参加人」とし
て行った控訴の取り下げ手続きを行った。

 山本氏は方針転換について「(裁判を継続しても)必ずしも最高
裁による統一的な判断が行われるとは限らない」と指摘した上で、
「地裁が取った(開門を前提としない和解という)考え方が、現実
を踏まえた解決方法になる」と述べた。

 今回の訴訟を巡っては、長崎地裁が昨年1月に開門を前提としな
い和解を勧告。国は不漁が続く有明海再生のための100億円の基
金案を示したが、佐賀県の漁業者らの理解が得られず、今年3月に
和解協議は決裂していた。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/324056
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 これも民主党政権の負の遺産なんですが、そろそろ和解の道を進
まないと、ごり押しだけではどうにもならないと思います。

 ちょっと古いですが、以下の冷静な記事を紹介しておきます。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■有明海の不漁 道半ばの検証

 かつて有明海は漁業資源が豊かな「宝の海」と呼ばれた。漁業統
計によると、貝類が最も取れたのは76年度の計11万1308ト
ンで、アサリは全国の漁獲量の5割を超えた。だが、84年度には
突然、漁獲量が半減して右肩下がりが続く。堤防の閉め切り前から
減少が始まり、有明海の異変は干拓事業のみで説明できない。

 佐賀大の荒牧軍治名誉教授は「宝の海と言われた時代こそ異変の
始まりだ」と話す。この頃、沿岸部の人口急増で大量の生活排水が
流れ込み、海の富栄養化が進行。海中のプランクトンが増え、それ
を餌とするアサリが激増した。

 一方で、70年代には冷蔵技術が発達しアサリを大消費地に輸送
できるようになった。その結果、アサリは乱獲され、捕食されなか
ったプランクトンは海底でヘドロ化し、海の環境が悪化したとみる。

 同じ時期に有明海で始まったノリ養殖の影響を指摘する声もある。
東北大の江刺洋司名誉教授は、養殖で使用する酸処理剤が異変の原
因だとする。栄養塩を含む酸処理剤は海を富栄養化させてプランク
トンを増やし、赤潮の原因になる。江刺名誉教授は「ノリ生産がこ
こまで増えたのはコンビニおにぎりの普及が原因。環境悪化は都心
の住民とも無縁ではない」とみている。

□すべてを議論対象に

 干拓事業が漁業不振の主要因とみられるようになった原因は、堤
防閉め切り後の2000~01年に、大規模な養殖ノリの不作が発
生したからだ。翌年以降、生産量は持ち直したが、堤防の開門を巡
って国と地元住民らとの訴訟は解決が見えていない。

 有明海の調査研究に取り組む「有明海再生機構」(佐賀市)は昨
年12月、「司法での争いを休止し、責任ある話し合いの場を作る
べきだ」とする提言を発表した。提言では、開門だけで有明海を再
生することは困難としたうえで、〈1〉ノリ酸処理剤の大量使用
〈2〉筑後川からの取水による流入の減少〈3〉熊本沖での新港建
設――など有明海に影響を与えかねない原因をすべて議論すべきだ
としている。

 同団体の川上義幸顧問は、「指摘されてきた原因の多くは十分に
調べられていない。責任を押しつけあわずに議論を始めないと、有
明海の将来はない」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/eco/feature/CO005563/20140320-OYT8T50033.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 元々、不漁の責任を他に「発見」して、補償をとろうとしたこと
に無理があったように思います。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

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今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「和牛の話」
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 魚ばかりでなく、牛肉にも「高騰」の話題があります。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■子牛、全国で不足 農家減少、5年で価格2倍に高騰

 和牛の子牛の値段が高騰を続けている。JA全農おかやまの総合
家畜市場(岡山県真庭市)では、1頭平均が80万円を超え、5年
前に比べてほぼ倍の水準。農家の高齢化などで全国的に繁殖雌牛が
減り、子牛が不足していることが要因だ。子牛を出荷する繁殖農家
の経営にはプラスだが、子牛を買って育てる肥育農家にとってはコ
スト高になる。牛肉の安定供給に影響する可能性もある。

 JA全農おかやまの今年度の子牛の競りは9回。今月3日に今年
度最後の子牛の競りがあった。会場で競りを待つ子牛たちは、生後
9カ月前後で、体重は200~300キロ程度。順番が来ると、血
統や体重などが表示され、瞬く間に価格がせり上がっていく。1頭
当たりの時間は30秒足らず。流れ作業で進んでいく。

 この日は、286頭が売買され、雌の子牛と去勢した子牛の平均
は1頭約83万2千円。前回1月の競りから約2万4千円上がり、
過去最高を更新した。最高値は、雌の約294万8千円。200万
円を超えると、会場からはどよめきが起きた。

 5年ほど前は、1頭の平均が40万円程度だったが、年々値段が
上がっている。高騰の要因は全国的に高齢化による農家の廃業が相
次いでいることだ。口蹄疫(こうていえき)の発生で大量に牛が処
分されたことなどによる繁殖雌牛の減少も影響している。畜産統計
によると、2010年には68万4千頭だったが、15年には58
万頭にまで減った。

 真庭の市場に子牛を出荷した繁殖農家たちからは、高い相場を歓
迎する声が聞かれた。「今の水準なら続けられる。このまま横ばい
でいってくれれば」「ここまでの相場は48年やってきて初めて。
夢にも思わなかった」

 一方、子牛を買う肥育農家は不安を募らせる。子牛の高騰で、肉
牛の生産コストの約6割を子牛代が占める。輸入飼料も高止まりの
状態。子牛を買って肉として出荷するのは、1年半ほど先だが、買
った子牛の値段に見合うかどうかというと、難しいのが現状だ。

http://www.asahi.com/articles/ASK3977M2K39PPZB00Q.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 肉牛は一般に、生後半年くらいまで育てた「子牛」でセリにかけ
られ、肥育農家に売られていきます。

 子牛の価格+肥育コストと販売価格の差が肥育農家の利益ですか
ら、子牛価格高騰が肉の価格高騰につながらないと肥育農家はやっ
ていけません。

 今のところ、肉の価格も高騰しているようです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■和牛の市場価格最高、5年で5割高 16年度末 

 和牛肉の高騰が続いている。最高級A5ランク(去勢)の2016年
度末の市場価格は5年前に比べて5割値上がりし過去最高値となっ
た。和牛の肥育は手間がかかるため高齢化に伴う離農が止まらず、
供給が減少している。一方、和牛の肥育農家は仕入れる子牛価格の
上昇に直面しており、採算が厳しくなっている。

 全国の指標となる東京食肉市場では、3月末の和牛枝肉(骨に肉
がついた状態)のA5(去勢)平均価格が1キロ2948円。前年度末
比1%上昇し、この5年間の上げ幅は5割に達した。今月に入って
からも同水準で推移している。

 農畜産業振興機構(東京・港)によると国内の牛の処理頭数は20
13年度から前年割れが続き、この5年で1割減少した。需要に供給
が追いつかず、セリの価格は高止まりしている。

 食肉卸ミートコンパニオンの植村光一郎常務は価格高騰について
「輸出の増加も影響している」と語る。日本からの牛肉輸出はここ
数年で2ケタ増が続き、年間2000トンに迫る勢い。国内牛肉出荷の
1割近くまで拡大した。

 価格高騰により、国内のスーパーでは「霜降り」のA5和牛の売
れ行きが鈍化している。買い付ける牛肉が低い等級に向かった結果、
A3(去勢)は同2300~2400円と5年前より7割高い。さらに店頭
に並べる部位は高級なロースやヒレではなく、モモやカタなど相対
的に安価なものが目立つ。

 スーパーの中には自社で牛肉を生産する例もある。ダイエーは鹿
児島の直営牧場で「さつま姫牛」として大規模に育成している。同
社によると「市場価格にそれほど左右されずブランド牛を提供でき
る」という。

 一般の生産者は和牛の卸価格が上昇しても、仕入れる子牛の価格
も高騰しているため採算が厳しくなっている。子牛の繁殖と成牛の
肥育は分業になっているケースが多い。

 現在の子牛は全国平均で1頭約84万円とここ1年で1割高騰し、
過去最高値圏にある。ブランド牛の近江牛を肥育する加賀屋牧場
(滋賀県甲良町)の金沢朋宏代表は「子牛価格の値上がりは驚異的」
と話す。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ05H29_V00C17A4QM8000/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 高くなっても順調に売れていけばよいのですが、なかなか難しい
でしょうね。現在の高騰が生産量の減少に原因がある以上、この先
に待っているのは滅びの道です。

 そんな中、「高級肉」指向に対する反省も出てきています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■老舗すき焼き店が「もう霜降り肉は出しません」!

□おいしいと感じる肉は脂肪の割合が30%くらい

 今、子牛の繁殖農家の後継者不足などで、子牛相場が5割くらい
高くなっています。とにかく肉を高く売らないと、産業として生き
残れないという状況なんです。だからサシを入れたり、ブランド化
したり、県庁が補助金を出したりして高級化路線を突っ走っている。
しかも人間は自分の味覚を否定することができる動物なので「こん
なに高級なのにおいしいと思わないのは自分の味覚が間違っている」
と思って、霜降りこそおいしいと思おうとしている。

 じゃあ、そのクラスの肉がうまいかっていうと、脂肪は旨味とは
違うんです。脂肪自体は無味無臭。マイルドにはなりますが、旨味
は赤身のアミノ酸からくるんで、おいしいと感じる肉は、脂肪の割
合が30%くらいなんですよ。

――牛肉の霜降り具合の表現として、一般にはA5ランクが最高級と
いわれているが、専門家のあいだではABCとか1~5とかではなく、
B.M.S.(牛脂肪交雑基準を12ランクで示す)を使うことが多く、A5
ランクはだいたいB.M.S.の8から12を指す。

 業界の中でも「(B.M.S.の)10とか11はおいしくないよね」みた
いな話はよくしています。普段、商売用にいい霜降りを買っている
同業者がたまに7とかを買う時があって、「どうしたんですか、珍
しいですね」と尋ねると「これは趣味。こういうのが旨いよね」な
んていう会話は良くあるんです。

 過度の霜降り信仰で、お客さまの意識が、脂肪分が多い肉が高級
でおいしいになってしまったんです。「適サシ肉」宣言をしたのは、
行き過ぎた脂肪割合をちょっと戻す感じ。戻るにしても、まるっき
りの赤身にするのはまた違う。適度のサシが入り、脂肪の融点が低
く(30カ月まで肥育した和牛メスの脂)、サシの入り方が細かい、
いわゆる“いい塩梅(あんばい)の肉”がやはりおいしいというこ
とを伝えたかったんです。

 もともと当店ではBMS7~8クラス、つまりA4ランクとA5ランクの
境目あたりの肉をお出しすることが多かったのを、今回BMS6~7に
しぼったんですが、私もこのくらいの肉が一番おいしいと思ってい
ます。だから、その肉を脂肪たっぷりの霜降りで差別化するために、
あえて「適サシ肉」と呼ぶことにしたんです。

□接待需要は失うかもしれませんが

 本当のことを言ってしまって、業界の人たちには申し訳ないとい
う気持ちはあります。接待利用や海外からのお客さまには、とにか
く「霜降りじゃなきゃだめ」という方がいるので、それはそれでニ
ーズにお応えすれば良いと思います。料理屋として高いお金をいた
だきたいというのは当然あるので、高級となると霜降りになるのは
わかります。

 でも、当店のお客さまは浅草という場所柄、ご家族で来店する方
が多く、接待利用はほとんどありません。だったらおいしい肉を提
供することが一番じゃないですか。そう思って、接待需要は失うか
もしれませんが、ずっと考えていたことを宣言することにしたんで
す。霜降り肉はどうしても胃にもたれますからね。

 実は2015年に、当店を訪れるお客さまに投稿いただいたすき焼き
にまつわる70近い話をまとめ、『すき焼き思い出ストーリーの本』
を刊行したんですが、その投稿には「どこどこの牛が美味しかった」
とか「A5は美味しい」とか、産地や等級を書いている方は一人もい
らっしゃらなかったんです。

 人生の節目となるエピソードですき焼きを食べておいしかったと
いってくださる方がほとんどで、つまりはおいしい肉をお出しする
ことが一番ということなんですね。それを読んだことが、「おいし
い肉を出そう、霜降りはやめよう」と考え始めたきっかけでした。

 適サシ肉宣言を出した当初は不安でしたが、お客さまは「なんだ
かわからないけど、これはうまいんだからいい」という反応で、気
が抜けました(笑)。

http://bunshun.jp/articles/-/1317
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も昔、正月用の牛肉で、あまりにサシが多かったので多くの人
から苦情をもらったという経験があります。真っ白に見えるほどの
ものは、健康な人の食べるものではありません。

 以下はその「和牛とサシ」について。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■なぜ、黒毛和牛だけがあんなにキレイな”サシ”が入るのか

□サシは黒毛和牛の特徴。

 ”サシ”という言葉をご存知でしょうか。これはいわゆる霜降り
肉のようなまばらに点在している脂肪分の俗称であります。さて、
このサシですが、食用にされている肉は数あれど、キレイなサシが
入っているのは牛肉、特に黒毛和牛の肉のみであることに気が付く
のではないでしょうか。

 実際、霜降り肉という名称そのものが高級な黒毛和牛の代名詞で
あるとさえ言えますので、霜降りの脂身であるサシは黒毛和牛の専
売特許であると考えられます。しかし、鶏肉には霜降り肉は存在し
ていませんし、豚肉であったとしてもそれほどキレイなサシが入る
ことはありません。

 それに同じ牛肉であったとしても、黒毛和牛とそうでない和牛に
おいてはサシの入り方が全く違っており、どのような牛であったと
してもそのサシのキレイさは黒毛和牛には及ばないものです。では
なぜ、黒毛和牛だけがあんなにキレイなサシが入るのでしょうか。

□肉質は血統によって決まる。

 その理由の1つとして考えられるのは、黒毛和牛の血統です。和
牛というのはその肉質を良くする為に、長い歴史の中で様々な牛同
士をかけあわせることで品種改良が行われてきました。その品種改
良の結果として、最終的に日本には4種類の和牛が存在することと
なったのですが、この4種類の和牛のなかで特に良い肉質を身につ
けるような品種となったのが黒毛和牛だったのです。

 特に今日本に存在しているほぼ全ての黒毛和牛は、田尻号という
かなり肉質が良く、サシの入り方が良好であった種牛の遺伝子を受
け継いでいます。それゆえに、黒毛和牛はそのほぼ全てが遺伝的に
脂身がつきやすく、サシの入りやすい身体的特徴を持っていると考
えられるでしょう。ですから、黒毛和牛におけるサシの入り方がキ
レイな理由は、血統で決まっているからと言っても過言ではありま
せん。

□飼育方法が特徴的である。

 ただ、黒毛和牛のサシがキレイなのは血統の要因だけがすべてで
はありません。なぜなら、同じ黒毛和牛であっても育成環境が違え
ば、サシの入り方も違ってくるからです。ですから、黒毛和牛のサ
シにおいては飼育方法や環境も大きく影響を与えていると考えても
良いでしょう。

 サシは牛の体の中に脂肪分が行きわたることによって肉に出現し
ます。これは牛が十分に肥育する環境を作るとともに、十分な栄養
価を持つ飼料を与えなければ実現できないものです。ですから、黒
毛和牛のサシの秘密の1つとしてはそれを育てる畜産業者の努力と
技術による面も大きいと言えます。

□他の食肉に比べて、脂肪が入りやすいのも特徴。

 牛の筋肉繊維は、他の食肉用とされる家畜の筋肉繊維と比べて脂
肪が混在しやすいという特徴を持っています。

 多くの家畜は筋肉は筋肉繊維のみで構成されているのですが、牛、
特に黒毛和牛においては筋肉繊維の間に収縮した脂肪細胞が存在し
ており、牛が十分な栄養を身体に蓄えるとその細胞に脂肪が蓄えら
れていき、徐々に大きくなっていきます。この筋繊維の間にある脂
肪細胞に充分なだけの脂肪が行き届けば、キレイなサシへと変貌を
遂げるのです。

□キレイなサシの秘密は血統、飼育、肉質。

 これらのことから、黒毛和牛だけにキレイなサシが入る秘密は血
統の良さ、飼育方法の工夫、そして根本的に肉質に脂身が入りやす
いという三つの理由が考えられることが分かりました。そのような
十分なサシが入るだけの3つの条件を満たしているのは黒毛和牛だ
けであり、それ以外の家畜には存在していません。

 それゆえに、黒毛和牛の肉質は他の家畜の食肉や他の品種の牛肉
よりも高級であると位置づけられて、国内外を問わず高い評価を受
けている肉であるのです。

http://xn--0tr555cxse3z5c.com/naruhodo/sashi/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 そして「高級肉指向」の始まりについての指摘が以下のようにさ
れています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■黒毛和牛「A5」は、農家を守るための策だった
格付け上位の牛肉は「おいしい」のか?

□消費者も次第に霜降り肉を好むように

 しかし昭和40年代以降、消費者レベルでも霜降り肉が好まれるよ
うになったのだろう。牛肉の評価がだんだんと脂肪交雑(霜降りの
度合いのこと)を重視するものに変化していく。実は黒毛和牛は和
牛4品種の中で、最も霜降り度合いが高くなる特性をもっていた。

 通常、脂肪は皮下、つまり肉の外側に付くものである。人間の場
合も太ると皮下脂肪が厚くなるのは、体験的にご存じだろう。しか
し、黒毛和牛はなぜか筋肉中に細かなサシが入る特徴があった。特
別に霜降り度合いの高い牛の血統は人気が出て、日本中に広まって
いった。

 そして決定的な出来事が1990年代に起こる。GATTウルグアイ・ラ
ウンドによる牛肉自由化である。それまで輸入に高い障壁を設けて
いた牛肉市場を、基本的に自由化することとなったのである。欧米
の畜産国から見れば日本の畜産事情はまだまだ中小規模であり、価
格面では太刀打ちできない。ヘタをすれば日本の肉牛産業は壊滅し
てしまいかねない。

 そこで、日本の畜産を守ろうとする人たちはこう考えたのだろう
と推察する。

 欧米で生産される肉のほとんどが赤身中心の肉である。ならば日
本の牛の基準を霜降り度合いを重視するものにしてしまおう。そう
すれば、黒毛和牛に勝てる霜降りをもつ輸入肉などないのだから、
多くの日本の肉牛農家を守ることができる。赤身中心の輸入牛肉と
直接競合するのはホルスタインと交雑種だが、そこはなんとか生き
延びてもらおう。

 かくして、日本の牛肉の評価は、肉質(霜降り度合い)と歩留ま
り(1頭からどれだけの肉が取れるか)の2つに収斂していった。

 牛肉の格付け、というより「A5の牛肉」と言ったほうがわかりや
すいだろうか。A5というのは、歩留まりがAで、肉質が5という牛肉
格付けを示している。この格付けは日本食肉格付協会が定めている
もので、基本的に全国の牛肉市場がこの格付けを採用している。

 歩留まりとは先に書いたように1頭の牛から骨と皮と内臓を取っ
た後にどれだけの肉が残るかという割合だ。それをA・B・Cで表す。
一般的に肉専用種はAになることが多く、乳用種はBからCとなる。
乳用種は健康に育ってたくさんお乳を出してくれることが重要なの
で、骨が太く、肉はあまり多く取れないものなのだ。その点、黒毛
和牛は骨が細めで、歩留まりがいい血統が多い。

 肉質というのは、肉の総合的な質の判断で、1~5で表す。肉質の
評価で最も重要視されるのが脂肪交雑(霜降り度合い)だ。日本食
肉格付協会が定めている脂肪交雑の基準をB.M.S(Beef Marbling 
Standard)といい、No.1からNo.12までの12段階に評価される。こ
れに加えて肉のキメがよいか、シマリがあるかといった部分や、肉
や脂の色などを判断し、5段階評価をしたものが肉質等級である。

 日本食肉格付協会が発表している「牛枝肉取引規格」を読むと、
特にA5が最高においしい牛肉だということは書いていない。そこで
は淡々と、牛を評価する基準を作り、記述しているだけだ。しかし
実際には、食肉市場はこの格付け基準によって牛肉の価格を決める
ようになった。この格付けが施行されたのは牛肉自由化の前夜であ
る1988年のことだ。

□日本の牛肉は格付けによって守られたが……

 これによって、日本ではA5の肉が最上級であり、高価格という状
況になった。輸入されるアメリカ産牛肉やオーストラリア産牛肉は、
日本の基準からするとB2~B3あたりの格付けになるため、価格は高
いものにはならない。そして黒毛和牛のように霜降り度合いが強く、
肉の量も取れる牛は人気を呼び、高値になっていったのである。

 逆に、歩留まりが悪く霜降り度合いの低い牛肉品種は、結果的に
価格が下がることとなった。生産者としては、利益が十分にないと
経営が成り立たない。もともと褐毛和種や短角和種を育ててきた農
家が、黒毛和種に転換することが多くなった。

 先に、昭和30年代は高知県の褐毛和種が高値だったということを
書いたが、そんな状況が一変し、褐毛和種の価格がどんどん下がっ
てしまった。それでも高知県には褐毛和種に愛着を持つ生産者が多
く、筆者も現地で「このあかうし(褐毛和種のこと)をペンキで黒
く塗ってやろうかと思った」と往事を嘆く農家さんから聞いたこと
がある。

 短角和種も同様で、一時は2万頭以上の頭数になったのが、もう
約8000頭にまで減っている。

http://toyokeizai.net/articles/-/131123
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 霜降り肉を評価して、黒毛和牛全盛を招いたこと自体は誤りとは
言えないと思いますが、ここにきてその路線維持も難しくなってき
たという状況です。

 やはり漁業の次は畜産業なんでしょうかね。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 もう30年以上昔の話ですが、淡路島への子牛の買いつけに同行
したことがあります。子牛はほとんど島内の酪農農家で生れたもの
で、和牛はほとんどありませんでした。乳牛の子でメスは乳牛に育
て、オスは去勢して肉牛にする、という単純なパターンでした。

 でも、まれに良さそうな子牛が出てくると、「これは和牛で通る
な」などと話していました。もちろんA5などという高級ものでは
ありませんが、牛の品種と牛肉の品質は必ずしも固定ではない、と
いうことのようでした。

 買って帰ってきたばかりの子牛はとても可愛くて、動物大好きの
孫娘にも見せてやりたかったな、などと思い出しています。

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