安心!?食べ物情報

安心!?食べ物情報 Food Review 909


カテゴリー: 2017年04月23日
安心!?食べ物情報909号
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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------909号--2017.04.23------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「Q&A」「クロマグロ漁獲規制破綻」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 まず、「豆腐」の話題を三連発です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■業者半減、豆腐安売り競争に歯止め…農水省指針

 農林水産省は、行きすぎた豆腐の安売り競争に歯止めをかけよう
と、食品スーパーなど小売業者らに、豆腐製造業者との「適正取引」
を促す指針をまとめた。

 小売業者が豆腐の特売を「常態化」させ、立場の弱い製造業者に
価格を抑えるなど負担を押しつけてきた問題が背景にある。

 指針は、小売業者が販売価格を抑えるため、製造業者に不当な値
下げや費用負担を強いる例が少なくないことから、不適切な事例と
して「物の購入強制」「協賛金の負担」など11の項目を例示して
関連法違反の可能性を警告するもので、3月末に策定された。農水
省が食品分野でこうした指針を出すのは初めて。5月から関連業界
に説明を始める。

 豆腐の年間消費量はここ数年、世帯当たり80丁程度で微増傾向
にあるが、価格は2016年で1丁約70円と10年前より約2割
安くなった。豆腐は日持ちせず、小規模な製造業者が多いため、小
売業者に買いたたかれるなどして、20年間で業者数は半減したと
いう。

http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170420-OYT1T50106.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 先日、「もやし」でも似たようなニュースがありました。普通で
も小売り企業の力が強すぎるのに、メーカーが零細企業の多い分野
ではまさにやりたいほうだいになっています。

 不当な安売り圧力に対しては、全面的な規制もやむを得ないと思
います。「下請け法」だけではなく、「仕入れ法」も必要になるの
では?

 次は沖縄ではこんな豆腐が売られているという話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■沖縄のアツアツ豆腐がピンチ 衛生基準対応で小規模店窮地に 
大手はパック詰めにシフト

 沖縄の日本復帰に伴う食品衛生法適用の例外として存続の危機を
くぐり抜けた“あちこーこー(熱々)”の島豆腐が、再び正念場を
迎えている。豆腐全体の需要減に加え、販売方法の変化や国際的な
食品衛生管理基準の要請などから、水さらしして日持ちをよくした
「パック豆腐」による流通が主流となっているためだ。

 本土の木綿豆腐は水槽の中で冷やし、冷蔵庫に保管して出荷する。
だが、沖縄の島豆腐は水にさらして冷やさず、温かいままでまな板
に載せて裸売りするのが慣例だった。

 1972年の復帰時、食品衛生法に基づき豆腐は水にさらして販
売することが義務付けられた。しかし、業界が一丸となり、沖縄独
特の食文化が維持できなくなることを当時の厚生省に陳情。島内の
流通に限り、温かい豆腐を販売する方法が特例として認められた。

 政府は東京五輪に向け食の安全を国際的にアピールする狙いから、
食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」の認証取得を
国内の食品事業者に段階的に義務付ける方針を打ち出す。給食セン
ターなど納入先からハサップ基準の衛生管理を求められ、昔ながら
の製法を手掛けてきた小規模業者が、衛生管理の厳格化への対応を
諦め、豆腐づくりをやめていくことも懸念される。

 食品製造大手のまえさと(西原町)は2010年の豆腐工場移転
に伴い、島豆腐の全自動製造ラインを県内で初導入した。豆腐を水
さらしして機械でカットし、自動でパック詰めする。同社は「あち
こーこーは年々減っており、現在はパック豆腐との売り上げ比で数
%しかない」と説明する。

 県豆腐油揚商工組合の久高将勝理事長は「パック詰めが主流にな
る流れにはあらがえないが、在来の大豆を使った商品開発など、あ
ちこーこーの島豆腐の付加価値を高めていくのも継承の方法だ。衛
生面に対応することでも、沖縄の食文化を残していく」と語った。

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-481214.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「アツアツ豆腐」とは衛生的に論外ですね。「沖縄独特の食文化」
としてこんなものが許されるというのは、沖縄県民に対する差別的
な扱いです。

 いい加減に旧弊を断ち切ったらどうだ!と思います。

 次はその反対に、今まで無意味な規制があった分野です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■豆腐の常温販売解禁へ 食安委の議論始まる

 内閣府の食品安全委員会は18日、豆腐の常温販売を認めるかど
うかを判断するための健康影響評価の議論を始めた。食品衛生法に
基づく規格基準は、細菌の発生や増殖を避ける目的で豆腐の冷蔵保
存を義務付けている。厚生労働省は、常温でも安全に保存する技術
が開発されたとして基準の改正を目指しており、委員会の評価結果
を受けて常温販売を認める方針。

 厚労省によると、規格基準の改正案は、十分に殺菌、除菌し、適
切な機器によって無菌状態で容器に入れた豆腐について、レトルト
食品などと同じように微生物を確認する試験で陰性となれば常温で
の保存、販売を認める方向で検討している。

 国内メーカーでは昭和61年からこうした豆腐を常温保存品とし
て海外に輸出してきた実績があり、これまでに食中毒などの報告は
ないという。業界団体は、海外市場で常温品が流通していることや、
災害時の緊急物資として活用できることなどから、豆腐の常温販売
の解禁を求めている。

http://www.sankei.com/life/news/170418/lif1704180035-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 豆腐にはいろんな段階があり、「アツアツ豆腐」は論外としても、
できた豆腐を水の中に入れてからパックしているもの、豆腐を高温
のままパック詰めしているもの、容器に詰めてから凝固させるもの、
といろいろです。

 最後の「充填豆腐」は元々要冷蔵でなくてもよいのですが、豆腐
の範疇に入れられているため、今までは要冷蔵の扱いでした。

 充填豆腐は凝固剤が違い、味や食感が普通の豆腐とは違うので、
好みの別れるところですが、より衛生的なことは間違いないので、
今後もっと増えていってほしいものです。

 早朝から作って、その日のうちに食べてしまわないといけない、
「伝統的な」豆腐屋さんの豆腐は、残念ながら現代の衛生基準には
不適合と言わざるを得ません。

 最後は昨年の台風被害の余波で、「ポテトチップス」の原料が不
足しているという話です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■北海道・十勝でポテチ用ジャガイモ争奪戦 「カルビーより高く
買います」

原料不足回避へ作付け前から価格競争

 ジャガイモの産地として知られる十勝地方で、4月下旬の作付け
を控えて早くも加工用ジャガイモの争奪戦が過熱している。生産農
家は作付けと同時に秋の出荷先も決めるためで、昨夏の台風被害に
よる原料不足でポテトチップスの一部生産休止や終了が相次いだ菓
子メーカーなどは、2年連続の非常事態を回避しようと原料確保に
奔走。他社より高額な買い取り価格を提示するなど競争は激しさを
増しており、他の野菜から切り替える農家も出始めた。

 「カルビーより確実に高く買い取る。乗り換えても単年で契約を
切ったりしない」。3月下旬、ポテトチップス製造国内最大手カル
ビー(東京)のライバル他社に卸すという仲卸会社の営業マンの誘
いに、十勝管内芽室町の農家男性(47)は一部を他社向けに出荷す
る決断をした。例年12ヘクタールで加工用のジャガイモ「トヨシロ」
を生産しており、4ヘクタール分の出荷先を切り替えるという。提
示された買い取り価格は、カルビーに昨年出荷した価格の1・3倍。
「われわれは経営者。売り時を間違えるわけにはいかない」と打ち
明ける。

 農業関係者によると、加工用ジャガイモの一般的な買い取り価格
は1キロ当たり30~45円。ところが、今年は60円に近い価格を提示
された例もあるという。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170420-00010001-doshin-hok
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ものが不足しているときはこんなものですが、できるだけ長期的
見通しの上での対応を期待したいものです。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

Q.ロングセラーのスナック菓子『ベビースターラーメン』の原材
料を確認すると、「ミート調味エキス」と明記されていますが、こ
れはどのような添加物(調味料)なのでしょうか。

------------------------------------------------------------

A.「エキス」などと記載されているものは食品添加物ではなくて、
原材料の扱いになります。

 一般には「肉エキス」「酵母エキス」「貝エキス」なんかをよく
みかけます。

 たとえば、醤油なんかでも、食品添加物ではなくて原材料ですの
で、食品添加物としての調味料を使う場合以外は、調味料は基本的
に原材料の扱いです。

 「エキス」という製品を使うのではなく、食品製造現場で直接肉
などを煮詰めてダシをとっているときは「エキス」という表示では
なくて、使った原材料をそのまま記載するはずです。

 「ミート調味エキス」がどのようなものかは知りませんが、この
商品を作る際に、別の工場で製造された「エキス」を調味料として
使っているのでしょう。

 主原料は「ミート(肉)」で、加工、精製されたものですが、本
質的には「食品」の範囲を超えるものではありません。

 なお、エキス製造時に食品添加物の調味料(いわゆる化学調味料
など)を使っているときは、別途食品添加物としての表示が必要に
なります。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「クロマグロ漁獲規制破綻」
------------------------------------------------------------

 以前から危機的状況だと言われてきた「クロマグロ漁獲規制」が
ついに破綻をきたしたというニュースです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■クロマグロ、漁獲量上限超え 海外から批判必至 月内にも小型
魚の罰則強化へ

 資源の枯渇が懸念されている太平洋クロマグロについて、国際合
意で決められた30キロ未満の小型魚の漁獲量が、月内にも上限を
超えることが16日、分かった。超過分だけ次年度の漁獲枠が差し
引かれる。国内の沿岸部で違法操業などが相次いで発覚しているこ
ともあり、規制を求める海外からは、日本の資源管理の姿勢に批判
が集まることになりそうだ。

 太平洋クロマグロの資源量を回復させるため、国際機関の中西部
太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は2015年、30キロ未満
の小型魚の漁獲量を02~04年平均の半分にする規制を導入した。
日本の上限は4007トンとなっている。

 漁業者が多い沿岸漁業は7月~翌年6月までを1年の単位として
おり、規制期間はあと2カ月以上残る。4月14日時点で漁獲量は
3994トンに達したが、水産庁は漁業者に禁漁を強制できないう
え、ほかの魚と一緒に混獲されることもあるため、上限超えは避け
られない状況になっている。

 水産庁は4月中に、クロマグロにも総漁獲可能量(TAC)制度
を適用する政令改正を行い、罰則を強化する。18年以降は上限を
超えて漁を続けた漁業者に3年以下の懲役、200万円以下の罰金
を科す。

 太平洋クロマグロをめぐって、昨年、三重県で割り当て量を超え
て漁獲される違反があったほか、各地で、許可のない漁業者による
違法操業や漁獲量の申告漏れなど、不正が相次いだ。

 年末のWCPFC総会に向け、課題を整理する小委員会が8月に
開催される。水産庁幹部は「間違いなく、日本の責任が論点になる」
と警戒感をあらわにする。太平洋クロマグロの漁獲量、消費量とも
に最大の日本には、世界から資源管理の責任を問う声が集中するこ
とは必至だ。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170416-00000001-fsi-bus_all
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 この件に関してはしばらく前に、いろんな違反例が出てきて、収
拾がつかなくなりそう、というニュースもありました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■クロマグロの漁獲規制違反、新たに8県で判明 水産庁

 絶滅の恐れのある太平洋クロマグロ(本マグロ)を保護するため
の漁獲規制違反が相次ぎ、全国調査をしていた水産庁は3日、結果
を発表した。静岡など8県で違反操業や漁獲量を把握していない事
例が見つかった。

 同庁によると、静岡県では5漁船が承認を受けないまま操業し約
1・5トンを水揚げしていた。本マグロは地元の漁業協同組合が漁
獲量を都道府県に報告することが求められている。しかし、岩手、
宮城、千葉、新潟、静岡、和歌山、熊本、鹿児島の8県で水揚げさ
れた約10・9トンは、報告がなかったり、漁獲量の集計が不明確
だったりと、漁獲の実態を把握していなかった。

 長崎県と三重県で昨年、承認を受けていない漁船が繰り返し水揚
げを行ったり、操業自粛期間中にもかかわらず水揚げをしたりする
悪質な事例が発覚。今回の調査はマグロ漁を行う全39都道府県の
2015~16年の水揚げを対象とした。

 水産庁は、規制の周知不足や、漁業者が規制を守る意識が低いこ
となどが背景にあると見る。

 太平洋クロマグロは14年に、国際自然保護連合(IUCN)に
よって絶滅危惧種に指定された。中西部太平洋まぐろ類委員会(W
CPFC)も小型の太平洋クロマグロの漁獲量を半減することを決
定。日本では操業を「承認制」とし、15年からは日本の沿岸ごと
の漁獲上限が設けられた。

 サンマやマアジなどの7魚種は現在、罰則付きの漁獲制限が行わ
れている。水産庁は、太平洋クロマグロをこの対象に加える検討を
始めている。日本はマグロの消費量が多く、資源管理の甘さは国際
社会から批判を招く恐れもある。

http://www.asahi.com/articles/ASK234RX6K23ULFA015.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 お役所は「規制している」と言っていますが、実態は有効な規制
にはなっていなくて、漁民の自主努力だけが頼りだというものでし
た。

 以下はそのあたりについての、勝川先生の意見です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■なぜ日本はクロマグロの漁獲枠を守れないのか?

 昨年から、クロマグロの国別の漁獲枠が導入されました。日本は
去年の7月から今年の6月までの漁獲を、30kg未満の未成魚は4008ト
ン、30kg以上の成魚は4882トン以下に抑えることに合意したので
すが、漁獲量が超過することが確実な情勢です。このような事態に
なったのは、漁業者のモラルよりは、むしろ、漁獲規制の仕組みに
問題があると筆者は考えます。

□現行の漁獲規制とその問題点

 まず、日本の漁獲規制の仕組みについて説明します。水産庁は日
本を6つのブロックに区切って、漁獲枠を配分しました。さらに、
主要な県には県ごとの枠を定めました。

 水産庁は、ブロックの漁獲量が枠の7割を越えると注意報、8割を
こえると警報、9割をこえると特別警報を出します。さらに、枠に
達する見込みになると自粛要請をします。漁獲枠の残りが少なくな
った時点で、警告をして漁獲にブレーキかけてもらえば、漁獲枠を
越えることはないという判断です。残念ながら、そうはなりません
でした。

 ブロック毎の漁獲実績はこちらにあります。今年は、九州と太平
洋西部にクロマグロの稚魚の漁場が形成されたので、これらのブロ
ックでは漁獲枠を超過しています。一方で、魚が北上していないの
で、日本海北部では与えられた枠の半分も消化していません。

 特に超過が大きかったのは、南太平洋ブロックの共有部分です。
東京都、愛知県、三重県、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口
県、徳島県、香川県、大分県、宮崎県の12都府県には50トンが配分
されたのですが、すでに100トン以上超過しています。共有枠が超
過の大きな要因になっていることがわかります。

 操業自粛要請が近いとわかれば、漁師は獲り控えるどころか、ま
すます張り切って獲ります。「もう獲れなくなるなら、今のうちに
獲っておこう」とラストスパートをかけます。注意報や警報を出す
ことで、ブレーキをかけるどころか、火に油を注いでしまうのです。
残り少ない枠に大勢が群がり、結果として漁獲枠を越えてしまいま
した。

 同じことがおこったのがミナミマグロです。南半球に生息するミ
ナミマグロも乱獲で資源が減少して、漁獲量を規制することになり
ました。日本は、早獲り方式で漁獲枠の運用をしたので、漁獲量が
漁獲枠を超過して、国際問題になりました。他国から非難を浴びて、
懲罰的に日本だけ10年間漁獲枠半減になったのです。これが契機と
なって、ミナミマグロには船毎の個別枠が導入されて、それ以降は
日本もきちんと漁獲枠が守れるようになりました。クロマグロでも
同じ失敗を繰り返して、国際的な信用を失墜させているのは残念と
いうほかありません。

 早獲り方式では漁獲枠を守るのは至難の業です。先の記事で紹介
したカナダの事例でも早獲り競争時代は恒常的に漁獲枠を超過して
いましたが、個別枠になってからは枠の超過は皆無です。

 「あなたは1トンしか獲ってはいけません」と言われたら、漁業
者はルールを守ることができます。でも「みんなで100トンしか獲
ってはいけません」と言われたら、早獲り競争になってしまい、そ
のルールは守られません。

 漁業者のモラルではなく、規制のやり方に問題があるのです。早
獲り方式は、漁獲枠の配分が不公平になるという別の問題も抱えて
います。

 漁期の最初に魚群が来遊したエリアでは漁獲枠の消化が進みます。
一方で、来遊が遅れたエリアでの獲り分は無くなってしまいます。
こういう状況では、計画的な漁業や、ブランド化を推進することは
不可能です。後先考えずに、多く獲った漁師だけが得をする、非合
理的なシステムと言えるでしょう。

□どのような漁獲規制が望ましいのか

 漁獲の仕組みを考える上で重要なことは、以下の3点です。

1)全体の漁獲量が漁獲枠の範囲に収まること

2)エリアや漁法による著しい不平等が生じないようにすること

3)水揚げ全体の価値を高めること

1)が成り立たなければ資源管理とは言えません。また、規制の下
で漁業経営を成り立たせるには2,3についても考慮が必要です。現
在のエリア別早獲り方式は、上記の3つ全てにおいて、効果が期待
できません。

 ではどうすれば良いのか。ミナミマグロやカナダの成功から学ぶ
ことです。県のような大きな区分だと、早獲り競争になってしまい
ますが、顔が見える範囲まで漁獲枠を割っておけば、話し合いで調
整ができます。内部調整ができる単位まで、漁獲枠を細分化するこ
とが不可欠なのです。現在は大きなエリアで区切られている漁獲枠
を漁業種類や漁場によって細かく配分する必要があります。

 次に漁獲枠の超過に対する対応を、予め決めておく必要がありま
す。現在の規制では、みんなが自分の枠を100%守ることを前提と
しています。このような非現実的な前提に立った漁獲規制は必ず破
綻します。

 漁獲枠の超過が起こりうることを前提に、一部のエリアで漁獲枠
を超過した場合にも国全体の漁獲量が枠内に収められるような制度
設計が求められます。

このようなケースには、漁獲枠の取引の仕組みをつくるのが効果的で
す。自分の枠を超過したエリアは、枠を余らせているエリアと交渉し
て、枠を買えるようにするのです。全体の枠がタイトになってくれば、
漁獲枠の価格も高くなるので、超過に対して慎重になるでしょう。

 また、自分の権利以上に獲ってしまった漁業者から、自分の権利を
つかえなかった漁業者に金銭的な補償がされることになり、地域間の
不平等がある程度緩和されます。

□罰則規定は必要か?

 クロマグロを捕るのは漁業法で認められた漁業者の権利です。国
民の権利を行政が規制をする場合には、法的根拠が必要になります。
クロマグロの採捕許可がない漁船がクロマグロを捕るのは違法であ
り、現在でも取り締まることが出来ます。こういった違法は今後減
っていくでしょう。

 一方、クロマグロの漁獲枠は、法律や条令に寄らずに、水産庁が
勝手に設定しているだけです。採捕許可がある漁船が枠をこえてク
ロマグロをとるのは合法であり、要請に従うかどうかは漁業者の自
由なのです。

 超過漁獲に対してペナルティを科すことはできず、自粛要請に従
った正直者がバカを見るとことになりかねません。もちろん、自粛
勧告を無視する漁業者は非難されるべきですが、自粛要請で規制を
しようという今のやり方には無理があります。

 国際社会に対して、漁獲をこれ以下に抑えると約束してきたのに、
そのための法整備をおこなっていない現状は、国として無責任と言
えます。

「水産庁は今月中に、クロマグロに総漁獲可能量(TAC)制度を
適用する政令改正を行い、30年以降は上限を超えて漁を続けた漁
業者に3年以下の懲役、200万円以下の罰金を科すなど、規制を
強化する方針」です。この動きは歓迎したいのですが、そもそも規
制を開始するまえに法令改正をしておくのが当然であったと筆者は
考えます。

 罰則規定をするだけでは問題は解決しません。法整備と並行して、
個別枠と譲渡の仕組みをつくる必要があるのです。今の欠陥制度の
ままで罰則規定を導入しても、全体の漁獲枠は守られず、地域間の
不平等は放置されたまま、運が悪い漁業者が罰則規定でさらに苦し
むことになるのは火を見るより明らかです。

 業界紙・水産経済新聞(4/17)に「本音は『国はわれわれ漁民を
殺す気なのか』と思わざるを得ない」という定置網漁業者の悲痛な
コメントが掲載されていました。クロマグロの操業自粛勧告が出さ
れたエリアの定置網は、クロマグロがかからないかヒヤヒヤしなが
ら操業をしています。来年からは、クロマグロがうっかり網に入っ
てしまえば犯罪者です。混獲を避ける為に網を揚げれば、一切の収
入が途絶えてしまうので、従業員に給料を支払えなくなります。犯
罪者か廃業かの二者択一になりかねないのです。

 もし仮に、漁獲枠の売買が許されていたら、枠が一杯になったと
しても、網を揚げる必要はありません。混獲したクロマグロの分だ
け、マグロが来なかったエリアから漁獲枠を購入すれば良いのです。
魚が来なかったエリアの漁業者は、枠を売ることで、現金収入を得
ることができます。枠を売る側と枠を買う側の双方にメリットがあ
る合理的な制度と言えます。日本が国際的な信頼を回復し、漁業者
の暮らしを守るためにも、合理的な規制の導入が求められています。

https://news.yahoo.co.jp/byline/katsukawatoshio/20170420-00070068/
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 漁獲規制は魚を守るためだけではなく、漁業者を守るためのもの
でもあります。

 お役所だけではなく、漁業者やその他の団体も含めて、有効な漁
獲規制を行い、資源の確保と漁業の発展を目指していかないと、日
本の漁業は滅びていくことになるのでしょう。

 かつて、林業が滅んでいった跡をたどっているような気がしてな
りません。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 今週から抗ガン剤治療が始まりました。体力的な理由で短めにな
ると思いますが、ご了承ください。

 抗ガン剤は火曜日に始めたので、もう峠を越えて少しラクになり
ました。引続き2週間おきに数回という予定です。

 「見るべきほどのことは見つ」という気もしないではないですが、
孫の成長をもう少し見ていたいので、頑張らなければなりません。

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