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安心!?食べ物情報 Food Review 896


カテゴリー: 2017年01月08日
安心!?食べ物情報896号
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--安心!?食べ物情報--Food-Review-----------------------------
-------------------------------------896号--2017.01.08------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「ニュースから」「バター不足」

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--〔話題〕--------------------------------------------------

 お正月は例によって餅の事故が発生しています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■餅がのどに詰まったら… 「背部叩打法」が有効 新年の救急搬
送後絶たず 

 新年はおめでたい話題が尽きない一方、高齢者が餅をのどに詰ま
らせ、救急搬送されるニュースが後を絶たない時期でもある。消防
は注意を呼びかけているが、依然として高水準で推移している。
「七草がゆ」の7日を迎えても、まだ餅を食べる機会は多い新春。
なぜ危険を知りつつも日本人は餅を口にするのだろうか。

■9割が65歳以上

 東京消防庁によると、平成23~27年までの5年間に、都内で
餅や団子をのどに詰まらせて救急搬送されたのは562人。年間1
00人前後で推移しており、65歳以上の高齢者が約9割を占めた。

 今年は1月1~3日の三が日だけで21人が搬送され、60代と
80代の男性2人が死亡した。

 同庁は(1)餅は食べやすい大きさに小さく切る(2)急いで飲
み込まず、ゆっくりとかんで飲み込む(3)乳幼児や高齢者と食事
をするときは注意を払う-などと注意を呼びかけている。

 もし詰まってしまった場合は、「呼びかけて反応があれば、でき
る限りせきをさせる。それもできない場合は、ためらわずに救急車
を呼んでください」と同庁担当者は話す。

http://www.sankei.com/affairs/news/170107/afr1701070008-n1.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 私も65歳以上になりましたので、今年は餅を一つも食べません
でした。

 正月には餅ではなく、和菓子か何かを食べる習慣をひろめたらど
うでしょうかね……業界の方。

 次も同じ産経の記事ですすが、以前に商会した「餅つき禁止!?」
の記事について、面白い報告です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■ノロ感染で餅つき大会の禁止相次ぎ 「行き過ぎだ」と呼びかけ
たはずが、ホントに禁止を広げてしまった

「餅つき禁止!? 年末年始恒例なのに 自治体規制に住民反発も」

 農協系の日刊紙「日本農業新聞」が平成28年11月下旬、こん
な見出しの記事をネットに配信した。記事では、「ノロウイルスの
蔓延を防ぐため、都市近郊のある県でイベントでついた餅を配るこ
とを原則禁止している」とし、「禁止は行き過ぎ。子供の貴重な食
体験を奪わないで」「日本は今、数件の事故で全体を駄目だと判断
してしまう風潮がある」など消費者や生産者の声を紹介。「食品衛
生上、仕方ない」とする意見も盛り込まれているものの、全体を通
して「日本の伝統文化である餅つきを禁止するのは行き過ぎ」と疑
問を投げかける内容となっている。

 実際に自治体が餅つきを禁止しているとすれば、確かに問題だ。
自治体が禁止するからには、条例などで餅つき禁止をうたうなど何
らかの根拠が必要だ、これまでそんな話は聞いたことがない。そこ
で、この記事で禁止していると名指しされた「都市近郊のある県」
がどこか突き止めようと、関東1都3県に問い合わせてみた。

 しかし、そうした条例があるところはなかった。ただ、ノロウイ
ルスの流行拡大を防ぐため、保健所などが自粛をお願いしているこ
とが分かった。自粛要請は、感染症拡大を防ぎたい行政としては最
もなことで、問題があるとはいえない。取材をした限りでは、「餅
つき禁止」といった規制をしている自治体は見当たらなかった。

 また、保健所に許可申請などが必要なのは、主に営利目的のイベ
ントなどで、幼稚園や学校など非営利の餅つき大会は通常、規制の
対象外。中止は、それぞれの団体の自己判断で、自治体の規制によ
るものではない。

 実際は禁止されていないのに、「禁止は行き過ぎ」との記事の主
張には、日本の伝統行事である餅つきの中止をなんとか食い止め、
餅(米)の消費を拡大したいとの思いがなんとなく透けてみえない
だろうか。

 一方、取材を始めた昨年12月上旬、千葉県木更津市の郷土博物
館が、毎年行っている餅つきを今年は中止すると発表した。同館の
餅つきは、きな粉餅やおろし餅を訪れた住民らに振る舞う人気のイ
ベントだが、保健所から「ノロウイルス感染拡大の可能性があるの
で、なるべく控えてほしい」と助言されたためという。

 餅つきによるノロウイルス感染拡大のリスクは、何も今年になっ
て分かったことではない。なぜ、今まで中止しなかったのか聞いた
ところ、イベント開催に許可がいるわけではないので、それまでは
保健所に問い合わせたことがなかったという。副館長は「餅つきで
ノロウイルスが広がる恐れがあるとテレビで報じられていて、心配
になって保健所に問い合わせたんです」。

 餅つきとノロウイルスの話がテレビで盛んに取り上げられるよう
になったのは、記者が知る限り日本農業新聞の記事が配信されて以
降のこと。結局、禁止はけしからんと、餅つき復活を願って書かれ
た記事が、残念ながら餅つき中止に拍車をかけてしまったようだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170101-00000549-san-soci
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 「餅つき復活を願って書かれた記事が、餅つき中止に拍車をかけ
てしまった」というオチは秀逸です。

 そもそもニュース記事は事実を報道するもので、記者の願望を書
くものではありません。

 あの記事は事実を曲げて書いて、世間を煽るという程度の低いも
のでしたから、皮肉な結果になったのも当然だと考えています。

 同様の例は多いですから、マスコミ諸氏は反省を…。

--〔Q&A〕------------------------------------------------

 「安心!?食べ物情報」では、みなさんからの質問を常時受け付け
ています。質問の宛先は

why@kenji.ne.jp

です。いつでもどうぞ。

------------------------------------------------------------

今回は休みます。

-〔食べ物情報〕---------------------------------------------
「バター不足」
------------------------------------------------------------

 少し旧聞なのですが、こんな記事がありました。テレビ番組の内
容に関するものです。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■バター不足は仕組まれたものだった? 「ガイアの夜明け」放送
内容にホクレンが反論「誤解を与える内容」

 11月22日に放送されたドキュメンタリー番組「ガイアの夜明け」
において、ホクレン関係者が「バターが『なくなるぞ』となったら
消費者はとりあえず買う」と笑顔で語り、「バター不足はホクレン
のせいだった!?」とネットで炎上中です。ホクレンは編集部の電話
取材に対し「放送された内容は意図したものではなく、そもそもイ
ンタビューがバター特集用のものであるとも聞いていなかった」と、
番組に対する不満を明らかにしました。

 話題となっているのは「日経スペシャル ガイアの夜明け 巨大
"規制"に挑む!?明かされる『バター不足』の闇?」内における、ホ
クレン農業協同組合連合会の酪農部部長による発言。ホクレンは酪
農家と乳業メーカーの仲介を担う指定団体で、国内で流通するバタ
ーのほとんどを仲介しています。

 番組ではまず、ホクレン職員が酪農家との意見交換会で「山のよ
うにバターがあったら消費者は買わない。どんどんなくなっていく
と『またバター不足が起こるのでは』と買い増し行為が出る」と発
言したことを紹介。これに対しナレーションで「消費者の買い増し
を誘っているかのように聞こえる」とした上で、意見交換会に出席
していた同団体の酪農部部長にインタビューを行いました。

 同部長は「消費者の心理としては、たくさんあったら焦って買わ
ないですよね。ところが『なくなるぞ』となったら、いるのかいら
ないのかよく分からないけどとりあえず買っちゃいます」「そうい
う消費者心理ってありますよね。わかります?」と朗らかな笑顔で
発言。品薄を演出して購買欲を煽ろうとするかのような発言に、ネ
ット上では「バター不足はホクレンのせいだったのか」「ホクレン
の自爆劇」と炎上しました。

 ただし同部長はその後「バターは品薄くらいがちょうどいい?」
という念押しの質問に対し、「安定供給が大事だと思うので、そう
いうことではないと思う」とも発言しており、視聴者からは番組構
成の恣意性を指摘する声も上がっていました。また、Twitter上で
はホクレン関係者と思しき人物による「当初制作会社からの取材依
頼内容はバター不足ではなかった」「休憩なしで3時間に及ぶ尋問
のような取材だった」とする発言も見られました(当該アカウン
トは現在鍵付きとなっています)。

 編集部が一連の映像と発言についてホクレンの広報に問い合わせ
ると、担当者は「放送されたものは意図した内容ではなく、誤解を
与える番組と認識している。そもそも“バター特集”用のインタビ
ューとも聞いていなかった」「ホクレンでは酪農家から預かったも
のを乳業メーカーと話し合うだけなので、仕組み的に生産量の調整
はできない」と回答。番組に対する今後の対応を「検討中」である
としました。なお、Twitter上の関係者のものと思しきツイートに
関しては把握しておらず、対応については検討するとしています。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161124-00000066-it_nlab-life
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 それに関して、こんな意見が表明されています。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 11月22日に放送された「ガイアの夜明け」で、このバター不足問
題が取り上げられた。その内容は指定団体、中でも北海道の指定団
体であるホクレンによって引き起こされており、指定団体に属さな
い民間の生乳卸売業者や、そこに出荷しようとしている酪農家をホ
クレンが迫害しているというような論調だ。長期取材をしたという
その番組は、なぜか規制改革推進会議が進める提言に沿っていると
言ってもいいような内容となっており、不思議に思うところも多い
のだが、筆者の感想としては「こんなにバイアスのかかった内容を
報道していいの?」というものだ。多くの消費者が「そうか、ホク
レンはこんな悪いことをしているのか」と思い込むような内容だか
らだ。もちろん日本全国の酪農家が指定団体制度を快く思っている
わけではないだろう。しかし前回書いたように、少なくとも指定団
体の存在によって恩恵を受ける農家のほうが主流だ。なのに、なぜ
ごく少数に肩入れし、バター不足が大いなる陰謀によって引き起こ
されていると言わんばかりの番組を作るのか、ちょっとわからない。

 バター不足はもっと単純な理由で発生するものだ。そしてそこに
は、日本国内で生乳を生産し続けるために、ある負担を消費者に強
いている構造が存在する。それを陰謀と呼ぶのか、それとも日本に
とってかけがえのないものを守るためのコストとしてとらえるか。
それが問題の本質といってよい。そのことを解説していこう。

 とても簡単に言い切ってしまうと、バター不足は生乳が余ること
なく売り切れるような数量で計画生産されているから発生するので
ある。どういうことか。

 生乳はメス牛が妊娠して子を産み、その子牛のために出そうとし
た乳を人がもらうものだ。メス牛は出産すると、乳を1日当たり20
~30リットル出すようになる。これを人為的に止めることは基本的
にできないので、毎日一定量の生乳が発生する。当然だが、売り先
がなかったり出荷を止められたりすると、搾った生乳を貯めておく
バルククーラーも満タンになり、あとは廃棄するしかなくなってし
まう。2006年に牛乳生産が過剰になってしまい、生乳を貯めておく
バルククーラーから生乳を廃棄し、泣いている酪農家さんが報道さ
れていたのを覚えている人もいるだろう。

■計画生産の数量を「少なめ」に設定

 実はこの計画生産の数量は、ここ数年、少なめに設定されてきた。
これが昨今のバター不足問題のきっかけになっているという側面も
ある。それはなぜか。

 まずは先述のように、2006年に余剰乳が発生し、少なくない酪農
家が生乳を廃棄せざるをえなかった。ここで計画数字が過剰であっ
たという判断になり、若干抑制ぎみの計画にしようという動きにな
った。それに加えて、酪農家が牛に与えるエサとして頼る輸入穀物
が高止まりしていたため、高価なエサ代に酪農家が生産意欲をなく
して減産傾向にあった。酪農家戸数も、1963年には41万7000戸を数
えたが、2010年には2万1900戸、そして2016年は1万7000戸へと減少
し続けている。

 これまでは酪農家戸数が減った分、1軒当たりが飼う牛の数を増
やす傾向にあったのでプラスマイナスが合っていたのだが、どうや
らそのバランスは崩れ、生乳生産量は漸減している傾向だ。だから、
計画数量を少なめにせずとも生乳生産量は減っており、生産調整す
る必要もなく需給バランスが取れている状態がしばらく続いていた。

 しかし、何事も計画どおりに行かないものだ。ここ数年、天候の
変化が激しく、予測がつかないことが多いのはご存じだろう。たと
えば夏場に暑くなりすぎると、牛は体調を崩し食欲をなくすため、
お乳を出す量が減ってしまう。それに加えて今年は熊本で大規模な
地震があったり、台風10号の影響で北海道や岩手などの酪農産地も
ダメージを受けた。こうしたことが、生乳生産の計画を狂わせ、不
足に陥る。

 興味深いのは、バター不足が起こった年にどの程度の生産量の減
少が生じたのかということだ。「全生産量の10%くらいが減ったの
だろう」と思われるかもしれないが、そうではない。たとえば2014
年のバター不足はたったの1~2%の減産で発生した。つまり、そう
した絶妙なバランスのうえで、生乳は生産されているということな
のだ。

 さて、出荷された生乳はいったん乳業メーカーの大きな貯乳タン
クに貯められ、そこから用途に応じて分けられ、製品になっていく。
このとき、飲用の牛乳になる場合と、バターや生クリームといった
加工品になる場合とでは、買い取り価格に差が出るようになってい
る。加工用の買い取り価格は飲用より安く設定されているため、自
分の出荷した生乳を加工用に回された酪農家にとってはたまったも
のではない。そこで、飲用になっても加工用になっても、生産者に
は公平な分配がされるように、加工用途に回った場合は補給金とい
うものがついて生産者には支払われる。

 しかし、生乳の価格は公平にならされるとしても、生乳の用途別
の分配は公平ではなく、飲用牛乳→生クリーム→チーズ→バター・
脱脂粉乳という順番に優先されるようになっている。そう、バター
はいちばん最後なのだ。だから、計画数量から1~2%ズレてしまっ
ただけでも、バター不足が発生してしまう。つまり、先に述べたよ
うな理由で生乳が計画より不足すると、しわ寄せがバターに来てし
まうというわけだ。

■不足しそうな場合は「輸入」で乗り切る

 生乳を増やすためには、乳を出すことができる母牛を増やさなけ
ればならないわけだが、メス牛が受精してから出産するまでは10カ
月はかかる。したがって「今年は足りなくなるぞ!」ということが
わかった時点で、なんとか増やそうしても間に合わない。この問題
に関しても、解決のためのさまざまなチャレンジが行われてきたが、
結果としてはどうすることもできない。したがって、足りない場合
は海外から輸入しようということになる。もともとバターは生乳と
は違って冷凍しても品質がほぼ変わらないので、都合がいいのだ。

http://toyokeizai.net/articles/-/148001
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 以下はその補足記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■「インサイダー」と「アウトサイダー」の違い

 11月22日放送「ガイアの夜明け」の酪農に関する回で、北海道の
指定団体であるホクレンがやり玉に挙がったことに関しても補記し
ておきたい。北海道と他の都府県とは酪農を巡る状況がまったく違
っており、生産力の大きな北海道に対して、都府県の生産量は少な
い。規模の大きいバター工場は北海道に集中しているが、これは北
海道がバターや脱脂粉乳用の生乳出荷を「引き受けている」からだ。
都府県では、生産される生乳はほとんどが飲用牛乳に回す分で手い
っぱい、若干余った場合は調整弁としてバターなどにする。それに
対して、北海道では生産量が多いため、最初から計画的にチーズや
バター、脱脂粉乳の国内使用量を確保すると決めて製造をしている。
ただし、飲用に回すよりも加工品の場合は買取額が低くなってしま
うので、酪農家は嫌がる。だから差額を補填する補給金を支払うの
である。

 これでうまくいけばいいのだが、何かアクシデントで生乳が足り
なくなったりしたときには、飲用に使う生乳の価格にプレミアムが
付加され、加工向けの価格に補給金を足した額よりも、大幅に上回
る(ちなみに、今でも飲用向け価格は補給金を乗せた加工向け価格
よりも30円ほど高い)。だから、酪農家の中には「自由に飲用に売
れたらいいのになあ」と思う人がつねに存在する。そういう人が指
定団体の系統から離脱して独立系の業者に販売すると「アウトサイ
ダー」と呼ばれる。対して、指定団体を通じた流通をする人たちは
「インサイダー」だ。インサイダーは、飲用市場向けに自由に販売
するという道をあきらめる代わりに、計画生産を果たすことで補給
金を手にできる。つまりインサイダーはローリスクローリターン、
アウトサイダーはハイリスクハイリターン経営であるということだ。

 ここで、飲用向けの価格が上がったときだけアウトサイダーに転
じ、下がったときはインサイダーに戻るという人がいたらどうなる
か。そんな勝手なマネをされたら、インサイダー内で秩序を守る人
にとって不公平になってしまう。だから指定団体下の農協組織は、
酪農家がアウトサイダーになるのを止めようとするし、インサイダ
ーの秩序を守るために提供しているサービスは提供しないというこ
とになるかもしれない。それを不公平だとなじるのは簡単だが、よ
く考えてみてほしい。農協は組合員の一人ひとりが1票を有してい
る公平性を旨とした組織だが、当然ながら「総意」はある。会社組
織などでは通常、社員の業績や貢献度に応じて給与が支払われるも
のではないか。給与をもらう代わりに社員は自ら自由に動くことは
制限され、組織のルールを守ることが要求されるのが普通だろう。
だから、ホクレンや農協がことさら悪いという印象を与える報道は
「偏っている」と書いたのである。

■チーズやバターは店頭売価では利益が出ない

 乳製品のうち、飲用の牛乳はそれなりの値段で販売するため、特
に何の補助金もなくやっていける。しかし加工品に関しては別だ。
チーズやバターに関しては、輸入品に関税をかけている現状におい
ても、日本の店頭売価ではなかなか利益を出すことができない。

 というと「ええっ?」と思われるかもしれないが、バター作りを
したことがある人ならきっとおわかりいただけると思う。バターは
自宅でも作ることができる。生クリームを瓶に入れて、ずっとシャ
カシャカと振り続けるのだ。15分ほどすると、いきなり半透明の液
体と固形化した油脂に分かれてくる。この固形物がバターなのだが、
生クリームは生乳から乳脂肪を分離したもの。そこからほんのちょ
っとのバターしかできないことにがく然とするはずだ。

 まともに飲用牛乳の価格を前提にバターを作ろうとしたら、1箱
1000円では済まない、とんでもない価格になってしまうだろう。チ
ーズも同様だ。だから、チーズやバターなどの加工用にする生乳は
価格を下げている。ただし、加工用の生乳も飲用向けの生乳と中身
は同じだから、生産者にとっては不公平だ。そこで、加工用の生乳
には補給金という補助が付けられるのである。

 では、この補給金はどこから出てくるのかというと、国の一般会
計財源である。平成28年度は農林水産省で、加工原料乳生産者補給
金としておよそ305億円の予算が計上されている。

 ちなみに日本における生乳の国内算出額は約7000億円。生乳を加
工し販売する乳業産業の市場規模はおよそ2兆6000億円。これを安
定させるために毎年300~400億円程度を国が負担している。牛乳お
よび乳製品は国として重要な基礎食品であるため、生乳生産がスム
ーズにいくよう予算をかけるということだ。国の予算ということは、
私たち国民が負担しているということでもある。

 およそ300億円という金額は、個人としては大きいものと言える
が、一国の食料を支える額としてはそれほど大きなものではない。
たとえとして適切と言えないかもしれないが、いま移転が取りざた
されている築地市場の水産部で1カ月に取引される金額がおよそ350
億円程度だから、その金額で日本国内の牛乳・乳製品をまかなうこ
とができるなら御の字なのではないだろうか。

 しかも、実はこの300億円程度必要な生産者補給金のうち国庫
(税金分)から満額交付されている訳ではない。というのは、バタ
ーが足りなくなると、海外から追加輸入をするというのは前回も書
いたが、その際に発生する売買利益が、補給金に充てられることが
あるからだ。これについても大きな誤解をしている人が多い。

http://toyokeizai.net/articles/-/151686
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 ここに書かれていることはだいたい事実に即していると思います。
件のテレビ番組の内容は相当ひどかったようですね。「敵を捏造し
て煽る」手法ですか。

 でも、現状でバターが不足しがちなのは「国家貿易」に原因があ
ります。

 国家貿易については、以下のような説明があります。 

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■平成28年度におけるバターの国家貿易

 バターは、国内の生乳需給の調整弁として、国家貿易により輸入
を行っています。

 平成28年度は、1月、5月、9月にバターの輸入判断を行うとあら
かじめ決めていたところです。

 国は、1月にカレントアクセス分(※1)として7千トン、5月に6
千トン、9月に4千トンの追加輸入(※2)を決定しました。

 平成28年度の輸入決定分1万7千トンについて、10月までに8,700
トンを売渡し、3,200トンを農畜産業振興機構が保有して、11月ま
でに売渡入札を実施予定です。

 残り5,100トンは、今後、順次入札を実施することとしています。

※1 カレント・アクセス:独立行政法人農畜産業振興機構(機構)
が、国際約束に従って、生乳換算13.7万トン/年のバター等を輸入
するもの。

※2 追加輸入:カレント・アクセスによる輸入を実施しても、なお
不足が生じるおそれのある場合に、機構が農林水産大臣の承認を受
けて、バター等を輸入するもの。

 <参考:バターの種類>

 国が輸入するバターは、主にバラバターや小物バターとよばれる
品質保持期限の長い業務用の冷凍バターです。

 この輸入バラバターを国産のバラバターに置き換え、また、小物
バターを国産のポンド等に置き換えることにより、これらの国産バ
ターを製造するために使用していた生乳を、家庭用バターの製造に
回すことができるようになり、家庭用バターの安定的な供給につな
がります。

■乳業メーカーの取組

 バターの安定供給のためには、家庭用バターを供給している乳業
メーカーとも一丸となって対応することが重要です。

 主要乳業メーカーは、バターの需要期である10月から12月までの
間、昨年の実績と同水準の1万1千トンの国産バターを供給する計画
となっています。

 このことから、需要期においても、安定したバターの供給がなさ
れる見込みです。

■生乳生産基盤の回復

 国内におけるバターの需要に応えるためには、生乳生産基盤の回
復が重要であると考えています。

 そのため、畜産クラスター事業を通じた施設機械等の整備、搾乳
ロボット等の導入や外部支援組織の活用を通じた労働負担の削減等、
生産基盤の回復に向けた様々な対策を実施しています。

 また、乳用牛の更なる生産性向上を図ることを目的として、乳用
牛の繁殖・飼養管理における最新の知見を集約した「乳用牛ベスト
パフォーマンス実現マニュアル」を作成し、現場への普及を進めて
います。

http://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/antei_kyokyu.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 昨年はあまり問題にならなかったようですが、「バター不足」が
ニュースになるのはこの「輸入判断」を間違えたからです。

 そもそも、お役人が鉛筆をなめて決める数値が現実とは一致しな
いことは社会主義国家の失敗を見れば明らかなことです。

 輸入を自由化すれば、商社は不足を見越したらすぐに輸入に走り
ます。輸入しすぎて商社が困ることはあっても、国全体として不足
することはなくなります。

 あとは国産品保護の問題ですが、自由競争にすれば国内の酪農が
壊滅的な被害を受けるでしょうから、適切な関税とそれを財源とし
た補助金でしのぐ、ということになるでしょう。

 つまり、自由貿易協定における「関税化」が正しいのではないか
というのが私の意見です。

 米や豚肉などでも、国内価格との差額の調整ということをやって
いますが、関税化以外の方法だと、どうしても不正の温床になるこ
とはご存じのとおりです。

 最後は国産乳製品の保護を訴える記事です。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

■海外の乳製品に頼るリスク

 日本の牛乳乳製品市場において、生乳換算にすると年間約763万
トンが消費されています。そのうち、牛乳は生乳換算で約400万ト
ンですべて国産生乳から作られています。しかし、チーズやバター
などの乳製品は半分以上が輸入されているのが現状です。

 乳製品は、輸入をしなくては国内消費を賄いきれないのですが、
これからも今までどおりに輸入に頼っていくことには大きなリスク
があります。

■輸出量が少ない乳製品

 全世界で生産されている生乳は約7億トンと言われています(水
牛を含む)。しかし、そのうち輸出向けとして貿易している牛乳乳
製品は約4,200万トンで、その貿易率は約6%と、穀物や肉類に比べ
て極端に低く、主要農畜産物で最低となっています。

 今後、中国やインドなど新興国での需要の増加が見込まれている
ため、日本が確実に輸入できるとは限りません。

■不安定な需給バランスと価格

 主な牛乳・乳製品の輸出国は、オーストラリアやニュージーラン
ド、アメリカ、ヨーロッパなどのとても限られた国です。

 もしこれらの国で、異常気象や突発的な事件などで生産量が減少
すると、世界的な乳製品不足に陥る可能性があります。

■確実な安全性が保証できるのか…

 外国産の食品事故も多数発生しているのが現状。日本の食の安全
をしっかり担保できるのかは、不透明です。

 つまり、輸入に頼りすぎないように、国内での生産基盤を整え、
国内で消費する牛乳・乳製品を安定的に供給できる体制を整備する
必要があります!

https://www.milkland-hokkaido.com/special/page6.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 安全性に関する部分はいつものごとくの国産品信仰をあてにした
煽りですが、基本的には私も同意です。

 「牛乳・乳製品を安定的に供給できる体制を整備」を具体的にど
うしていくのかが根本問題ですが、当面の問題としての「バター不
足」が発生しないようにする対策とも共存可能だと思います。

--〔後記〕--------------------------------------------------

 新年二回目なのですが、前号は大晦日に書いていたため、うっか
り新年の挨拶を書きそうになりました。

 新年早々風邪引きと腰痛で体調最悪です。土曜日は「七草」とは
いきませんが、適当な野菜を入れたお粥を作って食べました。妻が
雑煮用に買って、ほとんど使っていない残りなんですが。

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高卒、派遣社員という負け組から、外資系IT企業の部長になった男の、成功法則を全て公開します。誰にでも、どんな状況、状態からでも自分の力で人生を変えるための情報と知性を発信しています。人生を意のままにするには、脳みそとこころの両方が進化しなければなりません。そんな進化とは何か?をお届けする四コママンガ付きメルマガです。2014年から3年連続でまぐまぐ大賞部門賞を受賞しました 学歴やバックグラウンドに拘わらず、人生を思いのままに生きるために必要な考え方が書かれた、「良書リスト」も希望者に差し上げています。
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ダメおやじの全財産をかけた崖っぷちFX通信
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今週のおすすめ!メルマガ3選

幸せを引き寄せるメール
毎朝7時に配信します。ゴールデンセレブヒーリング創始者本藤弘美があなたの人生をより豊かに幸せにするハッピーナビゲーション情報をお届けします。夢を叶えたい人、幸せになりたい人、心身共に健康になりたい人、人間関係を良くしたい人、豊かになりたい人に。読んでいると波動が上がります。GoldenCelebとは黄金の祝福。あなたの成功を祝福します。あなたにすべての安らぎと愛と豊かさと幸せがやってきます。♥
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WEBマーケティングを学ぶためのメールマガジン
国内トップクラス(ユーザー数70000人)のWordPressテーマTCDやフォトマルシェ、ロゴマルシェなどを運営する株式会社デザインプラスの中田俊行が発行するメールマガジン。 アフィリエイトから始めた著者が、ネットマーケティングや最新のウェブ業界の情報を発信していきます。
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水戸市のサラリーマン大家さん
総発行部数15万部。購読者日本一の不動産メルマガ。 2017年3月現在8800人以上の投資家さんとお会いしてきました。 年間取引額300億円以上、累計取引額1000億以上の不動産会社社長が、不動産投資について真剣に書いています。 今ならメルマガ内で10万円相当の「不動産投資大百科」を無料配布中。 テリー伊藤のまる金ライダー8に毎週、代表の峯島がコメンテーターでレギュラー出演中。 メルマガ登録で非公開の物件情報も入ってきます。 不動産仲介業 宅地建物取引業免許 国土交通大臣(1)第8944号
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