週刊メールジャーナル(権力と政財界の裏側)

■Weekly Mail Journal■2005/6/15 No.288


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    2005/6/15 No.288   週刊メールジャーナル  読者数10887人(前回)
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【お詫び】
 本号の配送が「木曜日」にずれこみます。仲間の会合「水曜会」に若干遅刻
したため、2次会にまでつき合い、「水曜刊」を守れませんでした。本誌創刊
以来はじめてのことです。死ぬまで、2度と繰り返さないよう、渾身の努力を
いたします。これからもご愛読のほど心からお願いいたします。
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靖国参拝はなぜ政治的、外交的に利用されるのか
「合祀」や「分祀」は誰がきめるのか
            本誌編集発行人・ジャーナリスト 川崎 明

 さる8〜10日にかけて筆者は、高野山真言宗管長・総本山金剛峰寺座主・
資延敏雄(すけのぶびんゆう)大僧正のお目通りをいただいてきた。

 このことは、ある雑誌の企画として2年以上も前からアプローチをしてきた
のだが、メディアの取材として実現することはきわめて困難なことであり、実
のところ諦めかけていたところ、ある方の紹介で急に実現する運びになったの
である。

 この対談内容は、別の機会に本誌でもご披露したいと思うが、実に有意義で
あった。

 筆者としては、この取材とは別に、もうひとつの企みがあったのである。実
は、高野山奥の院には、筆者がかつて勤め、しばしば本誌でも取り上げている
元千代田生命の「先人の碑」なるものが所在しており、それも取材したかった
のである。

 何という因縁であろうか、たまたま真言宗宗務庁が用意してくれた宿坊が、
何と、53もの宿坊があるなかで、「千代田生命先人の碑」を、建立以来管理
している寺坊だったのである。そのため、坊の車で案内をしていただく利便ま
で頂戴することができたのである。

 千代田が経営破綻に至る最大の要因は不良債権であった。不良債権が増大し
た原因はいろいろあるが、200万人に及ぶ契約者に対する説明責任の遂行は
いまだに不十分であり、この問題は引き続き本誌が取り上げなければならない
と思う。

 しかし、破産管財人による形式的な経営責任の追及はすでに完了し、私財の
返還についても法的には終了し、特別配当の財源になったようである。

 経営破綻の最高責任者は、長期にわたり経営トップに君臨した神崎安太郎氏
(故人)だが、氏のスタッフとして経営を補佐した副社長(故人)、専務、常
務を含めた4名の責任が破産管財人から問われ、合計64億円もの私財返還が
求められたのだが、実際に返還された額は10億円程度にとどまった。

 こうして経営責任とその経済的追及は不十分ながら一段落したのだが、筆者
の関心は「先人の碑」との関連にあった。

 「先人の碑」は、昭和39年創業60周年を記念し、社業のために物故され
た役職員の霊を慰める趣意で建立されたものだが、あるいは、退職後に亡くな
った故人の霊も含まれるのかもしれない。

 この奥の院には、この国最大といえる、20万基をこえる個人、法人の墓碑
が存するのである。弘法大師空海が、ここで開いた真言密教の宗旨は現世利益
(げんせりやく)であり、これは他宗ときわだって対立する宗教的論旨なので
ある。

 それゆえ、ここに在する墓碑については、葬主の宗派を問わず、その生前の
罪しょうも問わないという大らかさと包容力を有するのである。

 「先人の碑」は、筆者がかつて取材協力をした朝日新聞記者によって、ある
とき、「雑草が生えていた」ことが報道され、マーケットから退場させられた
企業碑の末路を示す象徴として、顧客を含む千代田関係者の悲憤を誘ったもの
である。

 だが、この報道は、一時的な現象をとらえた誤報であり、碑の管理について
は、AIGスター生命に買収当初から引き継がれていたのである。

 優良な残余資産とともに、なぜ、このような、物質的価値の低い霊的資産が
外資系企業に引き継がれたのであろうか。筆者にはいまも残る疑問である。

 しかし、AIGスター生命に引き継がれた顧客と従業員をコアとした社風や
企業文化は、長年にわたって旧千代田生命が紡いできた伝統にもとづくもので
あり、新しく外資系の価値観が導入されたとはいえ、おそらく、過去をないが
しろにしては、これからのAIGは存在しえないといえるかもしれない。

 その意味からは、この碑がAIGに引き取られたことも分からないではない
が、となると、これからもAIGの物故者はこの碑に自動的に“合祀”される
ことになるのであろうか。

 一方、前述の経営者たち、いわば、戦争犯罪人にも例えられるこの人たちは
どうなるのであろうか。このことが筆者のかねてからの単純な疑問であり、こ
このお寺さんに聞いてみたかったのである。

 「入るとか入らないとか、容れるとか容れないとか、そのようなことはお寺
が決めることではありません」というのが、取材した僧の回答であった。

 筆者は、そうなのだと思う。「いると思えばいるし、いないと思えばいない」
それこそが宗教的思惟であり、宗教の宗教としての意味がある、のではなかろ
うか。

 ところがである、千代田からAIGに移籍した現役も、千代田人(OB・O
G)の多くは、これら戦犯的経営者が“合祀”されているとしたら、どう思う
のであろうか。

 こんごともAIGがこの碑の管理を続け、“法要”のような行事を催行する
のであれば、いつかは、この人たちが「入っているのか、いないのか」を明ら
かにする必要に迫られるのかもしれない。余計な心配であろうか。

 さて、前置きが長くなったが、生臭い話に展開する。小泉首相の靖国神社参
拝問題と、この「先人の碑」の話はどこかに接点がないのであろうか。

 筆者はあると思う。実は、高野山取材に遡る2週間前の5月24、25日、
京都府の石清水八幡宮を、同じ雑誌の取材で訪問し、田中恆清宮司にお目見え
してきたのである。

 実はこの石清水八幡といい、高野山といい、開闢当時はまさに“神仏習合”
(しんぶつしゅうごう)の時代であった。

 歴史的説明は省略するが、明治維新の政治判断によって、神仏分離が強行さ
れ、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)などといった暴挙が、全国各地で頻発した
のには、当時の政治家に歴史的宗教観が欠如していた結果ではなかったか。

 あまつさえ“国家神道”などという荒唐無稽な宗旨に利用され、やがて開戦・
敗戦に至ったことは、この神仏分離が生んだ出来事といっていいだろう。しか
し、これはこの国の宗教史にとって、きわめて浅い部分といっていい。

 日本民族本来の信仰である神道と、大陸から伝来した仏教との結合調和の状
態が神仏習合であり、この状況は、仏教がわが国に伝来してのち、まもなく現
れ、1000年以上にわたり、わが国の思想、信仰、文化などに大きな影響を
残したのである。

 千代田の碑の例でも分かるように、靖国神社が、「合祀する」とか「分祀は
不可能」とかを、一方的に決定することがなぜ可能なのか。この国民的な単純
な疑問に対して、神社側は分かりやすく説明すべきであろう。

 筆者は以前、やはりこの雑誌の取材で、神社本庁の工藤伊豆総長にもお会い
したことがある。前出の田中宮司は副総長でもある。

 この神社本庁が去る9日、小泉首相の靖国神社参拝の継続を求め、A級戦犯
などの分祀については「神社祭祀(さいし)の本義からあり得ない」とする「
基本見解」を発表した。

 その一方、靖国神社の主要な支え手である日本遺族会は、11日都内で幹部
会合を開き、席上、古賀誠会長(自民党元幹事長)が「英霊が静かに休まるた
めには、近隣諸国に配慮し、理解してもらうことが必要」と述べたと報道され
た。

 いずれにせよ、靖国をめぐるこうした動きはきわめて政治的であり、民族古
来の信仰である“敬神崇祖”が政治的に利用されたり、外交の道具になる状況
は、日本民族にとってまことに悲しいことだ。

 河野洋平衆院議長が首相経験者と会合し、小泉首相に靖国参拝をしないよう
に求めたことは、仮に外交的に成果が期待できるとしても、戦没者の御霊(み
たま)を軽んずることにつながりかねず、国民的合意は得られまい。

 小泉首相は、首相就任前、一度も靖国参拝をしていないのに、首相公約とし
て参拝をはじめたこと自体、政治的であり、このことが外交の道具にされる一
因でもある。

 もともと、首相候補になるような人物は、政治家である前に、日本人として
神社、仏閣を敬拝できる人物であってほしい。

 さすれば、首相在任中だけ靖国参拝を遠慮しても、多くの国民は納得するで
あろうし、外交に利用されることはないだろう。

 近隣諸国が、わが国の民族的宗教習慣に干渉するのは、国民感情として許し
がたい。しかし、戦後政治での左右のイデオロギー対立が、国家的神事を極端
にタブー化してきたことも、いまとなっては、外交問題になりうる素地をつく
ってきたといえる。

 国民の多くが、敬神崇祖の生活習慣を取り戻し、あるいは神仏習合の祭事や
行事を見直し、復活し、盛行させることになれば、誰が“靖国”を参拝しよう
とも、他国の干渉を許す間隙をつくることにはならないのではあるまいか。

 日本の宗教史から考えても、いまだ遅くはない。戦没者といわず、国のため
に生きた人びとが、すべて平等に祀られるという、そのような“靖国神社”に
するため、みなで知恵を出し合ってはどうか。
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 週刊メールジャーナル 2005年6月15日 第288号(水曜日発行)
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    編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社
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