紳也特急

紳也特急 vol,200


カテゴリー: 2016年04月01日
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 ■■■■■■■■■■■  紳也特急 vol,200 ■■■■■■■■■■ 

 全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を 
        精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース!  
  
性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を 
                                         専門家の立場から鋭く解説。 
                    Shinya Express (毎月1日発行) 

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~今月のテーマ『人と人の間で生きる』~ 

○『200号記念パーティー報告』
●『分人』 
○『「個人」だからの犯罪』 
●『「個人」だからストーカーになる』
○『「分人」を増やして楽になる』
●『「個人」だから低い自己肯定感』 

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○『200号記念パーティー報告』
 3月27日(日)に紳也特急が今月号で200号になるのを記念してパーティー
が開催されました。発起人はこのメルマガの言い出しっぺの渡部享宏さんと
中学生の時に私とパトの講演を聞いた蒔野絵里子さんでした。悪のり(?)
で「生前葬」と言うことで、献花、献杯で始まりました。その時の写真は
Facebook( https://www.facebook.com/iwamuro )で公開されていますので
興味がある方はご覧ください。
 集まってくださった方は本当に多様でした。初対面の一読者の方はわざわざ
群馬から来てくださいました。まさしくこのメルマガがつないでくれたご縁で
した。築地本願寺のイベントからつながった親子も。1990年の公衆衛生学会で
「(住民主体の)保健計画策定マニュアル」を発表して袋叩きになった私を助
けてくださった上に、「エイズ対策」という本でも執筆の機会をくださった稲
垣智一先生。1993年から横浜で大学生が中心となってHIV/AIDSの普及啓発を進
めていたSAYネットワークの坪井勇蔵さんや斉藤肇さん。再生回数600万件の
YouTubeのコンドームの達人講座を誕生させてくれた渡部享宏さんと只見町議会
議員選挙(初当選)で来られなかった目黒道人さん。若い彼らとの出会いがな
ければHIV/AIDSの世界にここまでどっぷりつかっていなかったでしょう。「土
足で教育現場に乗り込むな」と学校現場の実情を教え続けてくださった元校長
の安藤晴敏先生。「愛の反対は無関心」を教えてくれた原田久先生。若者との
メールのやり取りに学ぶ大切さを教えてくれたのが蒔野絵里子さん。長年、高
校生に話す場を提供し続けてくださった先生とそのお友達の今年の研修会の参
加者の方も。AIDS文化フォーラム in 横浜や京都を一緒に盛り上げてくださっ
ている皆様に加え、いつも応援してくれている壮ちゃん。栃木県小山市からお
花を送ってくださり会場を華やかにしてくださった健康都市おやま推進サポー
ターの会と小山市職員の皆様。その花を見て岩室が地元の小山市で健康づくり
に携わっていたことを初めて知った医学生も。新しい健康づくりグッズとして
台頭しているTENGAの中野さん。本当に多くの方に来ていただきました。
 生前葬で改めて気づかされたのが、「人間」って人と人の間にいるから成長
もし、人の道を外れずに生きていられるんだなということでした。そこで200号
のテーマを「人と人の間で生きる」としました。

『人と人の間で生きる』

●『分人』 
 浦安市でよくご一緒させていただいている千葉大学の政治学者の先生が、平
野啓一郎さんが書いた「私とは何か」という本に書かれている「分人」という
考え方が面白いと紹介してくださいました。個人とはindividual、すなわち分
ける(divide)ことができない、分解できない存在と考えられていますが、実
は個人とはいろんな側面をもった分人の集合体だという考え方です。
 確かに200号記念パーティーに出てくださった方だけではなく、本当にいろん
な方々とのつながりがあるからこそ今の岩室紳也が存在しています。改めて
「生前葬」で、「死」を意識しつつ、これまでの「生」を振り返らせてもらう
と、岩室紳也はいろんな人とつながった結果の「分人」の集合体だということ
が実感できました。すなわち、「分人」というのは自分と他者の関係性を表す
単位であり、どれだけ多くの「分人」を自分の中に作ることができるかで、活
動の幅も、深さも、生き方も変わってくることに気づかされました。

○『「個人」だからの犯罪』 
 女子中学生を2年間監禁していた事件を皆さんはどう受け止めたでしょうか。
私が最初に思ったのが、友達はおろか、家族も出入りしない生活だからできた
犯罪だということです。しかし、その点についての突っ込んだ報道は皆無(?)
のように思います。もちろん大学で人と触れ合い、それなりの友達もいたで
しょう。そして今は友達の部屋に出入りする関係性はほとんどないのが当たり
前なのかもしれませんが、それを「当たり前」としてしまうことが犯罪の温床
になっている可能性も考えた方がいいようです。「アダルトビデオは5人で見
ろ」という私のメッセージはもしかしたら犯罪予防のメッセージなのかもしれ
ません。

●『「個人」だからストーカーになる』
 皆さんは何回失恋しましたか。実は失恋の繰り返しは自分の中に「〇〇に振
られた自分」、「△△に振られた自分」、「◇◇に振られた自分」といういく
つもの分人を作るプロセスです。その都度、悔しい思いをしますが、現実を受
け入れつつ、次はどうすればいいかを考え、成長することができます。すなわ
ち「分人」というのは必ずしも恋人、友達、家族等といった、自分と気が合う
人たちとの関係性だけではなく、時には失恋相手、喧嘩相手、騙された相手と
いった自分にとって好ましくない人との関係性も含まれています。
 しかし、自分中心の、自分が楽な「個人」という単位での関係性を構築する
ことだけを考えていると、疎ましい人は遠ざける一方で、振られたにも関わら
ず思いを断ち切れない人に対してはストーカーになってしまってもおかしくあ
りません。それこそ「お前、諦めろ」と言ってくれる友人がつくれる「分人」
が自分の中にいればストーカーにならずに済むのでしょうが、諦められない
「個人」だけだと犯罪者になってしまいます。

○『「分人」を増やして楽になる』
 私の講演後に大学生からこんな感想をもらいました。
 あまりにも自分のことで、頭の中が真っ白になった。昔は居場所が欲しくて
ほしくてたまらなかった。周りを気にしすぎて友達関係を築くのが辛かった。
自分を少しでも否定されるとどうしようもないほど嫌だった。プライドが高す
ぎた。人に見られるのも嫌だった。人と目を合わせるのも嫌だった。でも最近、
思い切って一人で海外へ1週間ほど旅行をした。そこで色々だまされたり、
色々な方に親切にしてもらったりして、なんか自分が傷ついたり、周囲を気に
しすぎたりすることを自然と意識しなくなっていった。それからは前よりは生
きるのが楽になった。前までは、よく自分の心が病んでいる、頭がおかしいか
ら、なぜもっと普通に人と関われないんだと自分にイラついてた。でも今は少
しだけ楽になった。自分で物事を決断して生きて行くのはとても楽しかった。
これからは頑張って、挫折、失敗をしたいと思う。恐れずに生きて行きたい。
人といっぱい話して、たくさんの人に相談できる人間になりたい。そして「あ
いさつ」のできる男になる!!また同じような考えになりかけても、今日の言
葉を思い出すと思います。今日はいい日になりました。ありがとうございまし
た。
 いろんな経験、いろんな人との関係性を通して自分の中のバカな、ドジな、
騙されやすい「分人」と出会うことで楽になったのでしょうね。
 
●『「個人」だから低い自己肯定感』 
 最近、自己肯定感が低い若者が多いと多くの大人たちが言います。そう言わ
れても、では岩室紳也は自己肯定感が高いかと言われるとよくわかりませんし、
そもそも自己肯定感ってどうやれば高められるかがわかりませんでした。そん
なことを考えていた時に、気持ちが辛くなっている人とこんなやり取りがあり
ました。
 私は今まで、親や、大学の先生に助言され、ある程度選択肢のある中で、い
い方を選び、生きてきました。私の人生の中で、誰かに選択肢を与えてもらう
ことが当たり前になってしまっていました。また、人が示した選択肢以外の選
択をすることで、嫌われてしまうのではないか?と不安になっていました。で
も、よく考えると、いいとこ取りをして、自分で決めることから逃げていたの
かもしれません。自分は、本当にずるいなーと、感じました。
 先の大学生の感想からも「自分で決断する」ということは、生きる力を育む
ために不可欠なことでした。しかし、自分で決断すると、時には別の道を勧め
てくれている人の思いを否定すること、すなわち自分の中に「分人」をつくる
ことにつながります。誰からも愛される、嫌われない「個人」を作り上げよう
とする社会が、ストレスに強い「分人」の集合体づくりではなく、逆に自分で
決めることから逃げる「個人」を、弱い「個人」を生産しているようです。他
人との関係性で生じるストレスに強い、タフな人をつくるためには、その人の
中に多く経験を通して多くの「分人」が育つ環境づくりが求められているよう
です。犯罪予防も、ストレス対策も分人づくりから。
そんなことを実感させていただいた200号記念パーティーでした。
 
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☆岩室先生宛の質問も t.watanabe49@gmail.com 受け付けています。 
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