紳也特急

紳也特急 vol,197


カテゴリー: 2016年01月01日
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 全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を 
        精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース!  
  
性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を 
                                         専門家の立場から鋭く解説。 
                    Shinya Express (毎月1日発行) 

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~今月のテーマ『大人の定義』~ 

○『新年、明けましておめでとうございます。』
●『宿題への親の答え』 
○『大人とは?』 
●『死を考えさせる大人』
○『死を見せた大人』
●『言葉を増やすきっかけを与える大人』 
○『大人が子どもになる(?)SNS』

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○『新年、明けましておめでとうございます。』
今年も、このメルマガを含め、できることを、一つずつ積み上げて行けたら
と思っています。

●『宿題への親の答え』 
 生徒さんや学生さんに講演をする時、「保護者の方に、保護者自身が亡く
なった時にどのような葬式を出して欲しいかを聞いてみてください」という
宿題を出しています。皆さんだったらどう答えますか。

・葬式はしなくていいからお墓に入れるだけでいいよ。
・一般的なお葬式でいい。
・死んだあとは葬式の後、納骨するのではなく、散骨でいい。
・親に聞いてみたところ、そんなの考えてないよ、と言われました。やはり
  人はいつ死ぬかわからないので、若いうちからしっかり考え、もしものと
  きのために、ノートに書いとくとか、周りの人に言っておくとかするべき
  だと思います。自分も自分が死んだ後のことを今のうちから考えられるよ
  うに頑張りたいです。
・するなら家族葬で良いと言いました。それ程今の世界、人の死は昔より軽
  くなってしまったのですか。死の重さは変わらないのに時代の変化がもの
  をいうのだと感じました。人の死と近くにいる先生の講演は一つひとつ記
  憶に残るものでした。

 このような感想を読ませてもらいながら、このメルマガを書いていたら、
  Facebookのメッセンジャーが鳴り、次のようなメッセージが入っていました。
 「良いお年を召して、日本語知らないのかな?」
 ちょうど「大人とは?」といったことを考えていた時だったので、今月の、
  2016年最初のテーマを「大人の定義」としました。
 
『大人の定義』

○『大人とは?』 
 広辞苑で「大人」を調べると「十分に成長した人。(元服または裳着もぎが
済み)一人前になった人。成人」、「考え方・態度が老成しているさま。分別
のあるさま」と書かれていますが、選挙権を得た18歳も、成人式を終えたばか
りの20歳も、そして還暦を迎えた私も一応大人ですので、何をもって「十分に
成長」や「老成」とするのかは本当に難しいです。ただ、今回、若い人たちの
感想を読ませていただき、「大人だからできること」、「大人の役割」は間違
いなくあると思いました。その一つが「死」について考える機会を作り続ける
ことでした。
 
●『死を考えさせる大人』
 かなり前から若い人向けの講演の中に、私が経験してきた「死」を可能な範
囲で盛り込むようにしてきました。そうし始めた理由の一つが「死」という言
葉に若い人たちが反応しなくなったと感じたからでした。昨年末も祖父母をス
トレス解消のために殺してしまったという高校生がいましたが、それも「死」
を経験していないからだと思いませんか。一方で積極的に「死」という言葉を
使い、岩室自身の経験を語ると、実は、減ったとは言え、若い人たちが経験し
ている「死」を振り返り、そこから新たな学びをしてくれることに気づかされ
ました。

○『死を見せた大人』
 次のように書いてくれた高校生がいました。
 
 私が一番身近に死を感じたのは祖父の死です。私は祖父にとって初孫でした
のでとてもかわいがってもらいました。小さい頃、祖父はずっと元気で毎年毎
年もちつきをして一緒に遊ぶのが当たり前だと思っていました。しかし、だん
だんと病院に行くことが多くなり、入院しました。それでも治ってまた遊べる
と思っていましたし、お見舞いも面倒くさくて、何回かさぼったりしました。
そして祖父が死んだ時、私は涙が止まりませんでした。とても悔やみました。
何故もっと話をしに見舞いに行かなかったのだろう。もっと遊びに行かなかっ
たのだろうと。本ではよく目にしていた言葉で、わかっていたつもりだったけ
ど、わかっていたつもりでした。「こころにぽっかりと穴が空く」本当にその
通りでした。
 
 自分にとってつらいことを振り返るのは、もっと自分を追い込むようで、そ
のような状況は避けたいと思いがちです。しかし、お祖父さんは、自らの「死」
を通して楽しかった頃の思い出や、後悔を経験させてくださり、この生徒さん
が大人になる道を示してくださったのではないでしょうか。お祖父さんはまさ
しく、体を、命を張って命を、死を見せた大人でしたし、私も死を語ることで
この生徒さんにお祖父さんとの思い出を振り返る機会を与えられたのかなと思
いました。

●『言葉を増やすきっかけを与える大人』 
 昨年の9月30日に築地本願寺で「絆」を「きずな」の他に「ほだし」と読むこ
とを教えていただいて以来、若い人たちにもこの言葉を伝えていますが、それ
が若い人たちにも響いています。

 私は今回の講演を聞いて、命についてが印象に残り、考えていました。先生
が本日おっしゃっていた絆(ほだし)の話を聞き、先月の父方の祖母のお葬式
を思い出しました。お葬式の後に行われた初七日で、お坊さんから説法を聞か
されたのですが、その中で「縁」という単語をよく聞き、人との関係、つなが
りについてを何度も伝えられました。先生は絆が自由を束縛するという意味だ
と教えてくれましたが、私はこの二つは同じようなものだと思いました。きつ
い束縛はいけませんが、人とのつながりは大切であり、男女交際でも相手との
距離を測り、相手について理解し、互いを尊重することが重要だと感じました。

 昨今、お葬式も簡素化し、お坊さんの説法も減ってきたと嘆いていたのです
が、この生徒さんはお葬式を、お祖母さんの死を通して「縁」や「絆(ほだし)」
といった言葉に出会い、関係性やつながりについて深く考える機会をもらった
ようです。

○『大人が子どもになる(?)SNS』
 FacebookやTwitter、LINEなど、様々なSNSがありますが、私自身、十分使い
こなしていません。しかし、これらの中でとりあえずよく使うのが実名と写真
を公開しているFacebookです。しかし、Facebookには社会通念のようなルール
が確立されていないので、見知らぬ人が何の前触れもなく友達申請をすること
ができ、「〇〇さんから友達申請がありました。承認しますか」という連絡が
入ります。その人のサイトを見てもどのような人かわからない時、私はその友
達申請を無視するようにしています。私自身が誰かに友達申請をする際には、
必ずと言っていいほどメッセージも届けた上で友達申請をするようにしていま
す。これが大人のルールだと思っていました。
 ところが、最初に紹介した「良いお年を召して、日本語知らないのかな?」
というメッセージを送ってくださった方は、無言の友達申請をされていました。
職種等を考えて承認したら、「ご承認ありがとうございます。よろしくお願い
致します。」というメッセージが来たのをスマホで確認したのでスマホから
Facebookの機能の一つの「いいね」の記号で返したら、前述のお叱りでした。
そこで次のように返事をパソコンからしました。
 
 失礼しました。
 FacebookをはじめとしたSNSは難しいですね。
 名乗ることなく「友達」申請がきますので承認するかどうかにいつも頭を悩
まされてしまいます。
 スマホでメッセージを受けてもスマホでの日本語入力が苦手なため、Facebook
で多くの人が使っている機能で返事をすると「日本語を知らない」とお叱りを
受けてしまう。
 それでも便利なツールなのでこれからも慎重に使い続けたいと思います。
 よろしくお願いします。
 
 と送ったら、
 
 削除されると思っておりました。さすが懐が大きい。失礼はお詫びいたします。
 御迷惑でなければ、今後ともよろしくお願い申し上げます。
 
 ということになりました。
 削除だなんて、と思いながら、SNSと人間同士が触れ合う、特に大人の社会と
の違いを考えてしまいました。SNSは通信、コミュニケーションの手段でしかな
いはずですが、SNSでしかつながれない人たちにとっては自分自身の存在を確認
する唯一の場です。先の方が「削除されると思っていた」ように、気に入らない
と一方的に関係性を絶つことができます。
 人間社会、特に大人社会は絶ちたくても絶ち切れない関係性、柵、絆(ほだし)、
遠慮、妥協、理不尽、矛盾、など、様々な人間関係が生み出すネガティヴな部分
と付き合わなければなりません。もちろんこのネガティヴな部分がもたらすス
トレスは大きいのですが、そのストレスと上手に付き合って生きて行くしかな
いのが大人なのかなと思いました。自分の経験としてつながる大切さを話したら、
そのことも生徒さんたちの心に響いたようでした。
 
 今回の講演を聞いて感じたのは、何事もとりあえず友達に言った方がいいと
いうことです。自分自身一人でいろいろ考えて、結果パンクしかけたり、ずっ
と悩んでいたことをふとした時に友達に相談すると「わかる!!」と意外と共
感してもらえて、それで悩んでいるのは自分だけじゃないということに気づい
て気持ちが軽くなったりした経験が何度かあるので、とりあえず友達に話そう
というのがすごく身に染みて思いました。

 大人とは人とつながり続けられる人
 
 もちろんつながり方に濃淡はありますが、つながり、関係性から発生するス
トレスを解消するための手段も持ち合わせているのが大人ではないでしょうか。
そのような大人がもっと子どもたちや若者たちとつながることができれば、悲
しい経験する人を少しは減らせると思いませんか。
 
 本年もよろしくお願いします。


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☆岩室先生宛の質問も t.watanabe49@gmail.com 受け付けています。 
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