紳也特急

紳也特急 vol,187


カテゴリー: 2015年03月01日
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 全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を 
        精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース!  
  
性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を 
                                         専門家の立場から鋭く解説。 
                    Shinya Express (毎月1日発行) 

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~今月のテーマ『反省』~ 

○『ホンマでっか!?!』
●『AIDS文化フォーラム in 佐賀に感謝』 
○『HIVに感染した人たちの高齢化問題』 
●『施設が受け入れてくださった経緯』 
○『振り出しに』
●『Face to faceの大切さ』
○『IECを再確認したい』
 

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○『ホンマでっか!?!』
 2月18日(水曜日)にフジテレビ系列で放送された「ホンマでっか!?TV」
に岩室紳也が出たそうです。テーマは「とんでもない男」で、岩室紳也は思
春期男子評論家という紹介でした。
 「見たよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、私、岩室紳也は見
ていませんでした。というのも放送日は9月25日と知らされていたからです。
「2月25日に出ます」とお知らせし、楽しみにして下さっていた方々には本当
に申し訳なく思います。「何でそうなるの」と思うでしょうが、台本にも書か
れていた日にちが諸事情で変わったのを、出演者に知らせるのを忘れたそうで
す。(ホンマでっか!?)
 私が話したテーマが「コンドームを知らない男子高校生がいる」でしたが、
「コンドーム」という言葉は子どもたちも観ているので「避妊具」でお願いし
ますとのこと。中学校の教科書にも記載されている言葉が放送禁止!?(ホン
マでっか!?)
 出演時に顔にいろいろと塗られるのですが、NHKだと、それを落としてから
「お疲れさまでした」と返されるのですが、それもなく、そのまま帰りました。
ま、車だったのでいいのですが。(ホンマでっか!?)
 ま、長く生きているといろいろと経験させてもらえます。でも、人の文句を
言う前に自分の行動を反省しなさいと思わされたことがあったので、今月の
テーマは「反省」としました。

『反省』

●『AIDS文化フォーラム in 佐賀に感謝』 
 第1回のAIDS文化フォーラム in 佐賀も無事終わりました。佐賀で準備に当たっ
てくださった皆さんに感謝です。本当にいろんな出会いと気づきをいただきま
した。医者である私は「医療」は手段であり、大事なことは「病気を治す」こ
とだけではなく、「その人なりに幸せな人生が生きられるようにこの手段
(医療)を使うこと」と話しています。佐賀では宗教も手段として、一人ひと
りが生きてきた物語を受け止め、寄り添い、その方がどうすれば幸せになれる
のか、どうすれば自分の幸せに、生き方に気づくことができるのかを支え続け
ておられる方のお話を伺うことができました。医療でもEvidence Based Medicine
に対してNarrative Based Medicineという考え方が出てきていますが、2者択一
ではなく、いろんな視点が必要だと改めて実感しました。
 また、私は自ら「コンドームの達人」と言っていますが、「二枚でどうだ!」
という曲を知らなかったことを佐賀の医師たちが組んだバンドが教えてくれま
した(私のFacebookにアップしてあります)。もちろん、「二枚はダメだ!」
と返しておきました。本当にいろんな方がいろんな活動をされているんだなと
改めて感じました。

○『HIVに感染した人たちの高齢化問題』
 佐賀でも紹介したのですが、HIV/AIDSは新たなフェーズに入ったと実感して
います。予防啓発の重要性は言うまでもないことですが、実は医療の進歩に伴っ
て患者さんが長生きされるので、あたり前のように高齢者の様々な問題がでて
きます。例えば、認知症になり、家族のこともわからなくなり、徘徊してしま
うといったことが起こります。ここで誤解がないようにしていただきたいので
すが、HIVに感染しているから認知症になるというのではなく、人間であれば
だれでも認知症になり得るだけのことです。政府の広報でも「85歳以上の4人に
1人が認知症」と脅しています。
 問題は、認知症になって、自宅で生活することが困難な状態になった時、多
くの人は施設で生活することを余儀なくされますが、「入所の順番待ち」で入
れないならともかく、HIVに感染している人はそもそも「入所お断り」といっ
た状況になるケースが増えています。しかし、お陰様で、私の患者さんで認知
症になられた方は、いま、施設で生活され、ご家族も徘徊や様々なトラブルの
心配から解放されています。

●『施設が受け入れてくださった経緯』
 もちろん、施設での受け入れがすべて順調だったわけではありません。認知
症が進むにしたがって、ケアマネージャーさんと相談しながら要介護認定を受
け、施設入所が必要となっても、門前払いされたり、現場の施設がOKでも経営
母体の本部がダメ出しをしたりという繰り返しでした。ところがある施設に相
談したところデイサービスの利用に始まり、最終的には老人ホームでの受け入
れもしていただけました。
 実はこの施設の施設長は以前、別の施設でHIVに感染され、在宅療養されて
いた私の患者さんの受け入れをしてくださっていました。その時も、今回も、
職員向けにきちんとHIV/AIDSの現状と、その患者さんの状況に応じた話をして
欲しいと依頼を受け、全職員向けの研修会を開催させていただきました。もち
ろん、受け入れ側の方で何らかのトラブルや相談事があれば直接岩室の方に連
絡をいただける体制もつくりました。その施設だけではなく、訪問看護、入浴
サービスの方々にご出席いただき、合同の研修会もさせていただき、地域のあ
らゆる資源を活用したチームでその患者さんを支えるんだ」という機運が生ま
れていたことを改めて思い出しました。
 そのような背景があっただけではなく、あらためて今回も研修会で発表して
いただき、気づかされたのが、その施設を運営している法人の理念が職員に浸
透していたことでした。
 →「あなたがいてくれてよかったと思える街づくり」
 →「HIVである」=入所を断る理由にはならない
 この言葉は多くの医療関係者に聞かせるだけではなく、きちんと勉強しても
らいたいと改めて思いました。みなさんはこのような姿勢で仕事をされていま
すか(笑)。

○『振り出しに』
 施設に患者さんを受け入れていただいた後、実はその方の認知症の症状が悪
化し、集団生活に困難をきたす状況になりました。そうなると、認知症患者さ
んの治療経験が豊富な精神病院等で薬での症状のコントロールをする必要があ
るのですが、これまた「はいどうぞ」とはいきませんでした。そこで幸い私自
身が保健所時代にお世話になっていたある病院の理事長先生に相談したところ、
院長先生にお会いすることができました。院長先生は私の思いをご理解いただ
き、職員への研修会を開催することができました。ただ、病院という大きな組
織なので、一度にすべての職員の方に研修に出席していただけるわけではあり
ません。そこで、院長先生が「講演をビデオに撮らせてもらって、全職員に聞
いてもらうようにします」と言ってくださいました。本当にありがたいことで、
そのようにお願いし、結果的に受け入れてくださることになりました。
 ところが患者さんが無事退院し老人ホームに戻られた後に、このようなケー
スの受け入れに関する研修会を開催したところ、精神病院での患者さんの受け
入れが振り出しに戻ったという事実を知ることとなりました。

●『Face to faceの大切さ』
 HIV/AIDSに限らず、感染症について一番誤解や偏見が多いのが医療関係者だ
と考えています。未だに多くの医者がHIV/AIDSの診療を拒否し続けています。
なぜそうなるかというと、今の医学、看護学教育は科学的な教育が徹底され過
ぎているため、「人」、「人生」、「生活」といった視点が弱くなり、「万が
一」ばかりを気にして、「その人」、「その人の人生」への配慮ができなくなっ
ています。もちろんそういうと「私の人生はどうなるの」と反論を受けるわけ
ですが、リスクがほぼゼロ、あるいはゼロでも「No」というのが実態です。
 「福祉施設で受け入れられたのにどうして医療機関ではだめなのか」と思っ
ていた私でしたが、研修会を開催し、自分自身の落ち度を大いに反省させられ
ました。今回の老人ホームでの受け入れの前のケースでも、私はケアマネー
ジャーさんはもちろんのこと、訪問看護ステーション、入浴サービスのところ
に直接、そして何度もお邪魔していました。今回のケースでも老人ホーム入所
後、12月31日に直接お邪魔していた、と施設の方に指摘されました。「お医者
さんが病院に来てくれるんだ」という安心感が生まれたようです。私としては、
ただ、いろんな不安もありながら、「大丈夫」とご自身に言い聞かせながら対
応してくださっている中で、陣中見舞ではないですが、こころからのお礼の気
持ちでお邪魔していただけでした。
 しかし、よく考えてみると、精神科病院には研修会の時だけお邪魔し、それ
以外はお任せという状況で、私の顔を直接見たことがない職員の方の方が多け
れば、「関わりたくない」という思いの方が増えるのは当たり前のことだと改
めて気づかされました。反省です。

○『IECを再確認したい』
 IECが大事。すなわちInformation(情報)をどんなに正確にEducation(教育)
しても知識が増えるだけで、Communication、それもface to faceのコミュニ
ケーションがなければ、せっかくの情報や知識も生きる力になり得ないと言い
続けています。その自分自身が、一番大事なコミュニケーションをおろそかに
していました。来年度は少し仕事量を減らし、ちゃんといろんな人とコミュニ
ケーションがとれる環境を作りたいと思いました。改めて「反省」です。


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