紳也特急

紳也特急 vol,139


カテゴリー: 2011年03月01日
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 全国で年間200回以上の講演、HIV/AIDSや泌尿器科の診療、HPからの相談を 
        精力的に行う岩室紳也医師の思いを込めたメールニュース!  
  
性やエイズ教育にとどまらない社会が直面する課題を 
                                         専門家の立場から鋭く解説。 
                    Shinya Express (毎月1日発行) 

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~今月のテーマ『こころを病むプロセス』~ 

●『やっぱり自己肯定感ですよ』 
○『「こころを病む」とは』 
●『健康の定義の改訂案』 
○『自己肯定感とは』 
●『「スピリチュアル」とは』 
○『時代への過剰適応』 

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●『やっぱり自己肯定感ですよ』 
 「先生の講演を聴いていて、やっぱり性教育は自己肯定感を育むためにも 
大事だと思いました」とうれしそうに聴衆の保健師さんが話をしてくれまし 
た。「自己肯定感」という言葉を安易に使う人が多いと思っているのは私だ 
けでしょうか。正直なところ、未だに「自己肯定感」ということの意味がよ 
くわかっていません。というのも、岩室紳也は一度も「自己肯定感」という 
言葉が自分の中にストンと落ちたことがないからです。 

 皆さんは「自己肯定感」を感じたことがありますか。「自分」を表現すると、 
いやな自分。醜い自分。反省だらけの自分。人に言えない自分。「自分」と 
いう存在に何か修飾語をつけるとすると、日本人の悪い癖なのか、正直なと 
ころあまり肯定的な言葉が出てきません。だからと言ってすぐに落ち込んだ 
りするわけではありません。確かに人から見れば、医者であり、本も書いて 
いて、講演はそれなりに評判がよく、収入も人よりは上で、いい車にも乗っ 
ている。でも、岩室紳也自身の「自己肯定感は?」と聞かれると良くわかり 
ません。 
 これまた私の癖で、先のコメントをくださった保健師さんに「あなたはどん 
な時にご自身の自己肯定感を感じられましたか?」とお聞きしたら、「良く 
わかりません」との返事でした。自分がどのように自己肯定感を獲得したか 
が曖昧なのに、どうして私の話を聴いて「性教育は自己肯定感を育むために 
大事だと思いました」となるのでしょうか。私の話の基本は、「自分が経験 
したことを土台に話しましょう」なのですが、どうも自分の経験を振り返る 
ことが苦手な人が多いですね。と思っていたら、その自己肯定感と言われる 
ものを完全に否定され、私自身が「こころを病む」という経験をさせていた 
だきました。そこで、今月のテーマを「こころを病むプロセス」としました。 

『こころを病むプロセス』 

○『「こころを病む」とは』 
 精神科医の春日武彦先生は「こころを病む」ことを「その人のものごとの 
優先順位が周囲の人の常識や思慮分別から大きくかけ離れてしまうこと」と 
おっしゃっています。私もこの考え方でこころの病を理解したり、説明した 
りしてきました。ただ、正直なところ、自分もいずれはこころの病を経験す 
るかもしれないけれど、それを克服するすべ、というか環境がそれなりにあ 
り、「当事者となる可能性は」と聞かれても、それほど確率は高くないと思っ 
ていました。ところが、世の中にはいろんな魔物が棲んでいるものです。 
 仕事上の関わりで、「その人のものごとの優先順位が岩室紳也の常識や思 
慮分別から大きくかけ離れてしまった人」と出会いました。そのような方は 
どこにもいますし、日常生活の中であればやり過ごしたり、距離を置いたり 
して事なきを得る場合がほとんどです。患者さんの中にもその人のものごと 
の優先順位が岩室紳也の常識や思慮分別から大きくかけ離れてしまった人と 
出会うことはありますが、そのような方とはもともと医者患者関係という一 
定の距離があり、少なくともその人のものごとの優先順位で岩室紳也のここ 
ろを病む状態になることはありません。しかし、契約した仕事で継続的に関 
わらなければならない場合は、「あなたのものごとの優先順位は岩室紳也の 
ものと異なりますので距離を置きます」とはいきません。そして、その優先 
順位のアンバランスがず~と続きました。 

●『健康の定義の改訂案』 
 WHOは1948年に定めた健康の定義にspiritualとdynamicを加え、“Health is 
a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social  
well-being, and not merely the absence of disease or infirmity.”に改 
訂するか否かの議論を1999年に行いました。今までこのことを真剣に考えた 
ことがなかったのですが、今回、自分のこころがかき回される事態になったり、 
自己肯定感や思春期の若者に必要な居場所の意味といったことを考えたりして 
いて、この改訂を進めようとした人たちの思いが何となくわかったような気に 
なりました。 
 “Dynamic”とは動的、すなわち「健康であり続ける」ことの大切さを訴え 
る言葉です。確かに今日まで元気でも、明日、突然からだやこころの病を抱え 
ることは誰にでもあります。ただ、この言葉は逆に健康であり続けることの難 
しさを考えれば、病気や障がいと共にどう生きるかと言うことを突き付けてい 
るとも言えます。 

○『自己肯定感とは』 
 健康の定義の改訂案が通らなかった背景に、この案を出してきたイスラム圏 
と日本を含む欧米圏の対立があったと聞きます。Dynamicはともかく、確かに 
spiritualと言う言葉をどうとらえればいいか迷ってしまいます。辞書でひくと 
「霊的」、「精神的」、「心の」と訳されていますが、mentalとの違いを上手 
に表す日本語はないようです。日本スピリチュアルケア学会もカタカナ表記に 
なっていて、訳語やspiritualについての解釈は特に紹介していません。 
 今回、こころを病む状況に限りなく近づいたのは、自分自身の考え方が、表 
現力が、対応力が、説得力が、というか、すべてが繰り返し否定される感覚か 
ら抜け出せない恐怖感を味わったからでした。誰しも他人に自分の考えや行動 
等を否定された経験はあると思います。しかし、一回否定されたからと言って、 
誰かに否定されたからと言ってこころを病みませんよね。それはどうしてでしょ 
うか。「あんたはいつもマイペースで好きなことをやっているから、たまには 
このような経験をするといいんじゃないの」とどこからともなく聞こえてきそ 
うですが、逆に、どうして今まで同じようなことがあってもこころを病まなかっ 
たのでしょうか。 
 こころが、ずしんと落ち込んでいる時にふと思ったのが、「自己肯定感とは、 
自分のことを他者に肯定的に受け止められるスピリチュアルな感覚」だという 
ことでした。その方とのやり取りは今に始まったことではないのですが、とん 
でもない状況だとして受け止める他者が存在し続けてくれていたことでこころ 
が病む状況を予防することができていたようです。しかし、組織には人事異動 
がつきものです。そろそろ私を支えてくれ続けていた人がいなくなると いう
恐怖感を感じた時、自ずと自己肯定感を維持し続けることが難しいという思い
につながりました。 

●『「スピリチュアル」とは』 
 「スピリチュアルに良好な状態」についていろんな人に聞いてみると、 
「元気」、「やる気」、「ありがとう」、「自己肯定感が高い」、「絆」、 
「笑顔」、「褒められる」、「夢」、「希望」といった言葉が出てきました。 
確かにそのような言葉が出てくる状態って健康ですよね。逆にスピリチュアル 
に良好ではない状態とはその逆です。いろんなストレスがあっても、誰かに 
それを受け止めてもらえたり、慰めてもらえたり、共感してもらえたりする 
とストレスを乗り越えられます。 
 ところが、自己肯定感を、スピリチュアルに良好な状態を否定し続けられ、 
かつそれを乗り越えるサポートがない、なくなると実感した時、人はこころを 
病んでしまうのではないでしょうか。いじめ、職場でのパワハラだけではなく、 
様々な関係性の中でストレスからこころを病んでしまう人がいますが、自分 
自身が追い込まれてみて「本当だ」と実感した次第です。で、どうした?  
関係性を断つ選択をしました。私の場合は契約を一つ失うだけですが、これが 
職場での人間関係で起これば出社拒否。学校だと不登校。地域や家庭だと引き 
こもり。病理は深いですね。 

○『時代への過剰適応』 
 「心の闇に魔物は棲むか」という本の中で、春日武彦先生が秋葉原の事件を 
次のように分析されていました。 
 「時代の病理というよりも、むしろ(時代への)過剰適応といった言葉の方 
が犯罪の理解には適切なことが多いのではないだろうか。(中略)その後に 
ついてなぜ考えなかったのか。(中略)全国各地を彷徨する派遣労働者という 
立場に注目するならスキルの積み重ねもキャリア・アップもないこのような 
職業形態において一番必要とされるのは、未来のことなど決して想像しないと 
いう態度であろう。」 
 いつクビになるかわからない。次はどのような仕事につくのかわからない。 
収入が増えるのか、収入が減るのかもわからない。わからないことづくしの 
生活を強いられる中で、「夢」や「希望」といったスピリチュアルな側面を 
享受することができない。にも関わらず、多くの派遣労働の人たちがこころを 
病まずにいられるのは、様々な関係性の中でその人のスピリチュアルな面が 
崩れない工夫を一人ひとりがしているからだと実感させられました。と同時に、 
派遣労働という職業形態にメスを入れない社会こそがスピリチュアルな面で 
病み、こころの病を作り出しているようです。何とかしなければ。 


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サラリーマン時代に始めた株式投資から株で勝つための独自ルールを作り上げる。2017年、億り人に。 平成24年より投資助言・代理業を取得。現在、著者自身が実践してきた株で成功するための投資ノウハウや有望株情報を会員向けに提供しているかたわら、ブログやコラム等の執筆活動も行う。 2014年まぐまぐマネー大賞を受賞。読者数3万人。雑誌等のメディア掲載歴多数。 主な著書に『10万円から始める高配当株投資術』(あさ出版)『「小売お宝株」だけで1億円儲ける法』(日本実業出版社)
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