宮沢賢治 Kenji Review

宮沢賢治 Kenji Review 981


カテゴリー: 2017年12月09日
Kenji Review 981
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--宮沢賢治---Kenji-Review-----------------------------------
-----------------------------------第981号--2017.12.09------
--〔今週の内容〕--------------------------------------------

「春と修羅第二集(34)」「〔二川こゝにて会したり〕」

-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
-〔話題〕---------------------------------------------------
「異途への出発」「暁穹への嫉妬」
------------------------------------------------------------

 今回から1925年の作品を掲載していきます。この年の初めは三陸
海岸への旅から始まります。

 この旅の様子は、年譜によると以下のようなものです。


5日、「三三八 異途への出発」

 この日、北陸中へ向けて旅立つ。

6日、「三四三 暁穹への嫉妬」

7日、「三四八 〔水平線と夕陽を浴びた雲〕(断片)」

8日、「三五一 発動機船(断片)」「発動機船一、二、三」「三
五六 旅程幻想」

9日、「三五八 峠」

以下はこの旅行の推定日程

5日 夜、陸中種市から久慈へ向かう
6日 夜、安家に宿泊
7日 普代を経て羅賀へ出、ここより発動機船に乗り宮古港着。宿
泊したか夜、三陸汽船にて釜石に向かったか。
8日 天神町の叔父宮沢磯吉の家に宿泊
9日 釜石を出発、仙人峠より釜石湾を見る。岩手軽便鉄道にて花
巻に帰る。(12:35発16:30着、または15:55発19:45着)

 1月9日に花巻に帰っていますので、農学校の冬休みは終ってい
るのではないか?などと思っていましたが、東北ではまだ冬休み中
なんでしょうね。

 でも、「みんなに義理をかいてまで」などと書いていますので、
休み中にも校務があったりしたのでしょう。

 三陸の旅は盛岡から久慈に出、その後宮古から釜石までたどって
います。釜石からは仙人峠を越えて遠野経由で帰ったわけです

 以前、私もクルマでほぼこのコースを走ったことがあります。震
災以前の話ですので、今ではずいぶん変わってしまったことでしょ
う。

 今回はこの旅の最初、5日と6日の日付を持つ二篇を掲載してい
ます。

--〔BookMark〕----------------------------------------------

復興つなぐ 賢治が結ぶ周遊ルートづくり討論
2017年02月19日日曜日
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201702/20170219_32027.html

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

宮沢賢治をテーマにした三陸海岸観光の可能性を話し合ったサミッ
ト

 岩手県沿岸各地にある宮沢賢治関連の碑を生かした広域の観光周
遊ルートをつくり、東日本大震災からの復興につなげようと「宮沢
賢治イーハトーブ三陸沿岸サミット」が18日、同県大槌町のホテ
ルで開かれた。

 大槌宮沢賢治研究会の主催。賢治を愛好し顕彰する活動に取り組
む団体のほか、自然公園「三陸ジオパーク」や観光振興の関係者ら
約30人が参加した。

 パネル討論では「沿岸にも賢治ゆかりの地があると発信する必要
がある」「賢治が三陸海岸を旅した際に使った船の航路を復活させ
てはどうか」「賢治ファンが高齢化しており、若者に魅力を伝えな
ければならない」などの意見が出た。

 研究会は昨年9月、賢治が1925年1月に三陸海岸を旅した際
に詠んだ詩7編のうち、大槌に関わりがあると考えられる「暁穹へ
の嫉妬」の詩碑を町内に建立。もう1編の「旅程幻想」についても
資金を募り、設置する計画を進める。

 佐々木格会長(72)は「関係者が『星座』のようにつながるの
が重要。賢治の旅でまだ明らかでない部分や作品への影響を切り口
にルートを企画し旅行会社に提案したい」と語った。

--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

-〔春と修羅第二集(034)〕----------------------------------

「異途への出発」「暁穹への嫉妬」

------------------------------------------------------------
■「異途への出発」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿3)
------------------------------------------------------------

三三八
     異途への出発
                     一九二五、一、五、

月の惑みと
巨きな雪の盤とのなかに
あてなくひとり下り立てば
あしもとは軋り
寒冷でまっくろな空虚は
がらんと額に臨んでゐる
   ……楽手たちは蒼ざめて死に
     嬰児は水いろのもやにうまれた……
尖った青い燐光が
いちめんそこいらの雪を縫って
せはしく浮いたり沈んだり
しんしんと風を集積する
   ……ああアカシヤの黒い列……
みんなに義理をかいてまで
こんや旅だつこのみちも
じつはたゞしいものでなく
誰のためにもならないのだと
いままでにしろわかってゐて
それでどうにもならないのだ
   ……底びかりする水晶天の
     一ひら白い裂罅〔ひゞ〕のあと……
雪が一さうまたたいて
そこらを海よりさびしくする

------------------------------------------------------------
(下書稿2)
------------------------------------------------------------

三三八
     異途への出発
                     一九二五、一、五、

月の惑みと
巨きな雪の盤とのなかに
あてなくひとり下り立てば
あしもとは軋り
寒冷でまっくろな空虚は
がらんと額に臨んでゐる
   ……楽手たちは蒼ざめて死に
     嬰児は水いろのもやにうまれた……

------------------------------------------------------------

※上記を下書稿3の該当場所まで貼り込んでいる。

------------------------------------------------------------
(下書稿1推敲後)
------------------------------------------------------------

三三八
     異途への出発
                     一九二五、一、五、

月の惑みと
巨きな雪の盤とのなかに
あてなくひとり下り立てば
あしもとは軋り
寒冷でまっくろな空虚は
がらんと額に臨んでゐる
   ……楽手たちは蒼ざめて死に
     嬰児は水いろのもやにうまれた……
グラウンドの雪いちめんに
たくさんのたくさんの尖った青い燐光が
そんなにせはしく浮沈すれば
わたくしはとめどなく泪がながれる
   ……アカシヤの木の黒い列……
みんなに義理を欠いてまで、気負った旅に出るといっても
結局荒んだ海辺の原や
林の底の渦巻く雪に、からだをいためて来るだけだから
ほんたうはもうどうしていいかわからない
   ……底びかりする水晶天の
     ひとひら白い裂罅です……
雪がいっさううつくしくきらめいて
あくまでわたくしをかなしくする

------------------------------------------------------------
(下書稿1推敲前)
------------------------------------------------------------

三三八
     異途への出発
                     一九二五、一、五、

月の惑みと
巨きな雪の盤とのなかに
はかなくひとり下り立てば
あしもとは軋り
寒冷でまっくろな空虚は
がらんと額に臨んでゐる
   ……楽手たちは蒼ざめて死に
     こどもは水いろのもやのなかにうまれた……
夜の雪花石膏板に
たくさんのたくさんの尖った青い燐光が
そんなにせはしく浮沈すれば
ああ、とめどなく泪がながれる
   ……アカシヤの木の黒い列……
みんなに義理を欠いてまで旅に出るといっても
海岸の荒んだ野原や
渦巻く雪にさらされるばかりなのだから
じつはどうしていいかもわからないのだ
   ……底びかりする水晶天の
     ひとひら白い裂罅〔さけめ〕です……
雪の晶片がいっさうちかちか青くひかって
あくまでわたくしをかなしくする

------------------------------------------------------------
■「暁穹への嫉妬」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿推敲後)
------------------------------------------------------------

三四三
     暁穹への嫉妬
                     一九二五、一、六、

薔薇輝石や雪のエッセンスを集めて、
ひかりけだかくかゞやきながら
その清麗なサファイア風の惑星を
溶かさうとするあけがたのそら
さっきはみちは渚をつたひ
波もねむたくゆれてゐたとき
星はあやしく澄みわたり
過冷な天の水そこで
青い合図〔wink〕をいくたびいくつも投げてゐた
それなのにいま
(ところがあいつはまん円なもんで
リングもあれば月も七っつももってゐる
第一あんなもの生きてもゐないし
まあ行ってみろごそごそだぞ)と
草刈が云ったとしても
ぼくがあいつを恋するために
このうつくしいあけぞらを
変な顔して 見てゐることは変らない
変らないどこかそんなことなど云はれると
いよいよぼくはどうしていゝかわからなくなる
……雪をかぶったはひびゃくしんと
  百の岬がいま明ける
  万葉風の青海原よ……
滅びる鳥の種族のやうに
星はもいちどひるがへる

------------------------------------------------------------
(下書稿推敲前)
------------------------------------------------------------

三四三
     暁穹への嫉妬
                     一九二五、一、六、

薔薇輝石や雪のエッセンスを集めて、
その清麗なサファイア風の惑星を
溶かさうとするあけがたのそらに
わたくしは何を挨拶し なにを贈ればいゝのだらう
なあにそいつはまん円なもので
リングもあれば月も七っつもってゐる
第一あんなもの生きてもゐないし
まあ行ってみろごそごそだぞと
誰かゞ仮に云ったとしても
ぼくがあいつを恋するために
このうつくしいあけぞらを
少うし変な顔して 見てゐることは変らない
それでて変らないどこかそんなことなど云はれると
いよいよぼくはどうしていゝかわからない
いったいさっきみちが渚を来たときに
あんまり青くあやしく澄んで
ぼくを誘惑しないといゝんだ
雪をかぶったはひびゃくしんと
百の岬がいま明ける
あの清らかなサファイア風の惑星を
おまへの上の鴇いろをした眩盤に
ひかりたえだえ溶けかゝるとき
わたくしは何を挨拶し
なにをそらにちかへばいゝんだらう

------------------------------------------------------------
-〔文語詩稿未定稿(061)〕----------------------------------
------------------------------------------------------------
■「〔二川こゝにて会したり〕」
------------------------------------------------------------
(本文=下書稿2推敲後)
------------------------------------------------------------

     〔二川こゝにて会したり〕

(二川こゝにて会したり)
(いな、和賀の川水〔みづ〕雪代ふ
夏油〔ゲタウ〕のそれの十なれば
その川ここに入ると云へ)

藍と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油〔ゲタウ〕の川は巌截りて
ましろき波をながしきぬ

------------------------------------------------------------
(下書稿2推敲前)
------------------------------------------------------------

二川こゝにて会すとや
いな、和賀の川水〔みづ〕雪代ふ
夏油〔ゲタウ〕のそれの十なれば
その川ここに入ると云へ

  げに抹〔まつ〕すべき大理石〔なめいし〕の
  層にもましていよいよに
  わが求むるはまことのことば
  雨の中なる真言なり

藍と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油〔ゲタウ〕の川は巌截りて
ましろき波をながしくる

------------------------------------------------------------
(下書稿1)
------------------------------------------------------------

雑木と雪とのうすけぶり
つらなる尾根のかなたより
夏油の川は岩ほりて
ましろき波をながしくる

二川こゝにて会すとや
いなさにあらず和賀の水
夏油のそれの十なれば
かの川ここに入るといへ

抹して西に送るべき
かの大理〔なめ〕石のつらなりを
この川筋に求めんは
むなしきこととおもはるゝ

------------------------------------------------------------
(下書稿 「冬のスケッチ」より)
------------------------------------------------------------

  ※

和賀川のあさぎの波と
天末のしろびかり
緑青の東の丘をわれは見たり
                     (第9葉第3章)
  ※

夏油の川は岩ほりて
浅黄の波を流したり
雑木と雪のうすけぶり
ましろき波を鳴らしたり。
                     (第10葉第3章)
  ※

げに和賀川よ赤さびの
けはしき谷の底にして
春のまひるの雪しろの
浅黄の波をながしたり。
                     (第11葉第3章)
  ※

和賀川の浅葱の雪代水に
からだのりだす栗の木ら
その根は赤銹によりて養はる。
                     (第11葉第4章)

--〔後記〕--------------------------------------------------

 もはや真冬の寒さですね。寒い中、年中組になった孫の発表会を
見てきました。昨年と比べるとずいぶん成長したものです。

 14日には白内障の手術を受けます。このところまた急激に視力
が落ちてきたので、やはり手術を受けることにしてよかったと思っ
ています。

------------------------------------------------------------
-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/
--通巻--981号---------- e-mail why@kenji.ne.jp--------------
--発行--渡辺--宏------- URL    http://why.kenji.ne.jp/
------------------------------------------------------------
 購読者数970名です。ご購読ありがとうございます。
------------------------------------------------------------
私あてのメールのあて先は、
why@kenji.ne.jp
私のホームページ(宮沢賢治童話館、全詩篇など)は
http://why.kenji.ne.jp/    です。
バックナンバーもすべて、このページで読めます。
【まぐまぐ】
このメールマガジンは、インターネットの本屋さん「まぐまぐ」を
利用して発行しています。( http://www.mag2.com/ )
マガジンIDは10987です。
このメールマガジンの登録や解除は
http://why.kenji.ne.jp/    です。
=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=-=/=--=/=-=/=-=/

宮沢賢治 Kenji Review

RSSを登録する
発行周期 週刊
最新号 2017/12/09
部数 1,027部

このメルマガを購読する

ついでに読みたい

宮沢賢治 Kenji Review

RSSを登録する
発行周期 週刊
最新号 2017/12/09
部数 1,027部

このメルマガを購読する

今週のおすすめ!メルマガ3選

オンラインカジノ情報ドットコム
カジノって楽しいですよね。ラスベガス、マカオ、韓国などのカジノへ行く前や行った後も日本でカジノを楽しみたいと思いませんか?実はそのカジノが日本でもオンラインカジノを通じて遊べるんです!そんなオンラインカジノの魅力をたくさんご紹介しちゃいますね。今話題の海外FXについても詳しく解説します。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

サラリーマンで年収1000万円を目指せ。
高卒、派遣社員という負け組から、外資系IT企業の部長になった男の、成功法則を全て公開します。誰にでも、どんな状況、状態からでも自分の力で人生を変えるための情報と知性を発信しています。人生を意のままにするには、脳みそとこころの両方が進化しなければなりません。そんな進化とは何か?をお届けする四コママンガ付きメルマガです。2014年から3年連続でまぐまぐ大賞部門賞を受賞しました 学歴やバックグラウンドに拘わらず、人生を思いのままに生きるために必要な考え方が書かれた、「良書リスト」も希望者に差し上げています。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ダメおやじの全財産をかけた崖っぷちFX通信
【1日に数万人が熟読する人気FXブログのメルマガ版】 相場歴30年以上のダメおやじがFXノウハウを大公開! 毎朝配信!毎日の経済指標情報や攻略法を無料で解説しています。 ●損切りがうまくできない、利食いが浅い ●ポジポジ病(ポジションを不要に持ってしまう) ●コツコツドカーン(小さく勝っても大きく負ける) ●エントリータイミングわからない ●メンタル面が弱い このようなお悩みがあれば購読してみてください。 FX初心者から経験者まで、FXの悩みをこのメルマガで解消します。 期間限定でメルマガ内で数万円相当分のFX情報商材をプレゼント中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

川島和正の日刊インターネットビジネスニュース
■読者数32万部超、日本一の個人メルマガ(まぐまぐ総合ランキング調べ) ■9年連続で年収1億円以上になり、70か国以上を旅行して、 190平方メートルの豪邸に住んで、スーパーカーに乗れるようになり、 さらに、著書は、日本を代表する超有名人2人に帯を書いてもらい、 累計50万部のベストセラーとなった、現在香港在住の川島和正が、 最新のビジネスノウハウ、自己啓発ノウハウ、健康ノウハウ、恋愛ノウハウ さらに「今チェックしておくべき情報リスト」などを配信中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ダメおやじの全財産をかけた崖っぷちFX通信
【1日に数万人が熟読する人気FXブログのメルマガ版】 相場歴30年以上のダメおやじがFXノウハウを大公開! 毎朝配信!毎日の経済指標情報や攻略法を無料で解説しています。 ●損切りがうまくできない、利食いが浅い ●ポジポジ病(ポジションを不要に持ってしまう) ●コツコツドカーン(小さく勝っても大きく負ける) ●エントリータイミングわからない ●メンタル面が弱い このようなお悩みがあれば購読してみてください。 FX初心者から経験者まで、FXの悩みをこのメルマガで解消します。 期間限定でメルマガ内で数万円相当分のFX情報商材をプレゼント中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

僕は『絶対倒産する』と言われたOWNDAYSの社長になった。
売上20億,負債14億,赤字2億『絶対倒産する』と言われ、メガネ業界内ではただの質の悪い安売りチェーンと馬鹿にされ続けていたOWNDAYS(オンデーズ)を30歳の時に買収し社長に就任。その後、10年間で奇跡のV字回復を遂げて、売上150億,世界10カ国に進出するまで・・、みたいな巷によくある再生物語。半分ノンフィクション。半分はフィクション。いつまで、どこまで書き続けるかはまだ未定です。 https://www.owndays.com Twitter:https://twitter.com/shuji7771 blog:https://ameblo.jp/shuji7777/
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

アーカイブ

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング