KISARAGI

KISARAGI vol.936


カテゴリー: 2017年10月29日
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K I S A R A G I vol.936                              2017/10/29
                                             編集/発行:みやこたまち
                         E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
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今週のお話

◆ "古典へのいざない" [706]
   伽婢子《おとぎぼうこ》[15] 竜宮の棟上げ [5]
   作者 たまさん


◆ 空想技術集団 [51]      最終話     
     作者 みやこたまち

● KISARAGIについて

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古典へのいざない [706]

  伽婢子《おとぎぼうこ》[15] 竜宮の棟上げ [5]                  作者:たまさん

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 しばらくすると、「お客様がおいでになりました」と声が掛かり、竜王は
また王座を下りて階段で客を出迎えた。
 三人はいずれもこの世の人と思えないほど高貴な身なりだった。宝玉の冠
を戴き、錦の袂《たもと》を整えて威儀を正すと七宝の手車《てぐるま》か
ら下り、静かに殿上に上って玉座に座った。阿祇奈《あきな》はその場から
退き、金の衝立《ついたて》の裏に隠れてうずくまった。
 客が席に着くと、竜王は客たちに阿祇奈を紹介した。
「本日は人間界の文章生《もんじょうしょう》をお迎えしています。どうか
疑わしい目つきで彼を見ないでください」
 竜王の呼び掛けに、阿祇奈が前に進み出て礼拝すると、三人の客も頭を下
げた。更に前の玉座に上がるよう竜王に言われたが、阿祇奈は辞して答えた。
「わたしはただの小役人に過ぎません。卑しい身分の者が貴族の方々と一緒
に玉座に上がるのは畏れ多いことです」
 客の一人が阿祇奈に向かって言った。
「人間界と竜宮城は互いに隔たり、往来する道も絶えて久しいですが、神王
の人間を見る目に狂いはありません。あなたはこの城に招待されたのですか
ら、ただの人ではないのでしょう。遠慮には及びません。早くこちらに来て
座ってください」
 勧めに応じ、阿祇奈は玉座に座った。
(続く)
                                  ★

 三人の客が遅れてやって来ました。
 竜王に負けず劣らず高貴な装いで、主人公は恐縮しますが、勧めに応じて
同座することになりました。
 続きは次回にお届けします。それではまた。

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HP
「かたかご」http://yamanekoya.jp/
 趣味で読んでいる古典文学の現代語訳と参考文献を主に掲載しています

「山猫屋本舗」http://yamanekoya.net/
 写真日記を綴っています

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空想技術集団 [51]

7 贋作潰し 3 最終話
                           作者:みやこたまち
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7-3

 ―アルビヤアヤノ 所属 社史編纂室
 金属的光沢を帯びた女性の声が響いた。抑揚のない声だ。

―パスワードを発声してください

 「ヒナゲシ。カサブランカ。ゴルゴダ」
 僕は反射的にそう答えました。国民には出世時にランダムに選ばれた言葉が与えら
れており、管理者からの求めに応じて、間髪入れず答えられるようインプットされま
す。インプットというのは比喩ではなく、このキーワードは厚生省がほこる健康維持
管理システム通称イルカチャンにより、国民一人一人の深層意識深くに埋め込まれる
のです。このシステムの適用は、先にご説明した勤怠管理グリッドの適用などと同様、
出産時の承諾義務事項となっています。
 なので、国民であればだれでも、管理権限者からの「パスワードを発声してくださ
い」との質問には即座に応答できるのです。ただし、この認証方法は、不測の事態に
より本人確認の手段が限定された場合にのみ、適用されることとなっています。だか
ら、即座に応答できるとはいっても、私がこのキーワードを実際に発声したのは、本
当に、忘れてしまうぐらい、久しぶりのことだったのです。

 脾臓及びランゲルハンス島界隈の代謝率に問題が見受けられるとの報告を受けてい
ます。本日午後より、ンリドルホスピタル消化器科及び内科の検査を受けて下さい。
 ただいま、診断予約を取っています。そのままでお待ち下さい。ただいま、診断予
約をおとりしました。本日14時15分、ンリドルホスピタル別館の人間ドック受付
へ、この札を提示してください。なお、検診費用はタイラカナル商事が支払います。
 社史編纂室は現在上司不在となっております。このような場合の会社指示による欠
勤は有給を充てることになります。ご承諾のサインをこちらの端末にお願いします。
ありがとうございました。それでは、本日は現時刻をもちまして、早退扱いとなりま
す。なお、この早退は、会社支持によるものなので、勤怠査定にはその旨記録されま
す。これによってあなたの勤務態度の評定が影響を受けることはありません。なお、
ンリドルホスピタル行きのEVBは、現在から20分後、正面乗り場に到着します。
昼食は摂らずにこのままバス停へ移動してください。
 検査の結果は当社に送付されます。あなたは、医師の指示にしたがって帰宅して結
構です。それではよい旅を。

 私は口をさしはさむ余地のないまま、札を受取、何回かサインをし、勤怠管理部の
扉から吸い出されるように廊下へ追い出された。目がチカチカし、耳の中がじゃり
じゃりしていた。通路にはうっすらと砂が積もっていた。

 さきほどの「喫茶 凪」でのバットトリップは、結局、私の内臓に問題があったと
いうことのようだ。もちろん、気分は腸の具合で決まるなどというのは、自明のこと
だ。あの皺皺に折り畳まれた腸の重なりの中で、綿密にやり取りされる内臓伝達経路
は全臓器に及び、気分とはいわば、それら内臓の信号の総意なのである。

 私はバスを待ちながら、「バリウムあるかな。バリウムはいやだな」と、そんなこ
とばかり考えていた。どこまでも済んだ空の彼方に、二本の赤い塔が見えていた。

 ―私たちはね、防潮堤なの。くっそみたいに入り組んだ脳みそに気付かれた万里の
長城なのよ。必要ならば、脳梁の切断だって厭わないし、前頭葉の全摘出だってやっ
てのけるわ。

 ―とりあえず、医師免許は持っているからね。やれなくはないだろうけれども、ど
ちらかというと、君のメスは言葉ではなかったのかい?

 ―利いた風なこと言わないでよ。私にいわせれば、脳だって腸だって同じようなも
のよ。腸がうんちを作り出すなら、脳は空想を作り出すんだわ。

 平喇香鳴は、ンリドルホスピタルの若き脳外科医氷見佐治にむかって毒づくことを
止められずにいた。彼女の顔にマスクはなく、氷見もそのことを気にする様子はな
かった。

―夏个が出たって?

 氷見がその名前を出すと、香鳴は顔の筋肉を引き攣らせた。

―あれは、一種の共同幻想みたいなものよ。あなたにだってきっと巣食っているわ。あ
の夏个っていう、妹キャラ。

―釜名見煙の分身形態なんだろ、ありゃ。

―切り刻めないものに関しては、本当に大雑把なのね、あなた方って。でもま、いいわ。
そうよ。私は顔をなくして、あの子は身体をなくした。相補完的存在者としては、私も
彼女の二重星みたいなものね。母かもしれないし、もしかしたら、兄かもしれない。ま、
こんな分析医の述語なんてあなたには退屈でしょう。

 氷見は脇で、ごぼごぼと音を立て始めたカテーテルをちょっといじって、看護婦に
ガーゼで拭うように指示を出すと、失敬、といって香鳴に向き直った。

―そもそも、この部長殿が発端だっただろ。あの混乱は。タンクの導入に関しては、創業
者のぶよぶよの脳が、ああ、君に言わせれば柔突起の磨り減った腸の、世迷言だったんだ
から。まったく、見上げた腰ぎんちゃくだよ、この部長さん。おかげで、とんでもないも
のを残していきました。誰かの心です。ってな。

―排泄部よ。どこにでもいて、どこにもおらず、誰でもなくて誰でもある。限界の中にい
て限界と突破し、ありもしないものを次々と送り出す。そのエネルギーは何なのか? 
ハッ! ばかばかしい。
あいつは砂を食っている。サンドイーターだった。蚯蚓みたいなものよ。砂坊主ね。眠りを
忘れた眠り姫の見てる夢につきあわされなきゃならないこっちの身にもなってほしいわよ。

―だが、なぜ、君はそうするんだ?

 そう尋ねた氷見は真顔だった。それはどことなく彼女のマスクの裏面に刻み込まれた皺と眼
差しを備えているように見えた。

―ささやくのよ。私の直腸が。

 再びゴボゴボという音が始まり、鼻腔から脳幹の深部へ差し込まれているカテーテルから、
真っ赤な砂が噴出し始めた。氷見は看護婦に、カテーテルの先につけたストーマ袋の取替えを
命じると、鼻を押さえて香鳴に告げた。

―喫茶室へ行こう。これは臭くてたまらん。

 二人は部屋を出た。通路にはうっすらと砂が溜まっていた。

―どれだけ密閉したって防げるもんじゃない。中庭だって、そろそろ満杯だよ。

 二人は皹だらけで、いびつに歪んだ病院の窓ごしに、中庭を見下ろした。さまざまな形をし
たオブジェが、ところせましと並んでいた。

―根本的な解決方法がない以上、私たちは対症療法に専念するしかないわ。釜名見煙のオリジ
ナルが不在である以上、その亜種の出没を食い止める術はない。

―皮肉なものだな。あれほど苦労して仕留めたってのに、あいつがはいた砂のおかげで、終ら
ない悪夢が始まったってわけだ。

―反省も総括も無意味よ。状況は変わった。私たちが相手にすべきは、うんちなんだから。

―血だろうが、うんちだろうが、手を汚すことにはかわりないさ。

 二人は、疲れ果てた身体を支えあうように、喫茶凪の暖簾をくぐった。しばしの休息。ここ
では、仕事の話をすることは禁じられているのだ。                  (fin)


次週より、「宇祖田都子の話 ―ぼい~ん ぼい~ん試論」をはじめてみます。

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