KISARAGI

KISARAGI vol.636


カテゴリー: 2012年01月22日
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K I S A R A G I vol.636                             2012/1/22
                        編集/発行:みやこたまち
                      E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                      http://mgkisaragi.web.fc2.com/index.html
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今週から、たまさん「古典へのいざない」西行物語 はじまります! 西行
って、どんな人だったんでしょう。乞うご期待。

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◆古典へのいざない【434】 西行物語[1]   作者 たまさん

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 鳥羽院の御時、北面に仕える人がいた。名を左兵衛尉《さひょうえのじょ
う》藤原義清《のりきよ》、出家後は西行法師といった。天児屋根命《あめ
のこやねのみこと》の十六代目の子孫、鎮守府の将軍・藤原秀郷《ひでさと》
の九代の末孫《ばっそん》、右衛門大夫《うえもんのたいふ》秀清《ひでき
よ》の孫、康清《やすきよ》の長男である。
 弓矢の家に生まれた彼は武芸の誉れを世に知らしめていた。養由《ようゆ
う》のごとき百発百中の矢の使い手で、張良《ちょうりょう》の三略《さん
りゃく》の書を極めていた。また漢詩を好み、菅家《かんけ》や紀家《きか》
の古書を学び、蛍を拾い雪を集めて書を読む灯かりとした。管弦の道にも明
るかった。
 我が国の伝統である和歌は、素戔鳴尊《すさのをのみこと》が「八雲立つ
出雲八重垣」の詠歌《えいか》を本《もと》として三十一字の大和言葉を始
めて以来、柿本人麻呂《かきのもとのひとまろ》や山部赤人《やまべのあか
ひと》のことは言うまでもなく、その他に歌の道を好んで富小川《とみのお
がわ》の流れを汲む者、在原業平《ありはらのなりひら》、凡河内躬恒《お
おしこうちのみつね》、紀貫之《きのつらゆき》、宇治山の喜撰《きせん》
たちがいる。だが、枯れた草木に花を咲かせ、無常の鬼神の心を和らげる義
清の歌は、いにしえの歌仙や先達《せんだち》にも劣らなかった。

                                  ★

 お久し振りです。今回から「西行物語」の現代語訳をお届けします。
 西行は「新古今集」など多くの歌集に名を残す歌人ですが、この「西行物
語」は彼を主人公としたフィクションであり、鎌倉時代中期に成立したと言
われています。つたない訳・文章で恐縮ですが、しばらくお付き合いくださ
い。
 それではまた。
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■薄紅通夜 第六部                          作者:みやこたまち

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 早朝。山のあちこちから炭焼きの煙が立ち上る。道行は、その幾筋もが空の上
でまとまってゆっくりと降りてくるから、朝の山はこんなにも霞んでいるのに違
いないと、ばあちゃんに言った。ばあちゃんは、見えない目を大きくしばたたか
せ、にごった瞳をむき出しにしてみせた。それは朝の山の景色によく似ていた。
朝早くから山の空気を吸っていると、きっとばあちゃんみたいな目になるのだろ
うと道行は信じていた。目が見えないことは大変だろうか。道行はそう尋ねた。
ばあちゃんは、皺だか瞼だか分からないものの間に瞳をゆったりと包み込んで、
「なんも。」としわがれ声を出した。
 ばあちゃんは、座敷の床の間の前の座布団から、ほとんど動かない。食事は、
黒尽くめの人が二回そこへ運んでくる、一升瓶に入った琥珀色の液体のみで、お
といれにも立たない。眠るときも、座布団に座ったままだ。道行は両親とじいち
ゃんのいる、ふもとの家から、ここへ通っている。じいちゃんは、足腰が弱って
ここまでは登ってこられず、ばあちゃんは、座ったきりで降りていかない。道行
の両親は、ばあちゃんとは疎遠だ。道行はばあちゃんといるのが好きだったので、
日の出と共におきだして、毎日山を登る。
 幼稚園へ通わせるのを、両親はとっくにあきらめていた。道行を連れ戻そうと
山を登ると、一本道にも関わらず必ず道に迷うか、途中で転んで怪我をするかだ
った。道行は両親が嫌いなわけではなく、幼稚園がつまらないわけでもなく、た
だ、ばあちゃんと、この家にいるのが好きだった。
 春夏秋冬を3回繰り返す間、道行は毎朝山を登り、昼に家に戻り、午後もう一度
山を登って、日没のころ山を降りた。月に何回か、この山の家に人があふれる。
黒尽くめの人たちで溢れかえるのだ。
 道行は日の出と共に山へ登る。登っていつもばあちゃんのいる部屋をのぞくと、
黒尽くめの人が、ぎっちりと正座をして、頭をたたみに付けている。ばあちゃん
は、見たことの無い棒をゆったりと振って、普段からは考えられないほど高く、
澄んだ声で、どこの国のものかわからない言葉を、小鳥のように叫んでいる。そ
んなとき、道行はそっと障子を閉めて、裏庭の井戸に向かう。夏は涼しく、冬は
暖かい。服を全部脱いで桶の中へきちんとしまうと、木枠を鉄棒みたいに前転し
て足を伸ばすと、内側に足がかりとなるへこみや出っ張りがいくつもある。身体
が井戸に隠れるころ、足元に現れる横穴へ、両足をそろそろと入れて、手の力だ
けで身体を支えながら腿をねじこんでいき、尻が横穴に落ち着くと、あとはなめ
らかに固まった泥のスロープにそってもぐりこんでいくだけだ。そこは、かすか
にばあちゃんのさえずりが反響して聞こえ、山の胎動を全身で感じ、そのエネル
ギーをもらえるような気がした。月に何回か、道行はこの穴にこもって、いろい
ろなことを感じた。それがどのようなことなのか、言葉にすることはできなかっ
たが、たぶん、この世の真実みたいなものを、目の当たりにしていたのではなか
ったかという記憶が、かすかに残っている。
 小学校へ上がる頃、ここは火事になって、井戸もふさがれてしまった。ばあち
ゃんは、川原の貸家へ引っ越した。道行は両親とじいちゃんのいる家と、川原の
ばあちゃんの家とを行き来しながら、小学校生活を送った。仁科文男は、両親の
いる家を知らなかった。川原の家は、月に何度か、周辺の同じような空家も含め
て、黒尽くめの人々でいっぱいになった。道行は、あの井戸を懐かしく思いなが
ら、ばあちゃんの横で、へんな形の棒を、一緒になって振るのだった。
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