KISARAGI

KISARAGI vol.248


カテゴリー: 2004年06月27日
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K I S A R A G I vol.248                               2004/06/27発行
                          編集/発行:みやこたまち
http://miytako.hp.infoseek.co.jp     ★ E-mail:tamachim@yahoo.co.jp    
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本当に蒸し暑い日々ですが、ようやく身体も慣れてきた感じです。ツバメの巣立
ち、蝉の声、また夏がやってきますね。
ところで、悪夢をみてはいませんか? もし悪夢を見たら、ご一報を。

それでは、今週もたまさんに、古典の世界へ連れて行っていただきましょう。
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◆古典へのいざない【97】     とりかへばや物語[47]   作者 たまさん

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 野山の景色は次第に秋の色を深めていった。いつの間にか日数が過ぎてし
まったと、中納言はしんみりとした思いで左大臣邸に行った。
「ほんの二、三日の事だと思っていたのに何日も顔を出さないので、どこの
山に行ったのだろうかと案じぬ日はなかった。一体、どこに行っていたのだ。
世間を離れて人目を忍んで出歩くのはあまりに軽々しい事だ」
 左大臣はここ数日はめったに食事をしなかったが、中納言に食事を取らせ
るついでに自分も食べた。中納言の姿を見る度に「世間並ではない姿だがそ
れが運命だったのだ」と、立派に優れた様子で世に交わっている事に心を慰
められて嬉しくてならないといった様子は、周りから見て哀れであった。い
くら見ても華やかで類なく愛らしいので、左大臣は笑みを浮かべて中納言を
見つめた。
「右大臣殿もこのごろ落胆しているとか。四の君が妊娠してからお前の心が
離れていくように見えるのを嘆いていた。どうしてそのように振る舞うのだ。
他人の目には無難に見えるように立ち回った方がよい」
 それとなく右大臣邸に行くように勧めながら、「生きているうちは、朝夕
の隔てなく顔を見せるように」と言って涙ぐんだ。
(続く)
                                   ★

 ようやく京に戻った中納言。まずは父・左大臣に会いました。早く妻と右
大臣に顔を出すようにと言いながら、一方で自分のところに顔を出すように
と弱音を吐く左大臣が、とても人間的な感じがします。
 この続きはまた次回にお伝えします。それではまた。

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ジャンル:古典レビュー
メール :miztam@nifty.com
HP  :【山猫屋本舗】http://homepage3.nifty.com/miztam/
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創作活動、なんて大それたものではありませんけども、なにしろキーボードを長
く打ち続けるのが苦痛って状況では、まとまった物がかけるはずもなく、無意識
の鼻歌が案外いい旋律だったと思い、覚えておこうと決めて家に戻ると、跡形も
無いかのごとく、言葉も、着想も、何もなくなる午前0時ごろ、といったわけで
心穏やかに床につく日々。そんな中でなぜか出来た戯れ歌を、今週は掲載します。
「そののちのこと」は一回休みです。

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◆じばくでんぱぶし より【怨み節】                   作者:みやこたまち

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この世に生きるものなら誰も 怨みを売買せにゃならぬ

「寝て醒めて 食べて出す間に 怨み買い」
「売りさばくつもりなくとも大特価」

ひとを怨むにゃ元手は要らぬ 怨みが生きる支えとなって
日がな一日妄想するのは あの手この手の復讐劇だよ
怨み晴らすは天下の大儀 死なばもろとも皿まで喰らい 生かさず殺さず苦痛を与え
のたうち回る相手を眺め 「大丈夫かい」と差しのべた手は 
血で真っ赤だよ 復讐鬼

「最高の復讐って何でしょう?」
「親友を裏切ること。愛さないまま添い遂げること。社会的にだけ殺すこと。」
「復讐で、幸せになれますか?」
「復讐しないで幸せになれるのかね?」

相手が逃げる地の果てまでも 突き止め追いかけまた復讐し それでも相手が死
なないように 塩を送って微笑返し どうせ儚い命の限り 与えた痛苦の悦びと
受けた痛苦の苦しみを 思う存分堪能しつくし 寿命の尽きたその鬼の 死に水
取った人の手は 血で真っ赤だと伝え聞き 身を処し万事控えめに 呼吸も鼓動も
ひっそりと 物音立てず暮らすうち 目眩耳鳴り息切れ動悸 関節痛に若白髪 
復讐するは白髪鬼 四畳一間にひきこもり 与えたつもりで被って 気づかぬうち
に衰弱死 
大家が面倒臭がって 葬儀も出さず寺送り 寺でも万事面倒で 医師に告げずに
無縁墓 誰にも迷惑かけずに来たが 旅の終りは無縁墓 
これでは悔やみきれまいと 死んでも死に切れないだろと 僅かな便りを伝手
として やってきたのはそれほどに つきあいの無い無名の一人

「真面目な奴が報われぬ そんな世界が悪いのだ おまえの無念はきっちりと
俺が晴らしてくれようぞ」
菩提弔う両の手は 決意も固く結ばれて 血がポタポタと滴って 墓石を赤く染
め上げる

生者と死者の怨みなら 恐ろしいのはどちらでしょ 死者の怨みを受け継いだ
生者の怨みはどうでしょう 死んだあいつが浮かばれぬ 怨みを借りて復讐を 
続ける意志は誰のもの  一つ積んでは奴のため 二つ積んでは奴のため 
死んだ怨みに怨まれて 生きた心地のせぬうちに 目眩耳鳴り息切れ動悸 
関節痛に若白髪

先から理由はわからない 生きてるだけで怨まれて 地位も名誉も地に堕ちた 
そんな怨みに固まって 復讐するは白髪鬼 怨み買わずに生きるのが 所詮
叶わぬ世界なら 怨みを晴らす側になり あらん限りの知恵絞り 相手の破滅を
生き甲斐に 晴らす怨みを太らせて 復讐の火に薪くべて 命をかけて地を駆ける
死者の怨みを受け継いで 死者に命を奉納し そうして功徳をほどこした
つもりで死者を冒涜し 死んだ怨みに食い殺されて 本望だったか怨み節
回る因果の怨み節

怨むに足りる相手がいれば 生きる甲斐ある生なれど
得たいの知れぬ怨みを受けて 生きるはこの世の地獄なり
受けた怨みを怨んで怨み 晴らした怨みにまた怨まれて

怨みを形見に この世を去った
生きた証の怨み節
拾うあなたの怨み節

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ジャンル:小説
メール :tamachim@yahoo.co.jp
HP  :【電網 昼行灯】http://www1.odn.ne.jp~cak87430/index.html/
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書見棚 その54-*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*---*

ここは、みなさまの本棚のなかで今、目に入ったものを御紹介いただく棚です。
投稿が無い週は私の本棚で目についたものを紹介します。今週は

「犯罪小説集」谷崎潤一郎 著です。

昔「夜もヒッバレ」という番組があって、よく見ていましたが、桑名正博さんや、
マリーンさんなどは、誰の歌を歌っても、本人のものになっているのが凄いなと
思ったし、桃井かおりさんがどんな役を演じてもそれは桃井さんだったりするの
も、やはり凄いなと思うのと同じく、谷崎潤一郎は、何を書いても谷崎潤一郎だ
というところと、その谷崎さ加減が、非常に好みに合うというところが、たまら
なく良いですね。推理小説短編四作からなるこの小説集。余技も一流です。

集英社文庫発行  1991年8月25日 第一刷  380円 
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それではまた次週お目にかかりましょう。

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