KISARAGI

KISARAGI vol.173


カテゴリー: 2003年01月12日
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K I S A R A G I vol.173   2003/01/12発行
                          編集/発行:みやこたまち
                     ★ E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                     http://miytako.hp.infoseek.co.jp
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KISARAGI通信
あけましておめでとうございます。今年がみなさまにとって、良い年であります
ことを、お祈りいたします。とはいえ、良い年にしたいという意志と行動がなけ
れば、決して良い年が転がり込んでくることはなく、「偶然とは準備していない
ものには何ももたらさない。」とのパスツールの言葉を胸にきざんで、体勢を整
えていきたいと思います。ちなみに、このパスツールの言葉は、今日の夕刊に掲
載されていたものです。
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今週の目次
 ◆古典へのいざない【31】     はいずみ[1]  〜堤中納言物語」から〜 
                              作者:たまさん
                                
 ◆Inter_View 5 minutes【131】            Guest/Nobody
 ◆ 獏食 29.                       初夢・・・ 
 ◇ KISARAGIについて
 ◇ 編集後記
 ◇ 発行者について
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|連載|小説|
    ◆古典へのいざない【31】                           作者: たまさん

       はいずみ[1]  〜「堤中納言物語」から〜
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 下京の辺りに身分の賎しくない男が住んでいた。生活の貧しい女を可愛く思い、
長年、連れ添っていたが、友人の元に行き通っているうちにその家の娘を懸想し、
人目を忍んで屋敷に通うようになった。
 新しい妻は珍しく思われるからだろう、元の妻よりも愛情深く感じて、人目を憚
らずに通い詰めたので、相手の親の耳にもこの話が入り、「長年、連れそう妻をお
持ちとの事ですが、こうなっては仕方ありませぬ」
 と、娘との仲を認めて男を通わせるようになった。
 元の妻はこれを聞いて、
「こうなってはわたし達の仲も終わり。新しい人の家も、このままあの人を通わせ
続けるつもりはないでしょう。どこか行く宛てはないかしら。男が冷たくなる前に
ここを離れよう」
 と思うが、元より行く宛てなどない。
 一方、新しい妻の親は高圧的な態度で男に迫ってくる。
「――実を申しますと、是非とも娘と結婚させてやりたいと思う独身の男性がおり
ましたが、私どもの予想に反して、貴方が娘の元に通い始めてしまったのがとても
残念でなりません。しかし、今更そんな事を言っても仕方ありませんから、こうし
て持てなして差し上げているのです。それを世間様は、『妻を家に住まわせている
ような人を婿にするなんてとんでもない家だ。新しい妻を愛しているとは言っても、
自分の家に迎えている妻の方をより大切に思っているに違いない』と言うので安心
が出来ませんが、私も本当にその通りだと思います」
 男はむっとして反論した。
「確かに、一人前の男としてまだ認められていない身分ではありますが、愛情の深
さだけは右に出る者はおりません。娘様を我が邸宅にお連れしないのを誠意が無い
と思っていらっしゃるのでしたら、今すぐにでもお連れ致します。――先のお言葉
は全く心外です」
「そうしてやって下さい」
 娘の親は露骨な顔で男に迫った。
 男は「今の女をどこに行かせたらよいだろうか」と思いやられて、内心悲しかっ
たが、新しい妻が大切であったので、理由を説明して顔色を窺ってみようと、元の
妻の待つ邸宅へ帰って行った。

(続く)
                              ★

 明けましておめでとうございます。
 昨春から始めた「古典へのいざない」ですが、ここまで続けられるとは思いませ
んでした。つたない文章で申し訳ない一方、読んで頂いている方には感謝の気持ち
で一杯です。今年もよろしくお願い致します。

 さて、今週から取り上げるのは「堤中納言物語」の「はいずみ」です。
 題名の「はいずみ」が何であるかは、物語が進むに連れて明らかになると思いま
すが、しばらくは「男」と「元の妻」、そして「新しい妻」と「その親達」のやり
取りを純粋に楽しんでもらえれば幸いです。

 ちなみに平安の貴族社会では、本妻とする女性の元に男性が通うのが普通です。
この「はいずみ」では、新しい妻の親が「北の方として家に迎えてくれ」と男にせ
がむ事から、身分の低い庶民の間で流布されていた話を元にしているとの説があり
ます。

 元の妻に家から出て行ってもらう為に、男はどうやって説得するのか――この続
きはまた来週という事でお願い致します。

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ジャンル:古典レビュー
メール :miztam@nifty.com
HP  :【山猫屋本舗】http://homepage3.nifty.com/miztam/
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 ◆Inter_View 5 minutes【131】 
                        Guest/Nobody          
                          作者:宇祖田都子 さん
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before minute
インフルエンザにかかっていませんか? 私の周りにもけっこうかかった人が多くて
仕事が滞っていたり、割をくわされたりしている人が大勢います。日ごろ節制をして
もかかるひとはかかる。かからない人はかからない。いろいろとケアする部分が少な
い生活を送りたいな。では、今回は私自身のIV5Mをお送りいたします。
first minute
松たか子主演で放送された「金子みすず −明るい方へ」というようなタイトルのド
ラマを見て、たいへんに感銘をうけました。今、レンタルビデオ店に並んでいますね。
本当にあの通りの人生を送ったのだとしたら、それこそ「生き難い」人だったのだろ
うと思うんです。この「生き難い」という言葉、私には特別な思いがあります。

second minute
かつて、「生き難い魂」を持っていた親友二人。今は両方とも結婚して子育て奮闘中
なんです。「生きていくために鈍くなる。」一人は、そんな手紙をくれたあと、結婚
したんです。私は「生き難さ」を抱えたままいきつづけている人を知っています。随
分まえにこのコーナにもおよびしたことがあります。当時の肩書きは「国語講師」で
した。もう一人は、自分の魂の特性に抗っていきつづけています。彼女の笑顔には、
100%なんの曇りもありません。でも、何かを諦めたのだとの自覚が、夜になると
頭をもたげてくるのだそうです。

third minute
「生き難き魂」というのは「年齢」とは無関係なのだと思います。大きく影響を受け
ることは間違いないですが・・・ あらゆることに例外を認める事を許さない心は、
時として「生きにくさ」を生み出すものです。しかし「生き難さ(いきがたさ)」は
これとはぜんぜん別なもので、人生経験を積み重ねていっても、変化しないものです。
それゆえに、この魂を持つ人は、自分自身のあり方についての苦しみを抱えつづけな
ければなりません。生涯解消されない苦しみを。

forth minute
私は先ほど紹介した国語講師を先生と思って尊敬しています。彼女にとってはただ、
一生懸命に生きているだけです。周囲の幸せが自分の幸せとが常に一致し、生きて
いるということを、すばらしい事だと確信している人、そして何よりも大切なこと
は、他人のことは絶対に理解できないということを悲しいほど正確に認識している
点。それでいていつもほがらかで、暖かな笑顔を絶やさない点。私は高校生の頃、
この先生に出会って以来、生涯に先生と呼べるのはこの人だけだと思いましたし、
今でもその思いは変わりません。

final minute
私は先生のようには生きられません。魂の質が違うからです。それを悲しんではいま
せん。また二人の親友を気の毒だとも、軟弱だとも思いません。なぜなら彼女達は、
生きているからです。私はかつて、狂気か自殺の二者択一を願っていました。でも、
私にはそのどちらも選べなかった。というよりも選ぶ素質が無かったのです。それは
魂のありかの問題です。そして今は、「私」とか「自我」とか「自分探し」とか、そ
ういった考え、行動、啓蒙、哲学、の全てがばかばかしいものだと考えています。
本年のテーマは「魂」ということになりそうです。とはいえ、ずっと私はこのことに
しか興味を持っていなかったような気もします。人は自分に無いものを求めるといい
ますから。

after minute
先生の話をさせていただきました。新年の抱負とは少しずれますけれども、私自身、
まとめておきたかったので、この場を借りて書いてみたのです。本年も偶然の出会い
のもたらしてくれる驚きと喜びにあふれるインタビューをしていきたいと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

<<次回のお客様は 都市防災評論家 鼓腸志染さんです>>
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種別  :小説短編
ジャンル:架空対談
作者名 :宇祖田都子
メール :cak87430@geocities.co.jp
HP  :非所持
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◆ 獏食 29.                         初夢・・・

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小学生の同級生だった女の子となぜか結婚している夢を見た。当時の彼女はなんとも
いえず馬鹿な子でとりたててかわいくもなかった。卒業以来あっていないが、夢の中
ではきちんと成長していて、僕という駄目な男の世話をかいがいしく焼いてくれ、そ
れがたまらなく苦痛だった。巨大な百貨店の前に大きな木があって、そこに僕がぶら
さがっているのを、妻は向かいの空中歩廊から心配そうに見ていた。そして家具売り
場に並べられた無数の黄色い箱を僕はいらいらしながら見ているのだ。廊下でお茶を
飲んだ。記憶は断片的になる。ただ、とても嫌な夢だったという印象と、結婚した妻
の愛らしさだけが残っている。今、彼女はどこで誰と結婚しているのか知らないし、
知りたいとも思わない。

獏満足度 ■■■□□ オセチハテヌキノマエバライ
 
_/_/ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
2003年も無事に送れますように。
おもしろい小説がかけますように。
人間的な成長を実感できますように。
なにか、変化を期待するけど、それが悪いものでありませんように。
お賽銭ありませんが、お願いします。(ガラガラ 二礼ニ拍手一礼)
 ところで、おみくじにこんなこと書いてあったら嫌だと思う言葉は何?
_/_/ KISARAGIについて _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■配信システム
 KISARAGIは「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/で配信しています。
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_/_/ 発行者について _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 編集者 みやこたまち
 E-mail :tamachim@yahoo.co.jp
 WebPage:http://www1.odn.ne.jp/~cak87430/index.html
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 前編集者 仙ちゃん
 E-mail :slowhand@sea.plala.or.jp
 WebPage:http://www7.plala.or.jp/slowhand/
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 初代編集者 牧瀬佑樹(マッキー)/スタック作家
 E-mail :macky@livrer.jp
 WebPage:http://www.livrer.jp/
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