KISARAGI

KISARAGI vol.167


カテゴリー: 2002年11月24日
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K I S A R A G I vol.167   2002/11/24発行
                          編集/発行:みやこたまち
                     ★ E-mail:tamachim@yahoo.co.jp
                     http://miytako.hp.infoseek.co.jp
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KISARAGI通信
小説読んでますか? 私はネット上でいろいろな方の話を読ませていただく他は
昔買った文庫本ばかり再読、再々読する日々です。読書の秋、というか「秋」は
どこにいったんでしょうって感じですけどね。おもしろかった小説、教えて下さ
い。
---*---*---*-このメルマガは等幅フォントでお読みください-*---*---*---*---*
今週の目次
 ◆古典へのいざない【25】虫愛ずる姫君[1] 〜「堤中納言物語」から〜 
                              作者:たまさん
                                
 ◆Inter_View 5 minutes【125】             Guest:郵便配達人 角村秀朗氏

 ◆ 獏食 23. アジャンタの水宮・・・
 ◇ KISARAGIについて
 ◇ 編集後記
 ◇ 発行者について
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|連載|小説|
 ◆古典へのいざない【25】                           作者 :  たま さん
   虫愛ずる姫君[1] 〜「堤中納言物語」から〜
                                 
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 蝶を愛ずる姫君が住んでいる近所に、按察使(あぜち)の大納言の姫君が住んで
いた。その姫君は奥ゆかしく素晴らしい容姿であったので、親達は大切に養育して
いらっしゃった。
 だが、この姫君は、
「人々が『花や蝶や』と愛ずるのは無意味で馬鹿らしいわ。人と言うものは誠実の
心で物の本質を追求する事が、いかにも心ばえが現れてよいのです」
 とおっしゃって、あらゆる虫の恐ろしそうなものを取り集めて、「これが成長す
る様を観察しましょう」と、様々な虫かごに入れさせなさる。とりわけ、「毛虫が
心深い様をしているのは素晴らしい」と、朝晩、額髪を耳ばさみにして、手のひら
に載せてじっと見つめなさる。
 若い女房達は恐れてしり込みするので、物怖じしない身分の低い男の童を召し寄
せて、箱の虫を取らせたり、虫の名を聞いたり、新しい虫には名を付けて面白がっ
ていらっしゃる。
「人は何事に付けてつくろうところがよくない」
 と言って、眉毛をお抜きにならず、お歯黒も「わずらわしい。汚い」とお付けに
ならず、真っ白な歯を見せて笑いながら、この虫達を朝夕に可愛がっていらっしゃ
る。
 女房達が怖がって逃げると、姫君は大声を出して叱り付けた。怖がる女房を
「毛虫を怖がるなんて、失礼で下品です」
 と、毛深い眉毛を黒々とさせてお睨みになるので、どうしたらいいか途方に暮れ
るのであった。

(続く)
                                 ★

 今週からは短編集「堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり)」から幾つ
かの話をピックアップしてご案内します。
 この「堤中納言物語」は成立した時代や作者を始め、謎が多い作品集ではありま
すが、一番の特徴は「収録されている話が非情に個性的」である事です。現在の掌
編小説と比べても遜色ない設定やストーリー展開の作品が多く、およそ古典らしか
らぬ雰囲気が気に入っています。

 今回お届けした「虫愛ずる姫君」は「堤中納言物語」の代表作であり、題名の通
り「虫が好きな姫」が主人公で「女性は慎ましさ・淑やかさが第一」とされた時代
に、ケムシやバッタ・カマキリと戯れる少女、そしてそれに戸惑う周囲の人々の姿
が鮮やかに描かれています。このナチュラリストの感覚に相通ずる設定が多くの人
を魅了し、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」などに影響を与えたと言われています。

 個人的には虫を「心深い」と見なす姫君の心中を、えて当時の常識と照らし合わ
せると、幼虫から蛹・成虫と変わり行くその姿に「輪廻転生」を見ていたと推測し
ていますが、皆さんはどう思われましたか。

 ――それでは、この続きはまた来週お届けします。

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ジャンル:古典レビュー
メール :miztam@nifty.com
HP  :【山猫屋本舗】http://homepage3.nifty.com/miztam/
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 ◆Inter_View 5 minutes【125】             Guest:郵便配達人 角村秀朗氏
          
                          作者:宇祖田都子 さん                       
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before minuute
クリスマスまであと一ヶ月ですね。皆様は何処で、誰と一緒に過ごすのでしょうか?
私は、以前に町でばったり出会った友人と、来年春までに完成させたいと思っている
詩画集のラフを決めてしまおうということになっています。女二人で寂しいわね、と
か言いながら・・・では、お客様です。郵便配達人 角村秀朗氏です。

first minute
M:角村さんは、郵便配達のかたわら町の人々にご自身で書かれた手紙も配達なさっ
て、それがみなさんにたいへん好評だとうかがっています。
P:趣味がこうじて、今では私自身が書いた手紙を配達するのに忙しいといった塩梅
で。
M:毎日、何通くらいかかれているんですか?
P:百から、百五十通くらいでしょうか。職業柄、切手代はかからないんで、時間の
捻出だけが問題なんですが、最近はマイクロレコーダーを購入したので、文面などは
配達中に作ってしまいます。

second minute
M:きっかけはどのようなことだったのでしょうか?
P:最近はメールばかりで手紙のよさが忘れられているというでしょう。私は、こう
いう仕事をしておりますから、なんとか手紙のよさをアピールしたいと考えておった
次第で、取り扱いが減っていくなか、うちの管区から手紙を利用してもらおうと思っ
た時、まず自分が手紙を書くという行為から遠ざかっていたなと気づいたようなわけ
でして。
M:町のみなさんのほとんどの方に手紙を渡されているそうですね。
P:はぁ。一戸一戸を訪問する職業ですし、私の町あたりは田舎ですから、ちょっと
寄っていきなさいな、とかお子さんの相談事とか、あ、簡保の担当もしておりました
ので、家庭事情もささやかながらわかっておりますし、この歳になりますと、いろい
ろ、まぁ、老婆心のようなものも出てきますのでね。

third minute
M:絵手紙も、お持ちいただいたんですが、素敵ですね。
P:いやいやいや。人様に見せるような出来ではないとは思うんですが、四季折々、
配達路の風景や、出会った人なんかをスケッチするようになりまして、これも記念
ではないかと思いまして。こんど個展を開かないかなんて、もったいないお話も出
ているんですよ。あ、局内のギャラリーですけどね。
M:筆まめ、というのは角村さんのような方のことなんでしょうね。
P:手紙を書こうと決めると、毎日、毎日、時々刻々がおろそかに出来なくなりま
す。今では手紙を書くか配達しているかのどちらかで。それで随分と心が豊かにな
っているように思いますよ。

forth minute
M:始められてから何年くらいになりますか?
P:かれころ八年になりますか。結婚おめでとう、という手紙を送った夫婦に子供
が出来て、もう小学生。早いものです。子供達も手紙のおじさんって慕ってくれま
すし、少年院へ入ったようなやんちゃな子も、毎日送った手紙に返事をくれて、出
てきたときには、挨拶にきてくれたりね。うれしいことばかりですよ。
M:郵便一筋の生活という感じですね。
P:本当にね。顔を合わせたことが無いお宅からお返事をいただいたりしますし、
今では回覧版をまわすかわりに私のところに来たりですね。近隣のトラブルなど
も双方の事情をしっている私が間に入って、いったことになったりしますんで。
郵便というのは人と人とをつなぐんだなと、つくづく感じています。

final minute
M:再来年には定年を迎えられるそうですが、その後のことは考えていらっしゃいま
すか。
P:ええ。これは私のライフワークですから、ずっと続けていきますよ。
M:その配達もやはりご自身でなさるんでしょうね。
P:もちろんです。いい運動になりますし、この町がいとおしいですからね。
M:ご家族の方は、何かおっしゃいますか?
P:いや。今は一人で住んでおりますんで。だから、手紙が私を支えているということ
ですかね。返事をもらえたらまた寿命が延びる、生きていてもいいんだと安心できる。
そんなところがあるんですよ。
M:今後も暖かい手紙を配達しつづけてくださいね。ありがとうございました。

after minute
町のみんなのおじさま、という雰囲気の優しい角村さんでした。お書きになる手紙は
人それぞれの悩みや、気持ちにとても沁みるものだそうで、事情をよく分かった上で
の第三者の意見は、四季折々のイラストとともに、素直に心に響くのだそうです。で
すが、ずっとお話をしていて、なんとなく背筋が寒くなる気がしたのが、胸にひっか
かっています。
<<次回のお客様はアシスタント 菜嵯雫氏です>>

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種別  :小説短編
ジャンル:架空対談
作者名 :宇祖田都子
メール :cak87430@geocities.co.jp
HP  :非所持
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◆ 獏食 23.                   アジャンタの水宮・・・          
                                                 
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広いプールだ。夜だった。テレビカメラも来ていた。僕はむしろ、役員というか、
審判員の立場で、そこにいた。水銀のような水面がとろりとろりと波打つ底で、
コースラインがぶよぶよとゆれている。みんな、電子時計をにらんでいた。
「そろそろかな。」
「いきますか。」
僕は、ウエットスーツとアクアラングを装着して、すっかり役員慣れしたカメラ
クルーとともに、プールに飛び込んだ。青い静寂のなか、思い思いの扮装をした
選手達が、プールの側面に穿たれた横穴で黙然としている。僕たちは一つ一つの
穴を覗き込み、呼吸停止している選手がいないかどうかを、調べて回る。
北欧から参加したブロンドの女性が、息を引き取っていたが、
「やっぱり、調べてみないと分からないですね。」
などと、役員達が話し合っているのを、気味悪く眺めている。

獏満足度 ■■■□□
ショッカンヲタノシムモノダネ。アジハウスアジ?
    
_/_/ 編集後記 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
コタツでパソコン生活。以前に買ってあんまり使ってなかったHand Held PCが最
近、大活躍です。カシオのInter Linkというもの。現品で3万円だったんですが、
使えます。ただ、目がどんどん悪くなっているような・・・
                                                           (みやこたまち)
_/_/ KISARAGIについて _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■配信システム
 KISARAGIは「まぐまぐ」:http://www.mag2.com/で配信しています。
■登録解除の方法
  KISARAGIを解除するには、次のアドレスへアクセスしてフォームに記入を。
 -->http://isweb43.infoseek.co.jp/novel/miytako/index.html

_/_/ 発行者について _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 編集者 みやこたまち
 E-mail :tamachim@yahoo.co.jp
 WebPage:http://www1.odn.ne.jp/~cak87430/index.html
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 前編集者 仙ちゃん
 E-mail :slowhand@sea.plala.or.jp
 WebPage:http://www7.plala.or.jp/slowhand/
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 初代編集者 牧瀬佑樹(マッキー)/スタック作家
 E-mail :macky@livrer.jp
 WebPage:http://www.livrer.jp/
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