CRJ-tokyo WEEKLY CHART

CRJ-tokyo interview 特別号 vol.20 "町田良夫"


カテゴリー: 2008年11月22日
━━CRJ-tokyo ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
Weekly Mail-Magazine 特別インタビュー号 vol.20  08/11/22 
---------------------------------------------------------------------- 
■Special Artist Interview vol.20 '町田良夫.' 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
2008/10/22 青葉台 町田邸 
interviewer:かわぞえ、せき 

国内外問わず活躍を見せるスティールパン奏者、 
町田良夫さんにお話を伺ってきました。 
情報社会の中に育つ僕たちが忘れてしまいがちな 
大事な感覚を持った稀有なアーティストのお話、 
ぜひ、ご覧になってください。(かわぞえ) 
 
●町田さんの学生時代のお話をお聞かせください。 
 
町田:もう80年代の後半のことなんですけど、 
多摩美術大学で、キュレーションとかを軸にした勉強をしていました。 
僕自身は、映像と音楽を組み合わせたようなインスタレーションを 
メインでやっていましたね。卒業後はすぐに映像関係の会社に就職しました。 
基本的には業界内の資料用の映像を作るところだったんですけど、 
たまにNGOとかに委託されて、海外に行くことがあって。  
それがきっかけで国際協力の仕事をやっている時期もありましたね。 
 
●そのときの体験が大きな転機になったんですよね。  
 
町田:そうですね。まだ映像の会社にいるときのことなんですけど、 
中国の少数民族の取材に行く機会があって。 
それに際して自分でも予習というか、文献を漁ったんです。 
そうすると、やっぱり日本との接点が見えてくるんですよね。 
「これは面白いな。」って思って。実際それを基に現地に行って、 
そこで感じたことってのが、僕にとって大きいですね。 
 
●そこから、スティールパンに至ったのは?  
 
町田:金属の楽器を使いたくて。まず、フィールドレコーディングの作品 
(ハイパーナチュラル・シリーズ)を作ったんですけど、 
そのときに光の象徴として、銅鑼(ドラ)を使ったのが最初なんです。 
ただ、パフォーマンスのことを考えたときに、さすがに銅鑼じゃ重すぎて 
気軽に運べないんですよね。それこそ20個位あったので(笑)。 
それでなんとなく、スティールパンなら運べるし、あの独特の倍音感覚を、 
スマートに演奏したら面白いかなって思って。それで使い始めたんです。 
 
●当初はスティールパンを自作されたんですよね。  
 
町田:はい。まずは色々調べて勉強しました。
それで、そのまま買ってもよかったんですけど、 
自分で作ろうって思ったのは、中国での経験があったからです。 
やっぱり自分で自分の体験にしたかったんですよね。 
文字情報だけで入っていることって、実は身になっていないに等しいというか、 
中国以来、実際に体験しないと身体に沁みてこない気がしちゃって。 
スティールパンを、お金を出して買うことは簡単なんですけど、 
まず作って、どんなものなのかっていうのを、身体に沁みこませようって思って、 
それで作り始めたんです。
 
●実際は大変な作業では。  
 
町田:ドラム缶から作るんですけど、とりあえず10キロの鉄アレイを買って 
叩いたんですよね。でも、全然ヘコまないんですよ。むしろ跳ね返るくらいで、 
「あーなめてたなー。」って(笑)。でも繰り返しやっていくと、 
だんだん鉄が弱くなってきて、少しヘコんでくるんですよね。 
その日はそれで終わりで次の日も……と地道に。 
あ、あと音が凄い! 最初は耳栓をして、多摩川の土手とかでやってたんですけど、 
近所の人に怒られちゃって。おまけに通報までされちゃって(笑)。 
最終的には高速道路の下に行って仕上げました。錆びたまんま持っていって、 
メッキ工場のおばあちゃんに怒られたこともあったな……(笑)。 
6カ月くらいかかりましたね。  
 
●調律なども変えていましたよね。  
 
町田:僕自身、特に音楽教育を受けた経験とかは無いんです。 
だから普通に踏襲することはやめようと思って。 
自分でやって、レギュラーの出来損ないを作るよりは、 
最初から、出来損ないを目指してみようかなって。 
そうすることで、初めて自分の表現になるかなって思ったんです。 
もちろん、平均律のスティールパン批判ではないですよ。 
それはそれで歴史を踏まえているわけですから。 
平均律だって、それこそピタゴラスから始まっているわけで、仮に政治の力とか、 
そういったもので世界に広められているとしても、 
今もあるということは、それなりの理由があるからですよね。 
だから、じゃあ受け入れてもいいんじゃないかっていうのもあって、 
最近は平均律のものも使ったりしています。  
 
●最近はPanKAT(エレクトリックスティールパン)も使用されていますよね。  
 
町田:PanKATは単純にmiimo(レピッシュ、ガンガ・ズンバのベーシスト=tatsu、 
plot.ことドラマーの佐治宣英と町田良夫の3人から成るダブ・エレクトロニカ・ 
ユニット)で、ハウリング対策の1つとして2007年に買ったんです。 
ソロでも使うようになったのは、ごくごく最近からですね。 
こういう活動を始めた頃って、楽器が持っている属性に興味があったんですけど、 
最近は変な話、楽器から音楽に興味がシフトしたというか(笑)。  
 
●興味がシフトしたということですが、 
町田さんご自身のモチベーションとは何でしょうか。 
 
町田:そうですね。少なくともライブがあるとかCDを出すからみたいな、 
何かをするためのこなし作業にはなっていないです。 
まず、「なんで音楽やっているの」とか「なんで絵を描いているの」っていうことを 
1番大きな視点で見ると、やっぱり僕自身、中学生くらいのときとかに見たり、 
聴いたりしたものには、凄く救われているんです。だから、返したいというか…… 
もらったものがあるから、何か返したいと思っていて。それが前提ですね。 
その上で、スティールパンについて具体的に言うと2点あります。 
まず1つは、シタールを中心としたインドの伝統的な音楽に触発されたものを 
スティールパンでできないかということ。ただ、それがインド音楽というか、 
即興的なものになっちゃうのはまずいと思うんですが。 
もう1つは、同じく、コンポーズされたものとしてラテン音楽、もっと言えば、 
ブラジル的なところでやってみたいなっていうことかな。 
『突拍子も無いことをやっているわけじゃないけど、それでも新しく感じること』 
っていうのをやりたいんですよね。別に批判をするということではないですけど、 
今って、実験音楽が、枠から外れることでスタンダードになっちゃっている感じが 
あるじゃないですか。僕はそうじゃなくて、それこそ、おじいさんとかが見ても 
興味を持ってくれるようなところでやりたいんですよね。 
UAKTI(ウアクチ)っていうブラジルで創作楽器を使って活動している人たちがいて、 
彼らは僕の理想の1つなんです。曲自体はなんてことない感じなんですけど、 
楽器ひとつにしても、ガラスみたく身近な素材から、ホントに妙な楽器を作ってて。 
入り口が凄く広いんですよ。実験的なことをする中で入り口を狭くしちゃうと、 
保守的な人は見向きもしないじゃないですか。そういうのってやっぱり僕には 
合わないと思ってて。かといって入り口だけ広くてもしょうがないから、 
そこら辺のバランスなのかな。  
 
●主宰されるレーベル「アモルフォン」も 
そういったお考えを基としているのでしょうか。  
 
町田:特に明確な方向を決めているわけではないんですけど、 
やっぱり、スタンダードな実験音楽みたいなものは、 
うちで出す意味が無いかなとは思っていて。 
もともとアモルフォンは、最初に出したロシアのフィッツ・エララルドと、 
3枚目に出したセルビアのチンチを出すために始めたレーベルなんです。 
聴いてほしいなって思ったのと、 
あとは彼らの国の状況的に出すことが難しいかなって思って。  
セールス的に渋くなっちゃうものもあるんですけど、 
ただ、やるからにはなるべく利益が出やすいようにと思ってて。 
自分で作った計算書とかを元に、ジャケットとか、各パーツごとに 
1番安いところを探したりしてやってます。  
 
●スティールパン然り、手探り状態で取り組まれたと。  
 
町田:そうですね(笑)。ただ1番最初に自分でリリースしたハイパーナチュラルの 
ときの経験が大きかったです。自主制作という形で出したんですけど、 
流通の仕組みとかも分からなかったので、 
とりあえず、店頭に直接持って行ったんですよね。 
もちろん流通を通さなきゃいけなかったりするから、 
最初は追い返されちゃうんですけど(笑)、 
いざそういう話になったときに、凄く親身になってくれて。 
色んな人に支えてもらいましたね。  
 
●アモルフォンからの5枚目のKindermusik: Improvised Music by Babies 
(キンダームジーク:赤ちゃんの即興音楽)は、 
町田さんなりの問題提起だったとお聞きしています。  

町田:音楽って誰が誰に発信しているものなのかなっていうことは 
いつも考えていて。音楽って誰がやるものか、 
音楽って音楽家がやるものなのかなっていう。 
また国際協力の仕事をしていたころの話に戻っちゃうんですけど、 
村に行くとそういう芸能って皆がやっているんですよね。 
良い言い方では無いですけど、それこそ、ひなびた草しか生えていないような 
土地の人でも、1度歌いだすと物凄いパワーを持っていて。 
じゃあ、僕たちはそれが出来ているかとなると、 
それには凄く疑問を感じていたんです。 
それで、赤ちゃんの話になるんですけど、 
90年代くらいから即興シーンみたいなのが生まれたじゃないですか。 
物理的に表現するなら、一定の時間内での音数や音の対比が限られているとか、 
一定の持続音が30分くらい続くというような。 
それで、それっていうのは、音の物理現象だけ取り出してみると、 
意外と他のところでも鳴っているものなのかなっていうことを  
感じていたんですよね。  
じゃあ、それを踏まえて、言語感覚を身につける前の人間、 
つまり赤ちゃんに演奏させるとどうなるのかって思ったんです。 
もちろん、彼ら自身は音楽をやろうと思ってやっているのではなくて、 
音が出るのが楽しいからやっているわけで。それをあえて1枚にまとめることで、 
何か見えてくる風景がある気がしたので、それで始めました。 
別にあの作品を聴いて、音楽では無いとされても僕は全く構わなくって。 
ただそこで鳴っている音の物理現象だけを取り出したときに、 
どういうことが言えるかなっていうところのリファレンスが無かったので、 
それをやることに意味を見出して取り組んだんですよね。いずれにしても、 
その前に出した『*Music for Baby!』も含めて、別に何かを否定するとか、 
答えを導くためというよりは、純粋に、「音楽ってどういうものなのかな」 
っていうことを考える素材にしたいなと思ってやりました。  
 
●今後のアモルフォンの予定をお聞かせください。  
 
町田:シタール奏者のヨシダダイキチさんがやってるシタール・ターの
リリースと、あとは僕のソロを予定してます。 
miimoについてはアモルフォンの感じとは少し違うので、 
自主制作の形で出そうと思っています。 
今までは多少のこだわりもあってCD-Rに焼いていたんですけど、 
もう焼ききれないので(笑)、今度はプレスするつもりです。  
 
●楽しみにしています。ありがとうございました!!   
 
町田良夫(まちだよしお) 
音楽家/美術家。多摩美術大学在学中、秋山邦晴に師事、 
アート/音楽/映像を総合的に学ぶ。 
90年代、アジア、アフリカで国際協力の仕事に従事。 
現在、スティールパンによる音楽の可能性を追求。 
個性的なソロ作「Naada」は細野晴臣から「スチールパンの新しい旅」 
と賞賛される。 
ISEA2004、Sonar Tokyo、MaerzMusik等国内外の音楽祭に参加。 
仏Visual社のTVCM曲に楽曲提供。 
音楽レーベル、アモルフォンを自ら主宰、国内外のユニークなアーティストを 
発掘、リリース。ポストDubバンド、miimoのメンバー。  
http://www.yoshiomachida.com 
http://www.amorfon.com 
 
<LIVE INFORMATION> 
 
●11/28(金) P-VINE RECORD presents "MELTING POT GROUND 1"  
@ 渋谷 LUSH 
<前売/当日 2500/2800、開場/開演 18:30/19:00> 
<LIVE> 煙巻ヨーコ(dance)×町田良夫×山本達久 /  
大島輝之×庄司広光×沼直也 / 勝井祐二×石橋英子×千住宗臣 
<DJ> 吉田肇 
<WEB> http://www.bls-act.co.jp/melting_pot/ 
 
●12/4(木) ELEGY FOR NATIVE TONGUES @ 高円寺 Penguin House 
<前売/当日 --/2000(incl. CD『Elegy for Native Tongues』)、 
開場/開演 19:00/19:30> 
<LIVE> mori-shige+安藤暁彦+池澤龍作 / タバタミツル+町田良夫 /  
ASTRO+スズキジュンゾ /  
TETRAGRAMMATON(TOMO, Cal Lyall, ノブナガケン) 
<WEB> http://tetragrammaton-official.com 
 
●12/11(木) P-VINE RECORD presents "MELTING POT GROUND 2"  
@ 秋葉原 CLUB GOODMAN 
<前売/当日 2500/2800、開場/開演 18:30/19:00> 
<LIVE> 山本精一×町田良夫×山本達久 /  
gnom°project(大島輝之(guitar,pc) / Inoue Taishin(pc) /  
イトケン(drums) / 服部正嗣(drums) / PANICSMILE 
<DJ&VJ> yudayajazz 
<WEB> www.bls-act.co.jp/melting_pot/ 

このメルマガは現在休刊中です

CRJ-tokyo WEEKLY CHART

RSSを登録する
発行周期 隔週日曜日
最新号 2015/02/16
部数 696部

このメルマガは
現在休刊中です

ついでに読みたい

CRJ-tokyo WEEKLY CHART

RSSを登録する
発行周期 隔週日曜日
最新号 2015/02/16
部数 696部

このメルマガは
現在休刊中です

今週のおすすめ!メルマガ3選

オンラインカジノ情報ドットコム
カジノって楽しいですよね。ラスベガス、マカオ、韓国などのカジノへ行く前や行った後も日本でカジノを楽しみたいと思いませんか?実はそのカジノが日本でもオンラインカジノを通じて遊べるんです!そんなオンラインカジノの魅力をたくさんご紹介しちゃいますね。今話題の海外FXについても詳しく解説します。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

サラリーマンで年収1000万円を目指せ。
高卒、派遣社員という負け組から、外資系IT企業の部長になった男の、成功法則を全て公開します。誰にでも、どんな状況、状態からでも自分の力で人生を変えるための情報と知性を発信しています。人生を意のままにするには、脳みそとこころの両方が進化しなければなりません。そんな進化とは何か?をお届けする四コママンガ付きメルマガです。2014年から3年連続でまぐまぐ大賞部門賞を受賞しました 学歴やバックグラウンドに拘わらず、人生を思いのままに生きるために必要な考え方が書かれた、「良書リスト」も希望者に差し上げています。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

ダメおやじの全財産をかけた崖っぷちFX通信
【1日に数万人が熟読する人気FXブログのメルマガ版】 相場歴30年以上のダメおやじがFXノウハウを大公開! 毎朝配信!毎日の経済指標情報や攻略法を無料で解説しています。 ●損切りがうまくできない、利食いが浅い ●ポジポジ病(ポジションを不要に持ってしまう) ●コツコツドカーン(小さく勝っても大きく負ける) ●エントリータイミングわからない ●メンタル面が弱い このようなお悩みがあれば購読してみてください。 FX初心者から経験者まで、FXの悩みをこのメルマガで解消します。 期間限定でメルマガ内で数万円相当分のFX情報商材をプレゼント中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

今週のおすすめ!メルマガ3選

川島和正の日刊インターネットビジネスニュース
■読者数32万部超、日本一の個人メルマガ(まぐまぐ総合ランキング調べ) ■9年連続で年収1億円以上になり、70か国以上を旅行して、 190平方メートルの豪邸に住んで、スーパーカーに乗れるようになり、 さらに、著書は、日本を代表する超有名人2人に帯を書いてもらい、 累計50万部のベストセラーとなった、現在香港在住の川島和正が、 最新のビジネスノウハウ、自己啓発ノウハウ、健康ノウハウ、恋愛ノウハウ さらに「今チェックしておくべき情報リスト」などを配信中!
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

右肩下がりの時代だからこそ、人の裏行く考えを【平成進化論】
【読者数12万人超・日刊配信5,000日継続の超・定番&まぐまぐ殿堂入りメルマガ】 ベストセラー「仕事は、かけ算。」をはじめとするビジネス書の著者であり、複数の高収益企業を経営、ベンチャー企業23社への投資家としての顔も持つ鮒谷周史の、気楽に読めて、すぐに役立つビジネスエッセイ。 創刊以来14年間、一日も欠かさず日刊配信。大勢の読者さんから支持されてきた定番メルマガ。 経験に裏打ちされた、ビジネスで即、結果を出すためのコミュニケーション、営業、マーケティング、投資、起業、経営、キャリア論など、盛り沢山のコンテンツ。
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

3連単3頭ボックスで超簡単に万馬券をゲットする競馬プロジェクト
◆読者7000人突破!まぐまぐ殿堂入り!! 圧倒的に少ない買い目で馬券を的中させます。 指定した《3頭》をボックスで買うだけで・・・ 昨年は9万馬券&7万馬券が当たりました。 一昨年にはなんと10万馬券も的中させています! 馬券は3頭をボックスで買うだけなので 誰がやっても買い目は同じ。 女性でもOK、競馬初心者でもOK 資金が少ない人でもOKです。 しかし、買い目が少ないので 当たればガツンと儲かります! こんな競馬予想は他にありません! ☆彡メルマガ広告主様大歓迎です☆彡
  • メールアドレスを入力

  • 規約に同意して

アーカイブ

他のメルマガを読む

ウィークリーランキング