Japan on the Globe-国際派日本人養成講座

JOG-Mag No.990 『世界が称賛する 日本の経営』


カテゴリー: 2017年02月19日
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         国柄探訪: 『世界が称賛する 日本の経営』

「日本的経営」こそ、グローバル経済で、かつての日本の活力を取り戻す道。
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(伊勢雅臣) 2月28日に拙著第3弾『世界が称賛する 日本の経営』[a]が発売になります。すでに、アマゾンでは、以下から、予約いただけます。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594076858/japanontheg01-22/

 本号では、「まえがき」と目次、「あとがき」を転載して、どのような本かをご紹介させていただきます。メルマガで読みやすいように、段落分けと節のタイトル付けをしています。
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■1.まえがき・・・「日本的経営」を見失いつつある日本企業

 筆者は欧州で四年、アメリカで三年、日本企業の現地法人社長として企業経営を経験していますが、最近、日本から聞こえてくるのは、ブラック企業で過労死したとか、派遣社員やパート・アルバイトばかりが広がって、低賃金と不安定な生活のために、多くの青年たちが結婚すらできない、というような暗いニュースばかりです。

 かつての日本企業が人を大切にして事業を成長させようとした姿勢、すなわち「日本的経営」を見失いつつあるのではないか、という気がしてなりません。そして、これが近年の日本経済や日本企業がかつての活力を失いつつある原因の一つではないか、と考えています。

 逆に欧米で仕事をしていると、欧米企業の方が、かつての日本的経営の良い所を学んで、元気を回復しつつある、と感じられます。近年のアメリカやヨーロッパで盛んに出版される経営書や、経営セミナー、コンサルティングの内容を見ていると、その正体はかつての日本企業が実践してきた日本的経営そのものではないか、という「既視感」にとらわれるのです。


■2.欧米企業の人を大切にする経営

 たとえば『リーダーシップ・チャレンジ』という本があります。初版刊行から約三十年、世界二十カ国以上で刊行され、累計で二百万部も売れているベストセラー、かつロングセラーです。その中身は、いかに社員一人ひとりが、自ら考え、主体的に行動できるようにするか、ということを繰り返し繰り返し論じています。

 アメリカの経営書らしく、内容を理屈っぽく体系化し、沢山の事例を採り入れて四百頁もの大部になっていますが、その説くところは、かつての日本企業が社員一人ひとりを育てようと努力してきたことと同じです。

 実際に、この本は私の所属する日本企業の伝統的な人づくりの精神を米国人幹部に伝えるのにぴったりだと考え、この本に沿って私が日本での経験を話しています。

 また一九八〇年代に登場し、全世界での累計販売千五百万部と異例の大ベストセラーとなった『一分間マネジャー』(K・ブランチャード、S・ジョンソン、ダイヤモンド社)には次のような一節があります。

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 管理している部下の顔を一人一人、一日のほんのわずかな時間でいいからチェックしよう。そして、部下こそもっとも大切な財産であることを、肝に銘じよう。
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 欧米の心ある企業は、社員一人ひとりが活き活きと働き、創造力や志をフルに発揮させることが、企業の業績を上げる近道だと考え、こういう本をテキストにして人材育成に励んでいるのです。


■3.「三方良し」を追求する「日本的経営」

 何が日本的経営か、に関しては、厳密な経営学的議論もありえましょうが、本書では企業人の一般的常識に訴えるレベルで捉えたいと思います。そのために近江(おうみ)商人の心得として伝えられてきた「三方(さんぽう)良し」、すなわち「売り手良し、買い手良し、世間良し」に則って、説明しましょう。

「売り手良し」──売り手は従業員と株主(銀行等を含む)からなります。企業は従業員に就業機会と生計の糧(かて)を与え、なおかつ成長や生き甲斐を実現する場を提供します。企業とは、こうした従業員の共同体です。企業を資金面で支える株主には、提供した資本に見合った適正な収益を安定的にお返ししようと努めます。

「買い手良し」──顧客の求める商品やサービスを適正な価格で提供し、その信頼を勝ち得ようと努めます。価格と原価の差が利益ですが、それは売値(=顧客に提供した価値)と、原価(=企業内で消費した価値)の差、すなわち事業活動によって創造された価値を表します。したがって、利益とは企業がどれだけの付加価値を生み出したかを計る尺度です。

「世間良し」──社会の必要とする商品やサービスを提供することによって、社会のニーズを満たし、問題を解決し、進歩を実現します。また、収益の一部を税金として納めることで、国家や地域社会を支えます。

 この「三方良し」を追求する経営を、本書では「日本的経営」と呼ぶことにします。


■4.「株主資本主義的経営」

 「三方良し」の対極にあるのが「株主資本主義的経営」です。これも「三方」に分けて考えてみましょう。

「売り手」──「売り手」とは株主のことです。株主の投資収益、それも特に短期的収益を最大化することが企業の唯一の目的と考えます。企業は人、もの、設備からなる収益マシーンであり、従業員はその歯車にすぎません。性能の悪い歯車や不要になった歯車は使い捨てにされます。また企業は収益マシーンですから、普通の設備と同様、売り買いの対象になります。

「買い手」──買い手、すなわち顧客とは、企業が商品・サービスを提供し、その対価を受け取る相手です。これは純粋に経済的な取引であり、契約に違反しない限り、顧客のためを考える必要はありません。

「世間」──社会は事業活動の環境であり、社会の法律を守っている限り、その中で自由に活動すれば良いと考えます。

 近年の多くの日本企業は、アメリカからやってきた株主資本主義的経営こそ最新の経営だと思い込み、かつての三方良しを追求する日本的経営など時代遅れのものとして、捨て去ってしまったのではないでしょうか。


■5.人を成長させる日本的経営のパワー

 しかし、人間が成長する存在であることを考えてみれば、日本的経営の方が経済的パフォーマンスも良く、人々や社会を幸福にするパワーもはるかに優れていることは、自明ではないでしょうか。

 たとえば、人間はじっくり育てて、創造力、意欲、チームワーク力を伸ばせば、数倍、数十倍の働きができます。それを派遣社員・パート・アルバイト化して、決められた通りの仕事だけさせて人件費を何割か下げる、仕事量が減ればすぐに人員整理するというアプローチでは、まさに宝の持ち腐ぐされです。

 こんな経営では、人を真に成長させ、活躍させる日本的経営に太刀打(たちう)ちできないのは、当然でしょう。

 江戸時代の日本に高度な商業や金融業が発達したのも、開国後わずか半世紀ほどで世界の五大国にのし上がったのも、また敗戦後に奇跡の復興を遂げ、その後の高度成長で世界第二位の経済大国にのし上がったのも、この日本的経営を多くの企業が広範に実践し、人づくりに努めてきたからだと私は考えます。

 今日の優れた欧米企業は、かつての日本企業のパワーを見て、この点に気がついたからこそ、日本的経営を彼らなりに咀嚼し、追求しています。

 彼らの言う“Employee Satisfaction”(従業員満足)とは「売り手良し」、“Customer Satisfaction”(顧客満足)とは「買い手良し」、そして“Corporate Social Responsibility”(企業の社会的責任)とは「世間良し」の訳語であると考えて良いと思います。


■6.日本的経営こそ活力を取り戻す道

 日本的経営はわが国の歴史の中で内発的に発展してきたものですが、日本企業だけが実践しうる特殊なものではありません。それは普遍的な人間や社会の本質に根ざした、合理的な経営の王道だからです。だからこそ欧米企業でも真面目(まじめ)に取り組めば、国や文化によって多少の味付けは必要でしょうが、かなりの程度、実践できます。

 また「日本」的経営と呼んでも、唯一、日本国内だけで孤立して発展してきたものというわけではありません。中欧や英米の歴史の中で、並行して発達した類似の考え方や伝統もあります。そうした土壌があるからこそ、欧米企業も大きな抵抗なく、日本的経営を取り入れられるのでしょう。

 ただ、かつてのわが国ほど、多くの経営者や企業が日本的経営の精神をもって、広範な事業に取り組んできた歴史を持つ国はないと思います。

 本書は、そのような先人の足跡を辿たどることで、読者に日本的経営を思い出していただくことを目的としています。それができれば、日本の企業人、企業、そして日本国全体が、かつての活力を取り戻すことができる、と信じています。


■7.『世界が称賛する 日本の経営』目次

第一章 現代を生き抜く日本的経営

 日本電産・永守重信の新「日本的経営」
 老舗企業の技術革新
 世界ダントツのサービス品質が未来を拓く
 知的障害者に「働く幸せ」を提供する会社

第二章 世界に挑んだ日本的経営

 井深大――日本人の創造力
 本田宗一郎と藤澤武夫の「夢追い人生」
 しょうゆを世界の食卓に――国際派日本企業キッコーマンの歩み
 海外貿易の志士――森村市左衛門

第三章 国を興した日本的経営

 豊田佐吉の産業報国
 伊庭貞剛――君子、財を愛す、これを取るに道あり
 縁の下の力持ち――銀行業の元祖・安田善次郎
 日本型資本主義の父――渋沢栄一

第四章 日本的経営の源流

 松下幸之助――日本的経営の体現者
 二宮金次郎の農村復興
 石田梅岩――「誠実・勤勉・正直」日本的経営の始祖
 道徳が経済を発展させる


■8.あとがき・・・会社の徳と国家の徳

 「社徳」という言葉があります。「人徳」が個人の持つ徳を表すように、「社徳」とは会社の持つ徳を意味します。株主資本主義的経営では会社は収益マシーンですから、ロボットが人徳を持ち得ないように、会社にも社徳などありえないと考えます。

 会社の徳を云々するということ自体が、会社が一つの共同体であって、徳のある会社も、ない会社もある、という考え方を表しています。そして、日本的経営で追求すべき徳が「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」なのです。

 私は日本でも多くの企業の方々と取引や学会などでお付き合いさせていただきましたが、立派な創業者によって設立された会社の社員は、なんとなくその創業者の遺徳が感じられる、ということをたびたび経験しました。

 松下(現・パナソニック)の人はなんとなく松下らしく、トヨタの人はトヨタらしい、という感じです。おそらく創業者の遺徳が遺伝して、後継者に伝えられるのでしょう。そういう意味で、本書をお読みいただいた企業人の方には、ぜひ自社の歴史を辿たどって、どんな人々がどのような思いで自分の会社を設立し、維持・発展させてきたのか、調べてみることをお勧めします。

 さらに、本書に登場する企業や人物に興味を持たれたら、ぜひ巻末に挙げた参考文献などに直接あたってみてください。それが一番良い日本的経営の勉強法でしょう。

 会社に社徳があれば、国家にも徳があります。わが国の初代・神武天皇は橿原の地に都をつくる際に、わが国の建国宣言とも言うべき詔(みことのり)で、民を「大御宝(おおみたから)」と呼び、「天地四方、八紘(あめのした)にすむものすべてが、一つ屋根の下の大家族のように仲よくくらそうではないか」と宣言しました。

 この精神が、いかにわが国の歴史の根底を清冽な地下水のように流れているか、そして、この理想を実現するために、いかに多くの先人たちが生涯を捧げたかを、それぞれ『世界が称賛する 日本人が知らない日本』[b]『世界が称賛する 国際派日本人』[c](ともに育鵬社刊)にまとめました。

 本書でとりあげた日本的経営の「三方良し」の理想とは、実はわが国建国の理想を事業面で語ったものだと言えます。日本的経営はわが国の建国以来の伝統に根ざしているのです。

 いずれにせよ、我々現代の日本人はこのような素晴らしい精神的遺産を先人から受け継いでいます。それを思い出して、ご自身の職場の中で「三方良し」の理想を追求する方々が一人でも増えることを願っています。それがわが国の未来をより明るくし、我々の子孫
の幸せを増進する近道だと信じています。

 最後になりましたが、育鵬社編集長の大越昌宏氏には今回の出版に際しても、企画から完成まで大変なお世話になりました。この紙面をお借りして、御礼申し上げます。

(文責:伊勢雅臣)

■リンク■

a. 伊勢雅臣『世界が称賛する 日本の経営』、育鵬社、H29
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594076858/japanontheg01-22/

b. 伊勢雅臣『世界が称賛する 日本人の知らない日本』、育鵬社、H28
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594074952/japanontheg01-22/

c. 伊勢雅臣『世界が称賛する 国際派日本人』、育鵬社、H28
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4594075681/japanontheg01-22/


■988号「昭憲皇太后と"Empress Shoken Fund"」に寄せられたおたより

■「お歯黒・眉落し」もきっぱりやめさせた昭憲皇后(みどりさん)

 昭憲皇后ですが、洋装にともない「お歯黒・眉落し」もきっぱりとやめられて、一般女性の理解を得る努力をなさったことも記憶に残したいものです。

 中国では纏足を止めるのにもっと時間がかかっています。

 国家が大きく舵を切るときの指導者の象徴的役割について考えたいものです


■編集長・伊勢雅臣より

 たしかにシナ、朝鮮に比べれば、日本の近代化は大変なスピードで進展しましたが、それには皇室が牽引された、という面があるのでしょうね。

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