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言葉の森新聞2017年11月2週号■作文で大事なのは復習ではなく予習■集中力のない子の問題


カテゴリー: 2017年11月09日
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■■作文で大事なのは復習ではなく予習 
 先日、言葉の森の講師資格を取得された人向けの「森林プロジェクト」の会合で、作文教室を開いている先生からいろいろな話を聞くことができました。 
 その中で共通していた大事な指導のコツは、事前の予習を重視するということでした。 

 作文の勉強をしに来る生徒が、ただ単に教室に来れば指示が与えられて作文を書くだけというのでは、よい作文は書けないのです。 

 これまでの作文指導の多くは、ただ書かせて、書かれたものを赤ペンで添削し、その添削をもとに生徒がよりよい表現を考えるという、どちらかといえば復習的な勉強を中心としたものでした。 

 この作文の事後的な見直しというものは受験作文の練習をする時には大切ですが、通常の作文指導では重視していません。 
 それは第一に、書いた文章見直すというのは、子供にとっても、また大人にとっても退屈な作業だからです。 
 そして第二に、その退屈な作業の割に、添削された箇所を直して作文が上手になる度合いはかなり限られているからです。 

 作文で大事なところは、骨格となる構成と、肉付けとなる題材です。 
 この骨格と肉付けは、作文を書いた段階で決まってしまうので、事後的に直すのは表面に現れる表現だけになります。 
 骨格と肉付けが決まっているものを、表面だけ直しても上手になる度合いは限られています。(※) 

 そこで大事になるのが、事前の予習なのです。 

※言葉の森は、作文の具体的な中身を次の要素に分解して指導しています。 
 1.構成、2.題材、3.表現、4.主題、5.表記、6.字数、7.内容、です。  

■■自分でやらせるか親がやってあげるか 
 先日の小1~小3の保護者の懇談会で、次のような質問がありました。 
「作文の構想図を子供がまだ書けないので、親が書いてやっているが、それでいいのか」ということでした。 

 小学1年生から3年生ぐらいの子は、まだ自分で要領よく構想図が描けない方が多いものです。 
 そのときは、親が子供と話をしながら構想図を書いてあげ、それを参考に子供が作文を書くということでいいのです。 

 しかし、その質問のお母さんは、「子供がこれまで曲がりなりにも自分で作文を書いていたのに、親が構想図を書いてやるようになってから、親の書いたものをそのまま写すようになっている」ということを問題にしているのでした。  
 けれども、私の答えはそれでいいということです。 

「それでいい」という理由は、二つあります。 

 第一は、子供は学年が上がれば必ず自立するようになるからです。 
 親は、「その子が自立するときの手本を教えている」と考えるとよいのです。 
 勉強に限らずどんなことでも、誰でも最初の自信がないうちは、見ているだけのことが多いものです。 
 見ているうちに自分でもできそうだという自信がつくと、自然にやってみたくなるという流れがあるのです。 

 第二の理由は、勉強というものの考え方がこれから変わってくるからです。 
 それは、いい手本を見ることが勉強になるという考え方です。 
 例えば、算数数学の難問を解く場合、自分で何時間も考えるという方法と、すぐに解法を見て解き方を理解するという方法があります。 

 自分で考えるというのは、一見正道のように見えますが、難点は時間がかかることです。 

 ノーベル賞級の最先端の数学の世界であれば、自分で何ヶ月も何年も考えるというのは価値があることでしょう。 
 しかし、入試問題のレベルの算数数学で、自分で何時間も考えるという無駄な勉強だと考えた方がいいのです。 

 勉強は、答えや解法を見て理解して、すぐにできるようになることで基礎力がつきます。 
 その基礎力の土台の上に、自分で考える実力がついたところで、その子にとって答えのない世界で考える機会が出てきます。 
 その答えのない世界とは、遊びであったり、勉強であったり、又は将来の仕事であったりするのです。 

 したがって、親が子供の勉強や作文の手助けをするときは、親自身がそれを不本意な手助けだと思ってやるのではなく、逆に親が楽しめるくらい積極的にやっていくといいのです。 

 それは例えば、構造図を書くときに、ダジャレを使ったり、たとえを入れたり、親の感動的な体験実例を教えてあげたりすることです。 
 それを、子供に対する押し付けではなく、親が楽しむような余裕を持って行っていくのです。 

 余裕を持つということは、ほとんどアドリブで手助けをするということです。 
 もちろん余裕があれば、下準備をして手助けをしてあげることもいいのです。 
 しかし、準備しすぎるとつい子供にもそれに対応した努力を要求するようになりがちです。 
 それは、子供の自主性にとっては逆効果です。 

 子供が小学1年生や2年生のときは、親の子供に対する見方を次のように変えていく必要があります。 
「今ここで親の最良の手本を見せておけば、その土台の上に、子供が高校生になったときにやがて親の今のレベルを超えるような考え方をするようになるはずだ」という見方です。 
 できるだけ視野を遠くに置いて、子供の成長を見ていくとよいのです。  

■■集中力のない子の問題 
 子供が勉強している様子を見ると、すぐに気が散ったりぼんやりと考えていたりと、親から見て集中力のない様子が感じられるときがあります。 
 早く済ませればできるのに、長い時間をかけてやっているというのには、どういう原因があるのでしょうか。 

 第一は、早く終わると追加の勉強をさせられる可能性があるというケースです。  
 予定の勉強が早く終わったからといって、一度でもそこで追加する勉強をさせると、子供はそのことをよく覚えていて、なるべく早く終わらせないように時間をかけてやるようになるのです。 

 特に、作文の勉強は、そのときのテーマによってかかる時間がかなり違います。 
 しかも、作文は、ほかの勉強と比べるとかなり頭脳を使います。 
 作文の勉強のあとは、ほかの勉強はしないで、せいぜい読書ぐらいにとどめておくといいのです。 

 第二は、ページ数などを決めてやらせるのではな、く時間を決めてやらせるような勉強になっていることです。 
 時間が経てばおしまいという形にすれば、自然にその時間の範囲をなるべく楽に過ごすようになります。 
 親の立場としては、時間で決めた方が管理しやすいですが、子供にとってはその時間は一種の奴隷状態の時間です。 
 時間の枠を決められると、自分で工夫して能率よくやろうという気にはなれないのです。 

 第三は、これがいちばん多い原因だと思いますが、勉強する時間が長すぎるか、勉強する量が多すぎることです。 
 子供は、すぐに終えられるものだと思えば、早く終わらせて、あとは自由に遊びたいと考えるはずです。 
 ところが、目の前に膨大な量の勉強があったり、長い時間が待ち受けていたりすると、どうしてもすぐに取りかかる気にはなれないのです。 

 これも、特に作文の勉強の共通することですが、ひとまとまりの作文を書こうとすれば、大体1時間はかかります。 
 小学校高学年や中高生で、いい文章を書こうと考える生徒は1時間半かかります。 
 社会人の方が作文の練習をする初めのころは、大体3時間かかります。 

 作文の勉強は、今日は30分だけ書いて、明日は続きの30分を書くというわけにはいきません。 
 だから、作文の勉強を始める前は、多くの子が、ちょっと本を読んだり、ちょっと手遊びをしたりして、心の準備をしてから取りかかるのです。 

 作文の勉強の場合は、長くかかるのはやむを得ません。 
 その代わり、続きを翌日に持ち越すようなことはせずに、その日に書き終えるところまで行かなければ、「(つづく)」と書いてそれで終了にした方がいいのです。 
 この場合、「つづき」を書く必要はありません。 
 書く見通しを考えたことが勉強の中身ですから、最後まで書き上げられなくてもいいのです。 

 話は少し飛躍しますが、この書くことに時間がかかる問題を、将来は音声入力でカバーできるようにしたいと思っています。 
 やり方は、まず作文の構想図を10分か15分で書きます。 
 この構想図を書く過程が考える勉強ですから、作文の中身のいちばん大事なところです。 
 そのあと、その構想図をもとに音声入力をします。 
 音声入力は、考えながらゆっくり話すので、普段の会話の3分の1から5分の1のスピードです。 
 すると、10分で1000字程度の文章になります。 
 今は、人工知能で音声がかなり正確にテキスト化されるので、手直しは句読点をつけるぐらいです。 
 このようにすれば、考える時間も、手直しの時間も含めて、それまで1時間から1時間半かかっていた作文を30分弱で仕上げることができるようになります。 
 これは、いずれオンライン講座としてやっていきたいと思っています。 

 さて、話を戻して。 
 作文の勉強の場合は、ひとまとまりの作文を書くのに時間がかかるのは、今の段階ではやむをえません。 
 しかし、他の勉強に関しては、小学生のうちはあまり長時間勉強させないことが大事です。

 なぜなら、長時間勉強に取り組む動機が、まだ小学生には自分の中にないからです。  
 子供が成長して中学3年生の受験期になったり、高校生になり大学入試に取り組む時期になったりすれば、誰でも自然に集中力を発揮するようになります。 
 その時期の自分の内側から湧き上がった集中力が本当の集中力で、小学生の間はもともとそういう集中力がないのが本来の姿です。 

 ですから、小学生の間の勉強はなるべく短時間で終わるものにして、親は、子供が勉強などに集中せずに気を散らす方がむしろ自然だと思って、もっと手を抜いた勉強の仕方をしていくといいのです。 

 ちゃんと育っている子であれば、必要なときには必ず集中力を発揮します。 
 今集中力がないのは、まだそういう場面やそういう時期でないからなのです。  

■■親も苦労する子供の理科実験をFacebookグループなどの情報共有で 
 先日、思考発表クラブの懇談会で、保護者の方から、「毎回、面白い実験などを考えるのに、親も苦労している」との声が出ていました。 
 確かに、毎週の生徒の発表は、毎回力作で、どの子も生き生きと発表しているのですが、準備に時間がかかることが感じられるものがとても多かったのです。 

 思考発表クラブでやることは、読んでいる本の紹介と、次の週の作文課題の構想図の発表ですから、その他の発表は自由です。 
 ところが、以前、作文の構想図以外にも、理科実験や工作や算数数学の問題作りをやっていたことがあるので、その延長で、理科実験を自宅でやってくる子がかなりいます。 

 これらの自由な発表は、発表する生徒も楽しんでいますが、それを見ている生徒も、毎回ほかの人の発表を楽しみにし、それに刺激を受けているようでした。 

 ただし、あまり保護者が苦労しているというのも問題なので、この保護者の関わりをどうするかということを考えました。 

 まず、第一は、親が苦労を楽しむということです(笑)。 
 親が子の成長の関われる時間は、過ぎてしまえばほんのわずかな時間だったと思うようになります。 
 そのわずかな時間を、共通の知的な経験を通して過ごしたということは、親にとっても子供にとっても貴重な思い出になると思います。 
 また、そういう経験を通して、親も子も成長していくのです。 

 今は共働きの家庭が多く、両親の帰宅時間も遅いことが多いので、親子で共通の時間を過ごす機会は日曜日ぐらいしかないかもしれません。 
 しかし、その日曜日を、がんばって子供と一緒に過ごすようにするのです。 

 とは言うものの、すべて親のがんばりに任せるのでは限界があります。 
 そこで、第二に考えたことは、理科実験や工作の例を、Facebookグループなどのウェブ上で互いに紹介していくことです。 

 子供向けの理科実験や工作などの本は、結構たくさん出ていますが、準備がかなり必要だったり、逆に、簡単にできるものは、結果が大して魅力的でなかったりして、実際に使えるものは少なめです。 

 それを、親子で遊んだり学んだりすることに関心を持つ多くの人の協力で、互いに情報を共有していけたらと思っています。  

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